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ニューエクスプレスプラス グルジア語をやった

3/15~4/12の29日間で『ニューエクスプレスプラス グルジア語』をやった。グルジア文字が読めたら便利かなあと思っていたのと、ちょうど東京外国語大学オープンアカデミーで受けている授業が端境期だったので。

グルジア語はジョージア語やカルトゥリ語ともよばれる。この記事では以降現地語での表現(ქართული [kʰɑrtʰuli])に基づいたカルトゥリ語と書く。グルジア文字についても同様にカルトゥリ文字と書くこととする。

カルトゥリ語について

カルトゥリ語は、主にジョージア(グルジア、サカルトヴェロとも呼ばれる)というコーカサスに位置する国で話されている言語である。ジョージアは黒海の東岸にあり、トルコとロシアに接している。ワインなどで有名。

文字
カルトゥリ語の表記には独自のカルトゥリ文字が使われる。現在は大文字小文字の区別はなく、全部で33文字となっている。カルトゥリ文字の歴史は古く、4世紀前後にギリシャ文字を参考に作られたと考えられ、現在使われている字形は11世紀頃に出現したとのこと。実際の文書の見た目は次のようになる。

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(世界人権宣言 カルトゥリ語版より)

発音
カルトゥリ語の発音には、放出音(ejective)と呼ばれる種類の子音がある。口の中に閉じた空間を作って、それを勢いよく弾けさせることで「ポコン」という音が出る子音であるが、説明して分かるものでもないので、実際に聞いてもらうのが早い。
YouTubeで見つけた放出音の説明をしているビデオを貼っておく。2:46 ~ 3:16あたりに実際の発音の例がある。

また、結構たくさんの子音の連続が可能で、例えば「監督、トレーナー」を表す მწვრთნელი [mt͡sʼvrtʰnɛli]は子音が6連続である。Wiktionaryのページで発音が聞ける。

文法
膠着語に分類される。過去形のみ能格性を持つ分裂能格言語である、とのこと。

勉強のやり方

だいたい1日あたり1時間半程度なら無理なく続けられるかなあという気はする。基本的には一日1課、あるいは練習問題一つをやるという方針で、その程度の分量であれば1時間半~2時間程度の時間におさまる。

1ヶ月あれば無理なく終わらせられるかなあと思っていたが、課が20個、練習問題が10個あり、さらに単語集等もあるので、ややがんばらないと1ヶ月では難しいかもしれない。とはいえ35日程度なら十分可能だと思う。

まず初日は、扉見返しのところに書かれている手書きの文字の書き方を参考に文字を書き写し、発音記号を併記した。活字の形が手書きと大きく異なるものはそれも。
それを参考に、単語を書いてみて、発音も発音記号(IPA)で書く。書いたのを見ながら、CD等で音を聞きながら発音を確かめる、ということをやった。文字と発音がきれいに一対一対応するので、案外楽だった。

最初は、რ [r]が、デーヴナーグリーのल [l(ə)]に形が似ているので[l]と間違えて読むことがあったが、5日ほどで慣れた。
また、ვ [v]が、ロシア語のз [z]や英語の筆記体のzに形が近いので間違って[z]で読んだりすることがあったが、10~15課の辺りで慣れてきた。

翌日からは、各課の本文テキストを書き写し、発音記号を付した。慣用表現・単語を写し、写したテキストの単語に意味や語の形を書き込んでいく。文法説明を一通りまとめて、本文テキストを見て意味や文法を確認する。
…という流れでやっていった。
ノートは無罫なので、詰めて1課2ページに収めるといい感じになる。いい感じにする意味があるかは知らないが。

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第7課からは発音書くの面倒になったのでテキストはカルトゥリ文字だけにした。最初はゆっくりでしか読めないのだがそのうちだんだん早く読める様になっていく。

練習問題は、他のページ参照しまくってできるだけ正解できるように頑張った……ものの、だんだん正解率が下がっていくので厳しい。ケアレスミスが多い。聞き取り問題は聞き取れないので、何度も聞いてこう言ってるのかな~ってある程度文字を書いたら、語彙や文法を参照して正しそうな形に直した。

それらと平行して、CDを聞きながら発音練習をやっていった。いわゆるシャドーイング。最初から今回やる課までやり、今回やる課だけ2回聞くという感じ。20分以上かかるようになってくると最初からやるのはやめ、途中の課から初めて20分程度に収まるようにした。最初は全然聞き取れなかったが、10回程度聞いて真似しているとだんだん聞き取れるようになってくる。

放出音は難しいが、前に練習してたこともあったので、語頭は割と困難ではなかった。しかし、語中に来たときの発音は今でもよくわからない。速く発音している時には語中の放出音はあんまり放出して聞こえなかったりするので…。

日程

実際には次のようなペースでやった。

・3/15 文字と発音まで(~p.19)
・3/16 第1課
・3/17 第2課、練習問題1
・3/18 第3課、単語力アップ/表現力アップ
・3/19 第4課、練習問題2
・3/20 第5課
・3/21 第6課
・3/22 練習問題3、第7課
・3/23 第8課
・3/24 練習問題4
・3/25 第9課、単語力アップ
・3/26 第10課
・3/27 練習問題5
・3/28 第11課
・3/29 第12課
・3/30 練習問題6
・3/31 第13課、単語力アップ
・4/1 第14課
・4/2 練習問題7
・4/3 第15課
・4/4 第16課
・4/5 練習問題8
・4/6 第17課、単語力アップ・表現力アップ
・4/7 第18課
・4/8 練習問題9
・4/9 第19課、単語力アップ・表現力アップ
・4/10 第20課、練習問題10
・4/11 簡単なスピーチの表現、簡単なメッセージの表現、文法チェック1, 2
・4/12 グルジアの友人への手紙、日本について

続けるコツは、一日に頑張ってたくさんの量をやらないことだったり、遅れを取り戻すためにいっぱいやるみたいなのを避け、毎日一定量に収めることだったりする。たぶん。たくさん勉強すると疲れるので、やる気がなくなる。
元も子もないが、他にやることがない=時間が確保しやすい時にやるのが最適だと思う。

30日もやってると後の方はどんどんだれてくるので、続けるにしても1か月程度が限度かもなあという気がする。

誤植等

誤植っぽいのはp.116 練習問題9の1 1)の“.”→“?”くらいで、他は気づかなかった。全体としてよく確認されている気がする。

ほか、ニューエクスプレスプラスでの追加部分に、他で出てこないし解説もされていない語があったりして少し困惑した。p.140の წერა 「書くこと」という動名詞は、解説されている文法のうちでは სწერს 「~に~を書く」から来ているものと考えられるが、単語が紹介されていない。一方で დაწერს 「~を書く」はあったが、解説されている文法のうちでは動名詞は დაწერა となるはず。解説されてない文法で説明されるのであれば単語のところに挙げておくべきだと思う。

感想

・文字は簡単
・発音や聞き取りは子音連続があり難しい
・本の内容はよくできていると思う
・スマホアプリで音声聞けるのは結構便利(やや音質は悪いが)
・約3600円で60時間楽しめるので、時間あたり60円! お得!

この本の中で説明されていない動詞の変化等も結構あるので、文法の全容を知ることはできない。道半ばという感じである。ここからステップアップ考えると、日本語で他に網羅的なまともな教科書も文法書もないので、英語やドイツ語、ロシア語等の文献を当たる必要がある。
文字が読めたらいいなという気持ちで始めたのでこれ以上やらないかもしれないが、十分文字に慣れることができたのでよかったと思う。

みなさんもニューエクスプレス(プラス)でよい語学学習ライフを。

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