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4/11に映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を奢って貰ったので感想を書く。4/14日記。

弊スラムの天才女子大生がやたら推してる映画。どの辺が天才かというと「視点の変更」が特異。悟空がしっぽ切られて「あああ〜!オラのしっぽ〜!」と嘆いたあと「ま、いっか☆」と言ってるような感じの天才さ。

そんな彼女が推す映画とはどんなんだろと興味を持った。何度もリピートしその度に色んな友だちに「奢ってまで見せたいってどんだけ?」と訊ねたら「感想が聴きたいんですよね」というので約束通りnoteにする。

この先はネタバレ気にせず書くので、まず自分で感じたい人は読まないでね。

BGMにどうぞ。


「感想は?」

これ、良い問いではないな、きっかけにしかならない。ぼくは1行で答えてしまった。

賢い人が死を選び、愚かな人が愛を選ぶ話。

にわかーずの感想

「それは要約だろ!」

「もっとお前自身がどう感じたか語れよ!」って言われて、だって僕、読書感想文もだいたい要約だもんぴえんって。良い問い。

愚かな人(主人公の旦那)が愛を説くシーンがいちばん良かった。

にわかーずの感想

おっさんの感想ですわね。「良かった」ってことだけ覚えてて内容覚えてないけど。

劇中、娘は絶望している。

賢いから。全知と言えるほど。

僕はたまに考える。脳にチップが埋め込まれてなんでもダウンロード出来るようになったら。全知を得たら人間はどうなるか?

娘のように虚無る。死を、無を渇望する。賢さは絶望、愚かさは希望だ。これが1つの答え。

ほんとうにそうか?もう1つ僕は考える。死んだら悟れるか?悟るとどうなるか?

母である主人公のように慈愛に目覚める。目覚めるというより、そこには感謝と慈しみしか残らない。これがもう1つの答え。

娘はベーグルを創り出した。

全てを飲み込み、無にしてくれるベーグル。娘の虚無を、絶望を、物語はどう救うのか?と楽しみにしていたが、結局愛かよ、と残念になってしまった。

だったらば同じく賢い主人公ではなく、愚かな旦那が主人公に成り代わって救うべきだとも思ったが、そこは母は強しという所か。旦那はナビゲーター。

創作として観たら。時代が変化するとき、その変化に抗うもしくは変化を歓迎する作品が作られたりもするが、一貫して変わらないものも僕たちは表現するべき創るべきだって誰かが言ってたけど、まあ、そうだよね〜。

と、ここまでが

1人(と1つの問い)で辿り着ける感想の限界。後日、天才女子大生がスラムに書き込んだログを観て、思考は加速する。

曰く、彼女は「私の脳内を現してくれてる」「これまでの私(の思考)を肯定してくれる」から、この映画が好きだそう。(天才)

劇中、娘は絶望を分かってくれる人を探している。

「ドーナツの穴ぼこは存在か?空白か?」



彼女は何度もリピートする。

と書いたが「リピート」という単語が思い出せず「映画 繰り返し観る」でググると「繰り返し観る理由」的な記事がたくさん出て来て斜め読みしてたら「自己理解」の為だと。

僕の過去を思い出してみる。

富良野という田舎に映画館はなく、初めてレンタルビデオ店が出来たのが高校生の頃。僕は借りてきた映画をダビングする習慣がついた。気に入ったものは何度も観た。

言うて全てにおいて僕はにわかなので数にしたら30本も観てないと思うが、その中に「トータル・リコール」もあった。仮想現実と現実の区別がつかなくなるその物語は当時の話題性や目新しさがあった点に置いても、今回観た「エブエブ」に通じる話の切り口。

成る程、だからだな。おっさんは天才が推す映画ってどんなもんやと観たわけだが、正直に申し上げると感動はしなかった。ある意味で「観たことあるな」となったわけだ。

30本の中でいちばん繰り返し観た(であろう程、つよく記憶に残っている)作品は「フィールド・オブ・ドリームス」この映画はおっさんが20代の頃には「好きな映画はコレって言っときゃモテる」みたいに言われたり今でも「おっさん、コレの話しがち」とか揶揄されがちなので若いみんなはアレかも知れないが、実際記憶に残ってるので仕方ない。

トウモロコシ畑をぶっ潰して球場を作るという愚かな夢。そこで興行ができるツテも無ければ、そんな気すらない。ただ、そこに球場があればいい。なぜって?なぜか、そうしたいから、するだけ。そうして夢を追うことで人が集まってくるその人達は幽霊だしホンマに夢物語なのでそこはどうでもいいのだが、追い求めていたのは夢ではなく父親とのキャッチボールだったというラストに感動。

隙があったので自分語りをした。僕は「自己理解」のためにコレを何度も観ていたのか。そんなこと高校生の頃には気付かなかった。

天才。

大学生は面白い。

これはおっさんが上から目線で言ってる訳ではなく、純粋にリスペクトとノスタルジー。

おっさんは新しい作品を、それそのものを、単独で楽しみ感動することが出来なくなっているのだ。感受性が衰えているのだ、と気付かされた。

だからその感性を忘れるなよ?と、おっさんみたいなことを言うつもりはない。お前もいずれおっさんになるぞ。

ベーグルの穴をみせたかった。

この1つの感想で、これだけ感受することが出来たことに感謝するし、彼女が「奢ってまで見せたくなる」「感想を聴きたくなる」理由も感じたし、その行動の意味が分からんかったけど、間違いなく価値のあることだな。

一人では辿り着けない。

見付かるといいね。ベーグルの意味や、その穴を塞ぐ、何かが。


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