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レンタル障がい者と散歩、その3完結編。

BGMにどうぞ。



「しょぼい居酒屋」さんへ。

「勇気を出して入りなされ…」勇気いる〜

玄関を開けると普通のアパートのような造り。「勇気を出して」ドアを開けると部屋には改装したカウンターがあり、先客が2人と店主の村田さんがいた。

「どうも。レンタル障がい者と言います。」

レン障くんが挨拶すると「おおお!絶賛炎上中の!」と村田さんが歓ぶ。「ぼくは依頼者です〜」と自己紹介すると同じ笑顔を向けてくれる村田さん。

先客の2人は知らなかったようで軽くレン障くんの話題で盛り上がり、かといって特別チヤホヤしすぎることもなくカウンターの4人が自然と会話できる空気が流れていた。

ともだちの家で飲んでる感覚。

村田さんの作りだす空間。とても居心地がよかった。

「18時オープンで、18時前に店に来たら負けだと思ってるんですよね」

村田さんの働き方の話に、手を叩いて笑いながら感心してしまった。

奥の部屋はテーブル席になっていて、その向こうのベランダが喫煙所。バス通りを眺めながらベランダで吸う煙草、旨かった。

「普通にごはん食べたくて」

レン障くんが注文したカレーをぼくも頼んだ

ぼくは生ビールからの泡盛。レン障くんは水を頼んでいた。

「食べるときって酒飲みたくなくて…」

わかる。20代の頃そうだったかも。でも最近は「飲むときに食べる」感覚。

「もう少し何か食べたいな〜」

「オススメありますか?」とレン障くん。

村田さんが応えてくれたメニューの、しかしその隣に書いてあった「しょぼくないチャーシュー」を注文。

「オススメ聞いといてなんですけどw」
このアスペ性、ぼくもたまにやるw

チャーシューめちゃんこ旨くて、さいごの一口いわゆる「遠慮のかたまり」を食べてしまえる性格も、ぼくもザンギ(唐揚げ)でやってたし共通している。

昼間「難聴を開きなおれるやつに悪いやつはいない」と言ってくれた、それなんだよな。

二杯目の泡盛を頼んで

何度目かのベランダに行って帰ってきたら、レン障くんは寝てた。夜勤明けで11km歩いて酒飲んでるぼくでも寝てないのにっ!

フニャッと起きて「『レン障、水しか飲んでないのに寝てる』って写真撮ってくれてよかったのに」て、セルフプロデュースすなw

レン障くんはフニャフニャしながら続けた。「もう……………いいですよね」

文字だけみても分からないと思うけろ、一緒に歩いて歌ったぼくには伝わった。とてもありがたい一言だった。

レン障くんが回らない頭で言語化をつづける。「つまり…………これはもう………依頼じゃなくって…………」言うて寝た。

今回の依頼は「レン障くんの行きたいとこに散歩したい」

依頼したときは「さん付け」だったけろ。
そして、こんな風につづきを送っていた。

レン障くんは依頼に応えてくれたんだよね。
ぼくたちはもう、




「レンタル障がい者」というサービスの賛否について語るつもりはない。

もしも「レンタル障がい者についてどう思いますか?」と聞かれたらこう答える。

「レン障くん?ともだちです。」


どうやったらともだちが出来るんだろう。

この散歩は17日。書いてるのは25日なんだけろ、24日に行ったカラオケが最高で、そこでも新しいともだちが出来た。

ともだちになるために必要なことって色んな方法があるだろうし正解は分からないけろ、1つのやり方として「自己開示」があるのかな、となった。

そしてその自己開示が「許される領域」を展開すること。カラオケで「うぇ〜い!」と言うことは許されている。

「レンタル障がい者」、いや「レン障くん」は「ひらきなおること」を許してくれた。「本音で語ること」を受け容れてくれた。

ジジイの散歩コースはクソ!

って言ってた元彼女(SNSはやってない)にレン障くんの固定ツイートをなんの前情報もなく見せて「どう思う?」って聞いてみたら

「やり方が現代アートみたいね」と。

たしかにw
レン障くんと依頼者だけじゃなく、周りを巻き込んだすべての事象がおもしろいね。

レンタル障がい者よ、今日はどこへ行く。

ー おわり ー

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