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生きるとは呼吸すること

手術後目が覚めて
少し時間が経った。

傷より痛いところがあった。
横隔膜だ。

自分でも自覚がある。
人からも指摘される。

わたしは呼吸が浅い。

全身麻酔だったから
機械をつけて呼吸していて
それが許容量をこす深呼吸となり
横隔膜あたりが信じられない
筋肉痛なのか神経痛なのか
はたまたどちらなかの
術跡もあいまって痛いのなんの。

その時思ったよね。
わたしの呼吸が深かったら、
こんな痛い思いはしなかったのにって。

そして呼吸の深い人たちの持つ
独特の安心感の魅力。
わたしがずっと憧れ続けたものだ。

痛さと魅力で
わたしは深呼吸を身につけることを決めた。
我ながらえらい短絡的である。

いつから呼吸が浅いのか覚えていて
誰かが言ってたけど
本当に生きづらさと結びついてる。

いることがばれないように、
自分の気配を消すために
細く薄く呼吸をする。
それがわたしが少女だった頃に
身につけた技術だった。

いやはや、
よく生き残ったね、わたし。

あとはおばさんになった
わたしに任しておけ!

世間のあれこれを跳ね飛ばし
厚顔無恥で
堂々と息づいてやろうではないか。

あの世の道は近くなるのに
やっとこの世界で
なんとかうまく生きられるようになった。
気がする。

あくまで、気がするだけど。

だから深く呼吸をして
この世界のいろいろなものと繋がって
楽しんでみようじゃないか。

ああ、また
生きやすくなっちゃうんだろうな。

呼吸することは生きること。
今までしたことない呼吸で
新しい日々を過ごすのだ。

そして最後は自分を吐ききって
この世界とオサラバしよう。

なんかいい生き方だな。

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