見出し画像

人工ニンジャ、ペイガンのつくりかた

※このエントリは2020年夏のニンジャ自由研究です

ニンジャスレイヤー第3部「不滅のニンジャソウル」中、後半から登場する雑兵ニンジャ「ペイガン」。彼らの宿すのは、仮説によればアルゴスが演算した論理ニンジャソウルとされる。

この研究にはヨロシサン、オナタカミ、ダイサン・セクタに加えて、どうしてアルゴスの力が必要だったのか?アルゴス亡きAoM世界でも同様のことは可能なのか?今回の研究ではここを考察したい。

アルゴスの「差分」からニンジャ化パッチを作る

まずアルゴスとは何であったかというと、メガトリイの遺した男性格AIにツキヨミ・ニンジャのソウルが憑依したものである。作中、高度な知性を備えたニンジャアニマルであればニンジャソウルが宿りうるというところから、高度な知性を持つAIにニンジャソウルが憑依するということもあり得なくはないのであろう。しかし、ここにこそペイガンの源流となる特殊性を見ることができる。

アルゴスは作中のUNIX上に構築されたAIである。つまり、ソフトウェアである。ソフトウェアである以上、それは究極的には01で表されるデータ=数字ということになる。

ここで、ニンジャソウルが憑依する前のアルゴス全体のデータをAとし、憑依後のアルゴス全体のデータをBとしよう。ここで、「AとBの差分データ」を取ることができれば、それがニンジャソウル憑依により変化したデータである。そして、アルゴスはAIであるからこそ、それが可能なのである(もしバックアップが取られていれば、だが)

人工ニンジャのつくりかた1

こうして得られた差分は理論上ニンジャでないものをニンジャにする力を持つデータ、ニンジャ化パッチとなる。もちろんアルゴスはAIであるので、この差分をそのまま人に書き込めばニンジャができるわけではないだろう。しかし、この差分こそはニンジャでないものに何を加えればニンジャとなるかの答えであり、それが解析可能なデータとして手に入るのである。汎用の論理ニンジャソウルを得るのに必須となることは想像に難くない。

ニンジャ化パッチのインストール

ペイガンの素体はアケガ・ターミナル収容者が脳改造を受けたものらしい。「デイドリーム・ネイション」の描写では、アマクダリが「再定義」を行うにあたり一時的に現実空間と近づいてしまうコトダマ空間、その認識者を捕獲し世間から隔離・絶滅してしまうことこそアケガ・ターミナルの目的であった。

ここからは言わば使い捨ての廃品利用としてアケガ・ターミナル収容者を用いたことが推測されるが、それ以外にもアケガ・ターミナル収容者には都合の良い点が存在したのだと思われる。

まず、LAN直結端子があること。ペイガンの描写はアルゴスの走狗であり、より緊密なネットワーク接続が求められるため、これは当然であろう。次に、自我が希薄なこと。命令への従順さという点でこれも当然と言える。

そしておそらくは、均質であること。いくらニンジャ化パッチを作り出したからといって、人間の精神の形は多種多様である。OSやアプリのアップデートを行うとき、対象のバージョンがバラバラであるようなものだ。この状態ではニンジャ化パッチも人に合わせた一品ものになってしまい、効率が悪化する。

そこで、「デイドリーム・ネイション」で見られたように、例えば映画を繰り返し見せ、シーンごとの反応を均一にすることが必要だったのではないか。脳改造も含めて、ヤスリをかけるように精神の表面を一定の形状にしてこそ、ニンジャ化パッチをスムーズにインストールできたのではないか。


人工ニンジャのつくりかた2

AoM世界でペイガンを再現・改良できるか?

以上の推測からは、ペイガンのような人工ニンジャを作成するにあたり、「ニンジャ化パッチ」を生成できるほどにニンジャソウル憑依をソフトウェア的に解析できる存在、そして「ニンジャ化パッチ」をインストールする先の「対応機種」である自我調整人間が必要と考えられる。これをAoM世界で再現、またはよりよく改善することは可能だろうか?

まずニンジャソウル憑依をソフトウェア的に解析できる存在が難しい。上記の推測によれば、このようなことが可能なのはAIにニンジャソウルが憑依した場合のみである。アルゴス亡きAoMの世界では不可能かに思われるが、可能性があるとすればAoMの世界だからこその存在、「ウキヨ」が候補となるであろう。

ではニンジャ化パッチのインストール先は確保可能であろうか?これは第3部終盤で登場したペイガン464がおそらくは完成形であった。ヨロシサンであればこそ、アケガ・ターミナル収容者を用いなくても、改造クローンや人工胚で均質な素体を確保できていたのであろう。しかしこれもサブジュゲイターCEO就任時に全滅した。

ペイガン464から推測できるのは、おそらく素のクローンヤクザではこれが出来なかったからこそ、ペイガン464を開発する必要があったということである。クローンヤクザへのニンジャソウル憑依はそもそもケジメニンジャという例外しか起こっておらず、アルゴス製のニンジャ化パッチであってもこれをそのままペイガンにすることは困難だったのだろう。均一な自我と言ってもクローンヤクザのレベルではダメなのである。

とすれば、ここでも「ウキヨ」は有力な候補である。アルゴスというAIにニンジャソウルが憑依したとき、同等の自我を持つAIは他に存在しなかったが、AoM世界ではウキヨが存在する。そして、強制的にではあるがウキヨにニンジャソウルを憑依させた例はAoMシーズン2、「フリージング・フジサン」で行われているのである。

これらのことから、AoM世界でペイガンを再現する近道はウキヨにあるのではないかと考えられる。シーズン3のタイクーンが用いるコクダカは、カラテの付与によるレッサーニンジャ化であり原理は異なるが、今後のシーズンにウキヨへのニンジャソウル憑依を解析できる存在が出現した場合……それは大きな脅威になるであろう。

人工ニンジャのつくりかた3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?