長時間練習することは良いことなのか


よく聞かれる、何時間練習するか問題。

まず、ピアノという楽器は、音数も多く、曲の背景をしっかり支える役回りであり、やることが多い上に複雑で、どの楽器よりも練習量が必要、というのは確かです。
しかし、若い頃は、「時間は裏切らない、かければかける程良い。やった分だけ返ってくる」と信じこんでいましたが、仕事をするようになってくると、1曲に何百時間もかけている場合ではなくなってくる。いかに、短時間で、深いところまでアプローチし、確実に人前で演奏するか、という技が必要になってきます。


というわけで、もちろん反復練習は裏切らないし、必要ではあります。集中力のある状態で長時間練習できているなら、それにこしたことはありませんが、無駄な反復練習を避けるのも技のうち、ではないかと思います。
やりすぎて、結果手を痛めたり、体を痛めたり、筋肉がおかしくなっては、1番重要事項である、「本番に良い状態で場にいること」が叶わなくなります。

弾くだけが練習ではない。

いつも、いくらでも弾ける状況ではない場合、それがわかってくることがあります。例えば、練習時間が1日2時間と限られている時、頭を使って練習メニューを考えたりするせいか、いくらでも弾ける状況の時よりも、意外にも日々充実した前進が感じられたりします。

著名な演奏家や、活躍しているピアニストさんの話を聞いてみると、それこそ練習時間は色々ですが、大体マックス(毎日ではない)で6〜8時間、日々の平均3〜4時間、ということが多いようです。私自身は、2時間弾くと、キープ&少々前進できる。3時間で、かなり充実した練習ができる。立て込んでいて、抱えている曲が多い時、とにかく譜読みをしなければ間に合わない時などは、暇さえあれば弾いていたりしますが、基本max4時間、それ以上は集中力が持ちません。そして、2時間以下だと、翌日衰えを感じ悲しい思いをします。

練習時間としては多くないと思いますが、DAIGOさんの集中力に関する本を読んだ際、一番集中力の発揮できる時間帯やルーティンで、練習できていることがわかり、何となく身体はわかっているのだなと思いました。

そして、弾くだけが練習ではありません。
弾けない時間帯に、楽譜を読み直すことや、その曲について思いを馳せたりイメージトレーニングをすること、これが結構重要だったりします。

やみくもにさらわないこと、時間を有効に使い、自分にとって最適な時間を見つけ出すこと、場合によってフレキシブルにさらうこと。


けれど、それにしてもピアニストは練習時間が必要な民族。
精神と身体のバランスと相談しながら、無理なくベストを割り出していくようにしましょう。

ご支援下さいましたら経費に充てさせていただき、仕事に繋がるピアノ共演法のワークショップをどしどし提供してゆきたいと思います。