海法 紀光

ゲーマー/ライター/翻訳家

海法 紀光

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最近の記事

『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の内容について

同書を読んだので内容を自分なりにまとめてみる。 まずアメリカにおいて、未成年の性別違和感の診断について、いいかげんな診断が行われ、それに沿った手術も行われる、という問題自体はあるのだろう。一方で、本書のそうした危険についての紹介の妥当さは、控えめに言って懸念が残る。 未成年で、自分がトランスジェンダーではないかと悩む人の内、勘違いであるものも当然、あるだろう。一方で、勘違いでない人もいるだろう。どうやって見分けるのだろうか。 この本によると、トランスジェンダーの人は、自

    • アメコミと専門書店、漫画との比較

      この記事はTwitterで、アメコミと書店、専門店の関係について書いたところ、予想外に多くの反応をいただいた。 色々な人と、お話して補足説明する内に、最初からまとめて書いておけばわかりやすかったのになと思う点があったので、ここにまとめることにする。 前半は、アメコミと専門店の関係について。最後は、アメコミと漫画の売り上げ比較である。 アメコミって売れてるの?というのが疑問の方は、最後だけ見てもよいかも。 アメコミの売られ方 連載アメコミは、1話ごとに30~40pくらい

      • 『スカード』(あらすじ)ジャンププラス原作大賞応募作品

         魔獣が人を喰らい、人が魔獣を狩る異世界。  金に困った傭兵ボルグは、不老不死の魔女討伐の依頼を受けて単独で城を落とす。だが玉座に待っていたのは魔女ではなく可憐な少女だった。悪く思うなと斬りかかった瞬間、二人の体は入れ替わり……。少女に入った、おっさんと、いかつい戦士の肉体を得た姫の追手を避けた旅が始まる。  戦闘を封じられた、おっさん(現少女)と、世間知らずの姫(現、無敵の傭兵)は、せちがらい世間をどう渡るのか? そんな二人のスローライフ、時々バトルな珍道中。  目指す

        • [第3話]スカード(ジャンププラス原作大賞応募作品)

          ○屋根裏部屋 朝日が差し込んでいる屋根裏部屋。 毛布の中で眠っているミアラ。 ボルグ、両腕を交差させて柔軟体操。 ボルグ「痛てて……」 ミアラ「うーん……」 起きてボルグと目が合う。 ボルグ「起こしちまったか? 痛てて……」 ミアラ「大丈夫ですか……」 ボルグ、柔軟を続ける。 ボルグ「筋肉痛だ。昨日ずいぶん暴れたからな」 ミアラ「わたくしは……なんともありません」 ボルグ「鍛え方が違う」 ミアラ「なんか、すいません」 ボルグ「この際だ おまえの体、鍛えてもいいか?」 ミアラ「

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          [第2話]スカード(ジャンププラス原作大賞応募作品)

          ○街の門 街は壁で囲まれており、大きな門がある。人通りの多い門を通ってゆくミアラとボルグ。 ミアラ「これが街ですね。ご本で読んだことがあります」 街壁の内側には、石柱が等間隔に立っている(魔獣よけの結界石)。 商店街に来て、目を輝かせるミアラ(※美少女だと可愛いが、おっさんである)。 ミアラ「ボルグさん、お店がいっぱいです! 買い物しましょう!」 ボルグ「あのな、お姫様は知らねえだろうがな、街ってのは、何かと金がかかるんだ」 ミアラ「そ、それくらいは存じておりますよ?」 ボル

          [第2話]スカード(ジャンププラス原作大賞応募作品)

          [第1話]スカード(ジャンププラス原作大賞応募作品)

          ○街道 昼。森の中の街道を、いかつい顔傷の剣士(ボルグ)と、お姫様な美少女(ミアラ)が歩いている。 ミアラは、顔や服はお姫様だが、ものすごく目つきが悪く、動作も男らしい。不機嫌な様子。剣士のほうは、ガタイに似合わず丁寧な所作で、どこか、おどおどしている。 森の中から現れる山賊達。 親玉「剣を捨てろ」 親玉の背後に、弓を構えた盗賊達。 ミアラ「……」 ミアラ、不機嫌な顔になるが、ボルグが庇うように前に出る。 ボルグ「わたくしたちに何をお望みですか?」 親玉「わたくしたちと来やが

          [第1話]スカード(ジャンププラス原作大賞応募作品)

          嘘とフィクションの境目について

          嘘とフィクション、あるいはノンフィクションとフィクションの境目って、非常に微妙なものだと思うんですよね。 たとえば「美味しんぼ」がフィクションであるのは誰も間違えないでしょうし、山岡士郎が実在すると思う人もいないでしょうが、登場する料理の情報は「ある程度」現実のものとして受け取るでしょう。 作者サイドとしても、現実にある食文化を伝えたり、食に関する問題提起をしてるわけで、それを現実と全く関係ないフィクション、虚構として受け止めるべきだ、というのも、ズレた話でしょう。 そ

          嘘とフィクションの境目について

          なろう系文体および異世界転生の定着経緯

          ・なろう系とは いわゆる「なろう系」とは、小説投稿サイト「小説家になろう」の投稿小説群を中心として発展したスタイルであり、ネット小説から、商業出版、コミカライズ、アニメ化等の派生作品までを含むものである。 「なろう系」については、様々な種類のものがあり、現在も増え続けているが、少なくともある時期において、異世界転生と呼ばれるジャンルが支配的であったと言えるだろう。  特に、現在、漫画化・アニメ化されてる作品では、異世界転生率が非常に高い。漫画でも、ラノベでも、流行り物が席

          なろう系文体および異世界転生の定着経緯