連載_ギターの練習⑨リクエスト、五番街のマリーへ。3/30

「じゃあリクエストにお答えして。五番街のマリーへ」

そう言って僕は歌う予定だった。


前回の連載で記事のリクエストを募ったところ「職場で懐メロを歌う話を読みたい」とコメントを戴いたのでやっていく。

僕は介護福祉士で、とある老人ホームで夜勤をやっている。朝10時までの勤務時間、さいごの15分ほど暇になるので、コーヒーを飲む利用者さんたちの前で歌うのを最近始めた。

「リクエストありますか?」と尋ねられてもなかなか浮かばないことは誰しもあると思うが、お年寄りはさらに顕著

「え〜〜〜〜〜と……なにがあるかなぁ?」と悩む利用者さんたちの中に1人パッと答えるおばあさんがいた。「高橋真梨子………なんだっけ………五番街のマリー」

五番街のマリー?なんか聴いたことあるタイトルだけど、僕は知らなかった。「ごめん、わからないから次までに練習しておきますね」そう言って次の夜勤中にさらった。

リクエストをくれたおばあさんのこと、ぶっちゃけると好きではない。

認知症と心配症のコンボで何度もおなじことを聞いてきたり、一口飲んだだけのコップを持ってきておかわり(注ぎ足し)を頼んだり、言ってしまえばめんどくさい。

でも歌を歌うとウットリとした顔で「聴いているだけで幸せね」と加山雄三みたいなことを言う。知ってる歌は一緒に歌ってくれるが「私が知らない曲でもいいの。好きな歌、歌ってちょうだい」と言う。

そんな、めんどくさいおばあさんのリクエストに答えたい。

明けた朝9時、申し送りをしていたとき、仕事でちょっとやらかしてしまってたことが発覚。その処理などのため、暇な15分を作り出せなかった。

「今日は歌わないのね」おばあさんは部屋に帰った。

そんなことを思い出した次の日、春が来て僕は河原に出た。「五番街のマリーへ」を僕は夜勤中に「さらった」と書いた。「練習」をしてはいなかった。

やるか。


悲しい思いをさせた それだけが気がかり



動画はどちらも本番のつもりで一発撮り。短くカットして載せようと思ったがめんどくさいのでそのまま。番外編にてあしからず。ナンバーふったけどw

【練習始め】
・アルペジオ、弾きたい弦が弾けない
・失敗すると顔しかめちゃう、諦めが足りない、舌をだせ
・相変わらずBm抑えられへん、AとDにも苦手意識

【練習終わり】
・練習をすれば諦められるのかも。練習とは諦めと見つけたり


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