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ART memo. 2022-vol,6

SANAA
『まる』
金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館の野外常設作品
『まる』
は金沢21世紀美術館の開館10周年を記念し、
当館の設計者である
妹島和世 + 西沢立衛 / SANAAが計画・設置したパビリオンです。
(※パビリオンの説明は前回の
ARTmemo-Vol,5で解説しています。)

                                   Photo:Tao
『まる』

『まる』のコンセプト
この度開館10周年に際し、金沢21世紀美術館に新しいイメージを付加するような、周囲の風景を柔らかく反射するオブジェ「まる」を計画した。「まる」は休憩所で、ステンレスの鏡面の球が集まって全体として1つの球となる形をしており。美術館の新たなランドマークとなる。子供からお年寄りまで市民に親しまれるスペースになったらと思う。SANAA

訪れるまで知らなかったこのパビリオンは
21世紀美術館を設計したSANAAの作品。
世界的にも注目・活躍されていて
私も大好きな建築家ユニット。
今までの建築の概念を繊細に紐解くような
革新的で斬新な建築を世に提供している。

『まる』

これは知らなかった!!!

『まる』

2016年11月にお目見えした新しいオブジェです。ステンレスの球体に映る風景が、一つひとつ微妙に違うところがこの作品の面白さです。
あまり知られていませんが、この作品の面白さは球体の裏側にあります。オブジェの中に潜り込むと、球体の凹の部分が重なり合っているのですが、壁はどんな感じなのかなと思って手を伸ばすと、そこに壁がありません。
凹部分の反射によって遠近感が惑わされるのです。壁だと思ったところに壁がなく「あれっ」と思って恐る恐る手を伸ばすと、10cmほど手を伸ばしたところに壁があります。
SF映画のように四次元の世界に引き込まれていくような、遠近感の不思議な感覚をぜひ体感してください。

✣ 作品概要 ✣

妹島和世 + 西沢立衛 / SANAAによる金沢21世紀美術館のシンボルとして、2014年の開館10周年を機に、新たな象徴として計画された「まる」は、直径1.8mのステンレスの鏡面の球が16個集まって全体とし1つの球となる形のオブジェで、美術館の新たなランドマークとなっています。

✣ SANAA ✣
サナア

SANAA:西沢立衛・妹島和世

SANAA(サナア、Sejima and Nishizawa and Associates)は、妹島和世(せじまかずよ)と西沢立衛(にしざわりゅうえ)による日本の建築家ユニット。
SANAAとして、2004年ヴェネチアビエンナーレ国際建築展 金獅子賞、2010年プリツカー賞など数多くの賞を受賞。 金沢21世紀美術館をはじめ、熊野古道なかへち美術館、飯田市小笠原資料館、ルーヴルランス (ランス、フランス)、ニューミュージアム(ニューヨーク、アメリカ)など、近年の主要な美術館建築を手がけている。
また、展覧会や家具デザイン、空間構成なども幅広く手がける。

妹島 和世(せじま・かずよ)

1956年茨城県生まれ1981年日本女子大学大学院修了
伊東豊雄建築設計事務所入所1987年妹島和世建築設計事務所設立1995年西沢立衛とSANAA設立現 在慶応義塾大学教授

西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)

1966年神奈川県生まれ1990年横浜国立大学大学院修了
妹島和世建築設計事務所入所1995年妹島和世とSANAA設立1997年西沢立衛建築設計事務所設立現 在横浜国立大学大学院准教授

作品紹介

✣ 21st Century Museum of Contemporary Art. Kanazawa ✣
21世紀美術館・金沢

SANNAによるガラスに覆われた公園のような美術館「金沢21世紀美術館」

MUSEUM CONCEPT美術館のコンセプトについて

ミッションステートメント 金沢21世紀美術館は、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に開設されました。21世紀という大きな歴史の転換点にあたり、新たなまちづくりへの対応が求められています。金沢21世紀美術館は、ミュージアムとまちとの共生により、新しい金沢の魅力と活力を創出していきます。

1.世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
金沢21世紀美術館は、世界の同時代の美術表現に市民とともに立ち会う美術館です。私たちのこの時代には、時間や空間を超え、従来のジャンルを横断する、様々な表現が現れてきています。これらの芸術活動にじかに触れ、体感することで、地域から、未来の創造への橋渡しをします。
2.まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館
21世紀の美術館には、教育、創造、エンターテインメント、コミュニケーションの場など、新たな「まちの広場」としての役割が期待されています。市民や産業界など様々な組織と連携を図り、全く新しい美術館活動を展開します。
3.地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館
藩政期から伝わる、工芸をはじめとする地域の固有文化が、多様化する21世紀にどのような可能性を持つのか、インターカルチュアルな視点に立って問いかける実験の場となります。
4.子どもたちとともに、成長する美術館
未来の文化を創り出す子どもたちに開かれた教室として、見て、触れて、体験できる最適の環境を提供します。子どもの成長とともに美術館も進化し、時代を超えて成長します。

金沢21世紀美術館
SANAAは、妹島和世と西沢立衛の建築家ユニットで、
多方向性、水平性、透明性の3つをコンセプトに設計しています。

ARCHITECTURE建築について
コンセプト
『まちに開かれた公園のような美術館』金沢21世紀美術館は、金沢市の中心部に位置し、誰もがいつでも立ち寄ることができ、様々な出会いや体験が可能となる公園のような美術館を目指しています。このため建物には表と裏のないガラスのアートサークルが採用され、トップライトや光庭など明るさや開放感にも十分に配慮しています。また、夜間開館や魅力的なショップ、レストランなど利用者ニーズに対応し、気軽さ、楽しさ、使いやすさがキーワードのこれまでにない美術館です。
多方向性=開かれた円形デザイン三方が道路に囲まれている美術館敷地内にどこからでも人々が訪れることができるよう、正面や裏側といった区別のない円形が採用されました。建物が街と一体になるためのデザインです。水平性=街のような広がりを生み出す、各施設の並置展示室やカフェレストラン、アートライブラリーなど、それぞれに個性豊かな各施設はほぼ水平方向に配置。街のような広がりを生み出します。建物の回廊部分を一周すると、様々な特徴のある施設を巡ることができます。透明性=出会いと開放感の演出外壁や建物内の壁面の多くにガラスを採用し、「透明であること、明るいこと、開放的であること」を求めました。同時に、内部と外部など互いに異なる空間にいる者同士が互いの様子や気配を感じ取ることができる、出会いの感覚も演出されています。

移動スペース中央に長い木ベンチ。
全身で光を浴びながら外を眺めたり休憩したりメモをとったり…
それぞれの時間を過ごせるように設計されている。
外壁部分が全てガラス張りなので
屋内でありながら開けた視界に開放感と時間の流れを感じ取れる。
21世紀美術館内の図書館?資料部屋は入場制限がありました。
円形の建物にあらゆるスペースがあり迷子になりがちでしたが
人気のない移動スペースの先が建物の外壁だった場合
外からの光と景色がどこまでも奥行きを感じさせてくれる。
仕切り壁も光を取り込みやすい色だったり素材で構成されており
柔らかく心地の良い空間を体験できます。
地下へのエレベーターで透明のボックス。
大人にも子供にも大人気!雲に乗っているようなエレベーター。
昇降路のないエレベーターで、開放的な吹き抜けを演出しています。
驚きですがそのエレベーターの天井は何もつながっていない。
油圧のシリンダー自体は細いけれど、
その周りの円筒状のフレームで制震性を確保しています。
エレベーター入り口天井

ロゴにも建築俯瞰図が採用されて居ますね✨

MUSEUM LOGO

建築俯瞰図をそのままマークにしました。外側に開かれた美術館、正面のない美術館、多様な使い方が可能な美術館など、この美術館ならではのコンセプトがそのまま建築俯瞰図に表れているからです。このマークは、美術館や展覧会会場サインとしても使うことが可能です。象徴としてのみ存在するマークではなく、いろいろな使用環境で自然に多くの機能が発見されることを前もって想定しています。 
佐藤卓

21st Century Museum of Contemporary Art. Kanazawa

とにかく開放的で心地が良い。
「〜でなければいけない。」
という古い美術館の格式高い印象はまるでなく、
公園でくつろぐ様な自然な空間。
構造的・設計的なものに根ざしているのは勿論
公共的な美術館は来場者あっての空間であり完成物。
作品を邪魔せずフラットな感覚に帰る空間に仕上げ
明確な目的
人の視覚的・体験的なものに
心地よく落とし込んでありました。

ランドスケープにより近い建築物
それが美術館の様な気がします。

SANAAの建築は情報ではたくさん知って居ましたが
初めて訪れて
他にも体験したいとやはり思いました。
まだの方も是非一度は訪れてみて✨


✣ローザンヌ連邦工科大学ラーニングセンター✣
rolex learning center(ロレックス・ラーニング・センター)

〈ロレックス・ラーニングセンター〉は、スイス連邦南部に位置し、
美しいレマン湖沿いの街にあります。
ローザンヌは、スイスの文化の拠点となっている街であり、
IOCの本部があり、ローザンヌ国際バレエコンクールが有名です。
rolex learning center

現代建築を多く抱える国、スイス。そこには日本人建築家である妹島和世と西澤立衛による建築ユニット「SANAA」による作品も並びます。彼らは、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞している世界的な建築家です。日本では、石川県の金沢21世紀美術館や、山形県の鶴岡市文化会館が有名です。そんな彼らが手がけたスイス連邦工科大学ローザンヌ校のキャンパス内に建設された学習施設「ロレックスラーニングセンター」は、大胆な構成と抽象的なデザインが美しい建築です。

地形が豊かで公園のような楽しげな内装空間。
長方形のキューブに円形の穴を空け、うねらせた操作をしただけのシンプルな建築ですが、
内部空間もとても豊かに感じられます。
〈ロレックス・ラーニング・センター〉のユニークなところは、
斜めになっているスラブが斜面のまま建築になっているところ。
うねりは、空間に様々な表情の陰影を映しています。
うねる角度、中庭の大きさによって光の入り方は異なるので、決して同じ空間に見えません。
平面に広い建築ですが、ところどころ波打つように緩やかなカーブで持ち上がっています。
うねりによってできたトンネルや、スロープはすべて動線となっています。
空間のつくりかたとしては、平屋の長方形を垂直方向にうねりを起こし、
円形の中庭をちりばめることにより、内部空間に光を取り入れる構成となっています。
うねりが生み出すリズム感を邪魔しない工夫
全てガラス張りで孔になったこところからは向こう側や中庭を見ることができるうえ、
扉や階段で外に出ることもできます。
この施設は窓ガラスが多く配されており、
うねりの連続性が途切れるような「垂直」の印象をできるだけ消すため、
サッシや方立は目立たないようとても細く作られています。
rolex learning center
rolex learning center
開放的な場所もあれば、
少し洞窟のような雰囲気の場所も一続きになっているのがユニークな空間。
まさに公園のように使われていて、
学生がその辺で寝そべっていたり、おしゃべりしたりしています。 
ユーザーそれぞれが好きな場所で、好きなことをしながら過ごせる
〈ロレックス・ラーニング・センター〉。
建築自体にスケール感を感じさせる要素が圧倒的に少なく、
人がいないとサイズ感がわからなくなるような不思議な感覚を、是非体感してみてください。
rolex learning center
rolex learning center

ロレックス・ラーニング・センター – Rolex Learning Center (EPFL)

開館時間:7:00~24:00
住所:1015 Ecublens, Switzerland
URL : http://rolexlearningcenter.epfl.ch

SANAA最新展覧会 情報

妹島和世+西沢立衛/SANAAの展覧会『環境と建築』が、
〈TOTOギャラリー・間〉にて開催中。
2人の建築へのアプローチを体感できる。

※クリックでオフィシャルサイトへ。

妹島和世+西沢立衛/SANAA展『環境と建築』
〈TOTOギャラリー・間〉
東京都港区青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F。
月曜・祝日・年末年始休。
入場無料。
〜2022年3月20日
現在入場は公式サイトより要予約。

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