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諧声関係は上古漢語の口蓋垂音系列の再構を支持しない


潘悟云(1997)、Baxter & Sagart(2014, esp. 43–46; Sagart & Baxter 2007, 2009)は、中古漢語の喉音(影母・曉母・匣母)の主要な由来として上古漢語の〈口蓋垂音系列〉すなわち「*q- / *qʰ- / *ɢ-」を再構した。

諧声系列について、潘悟云は軟口蓋音と口蓋垂音は音声的に類似しているので諧声系列上で区別されなかったと考えたが、Baxter & Sagartは、諧声系列上にも〈軟口蓋音系列〉と〈口蓋垂音系列〉が存在したと考えた。

音韻体系内の分布について

潘悟云は〈口蓋垂音系列〉の「*q- / *qʰ- / *ɢ-」の再構によって、他の頭子音系列、すなわち唇音系列「*p- / *pʰ- / *b-」・歯音系列「*t- / *tʰ- / *d-」・歯擦音系列「*ts- / *tsʰ- / *dz-」・軟口蓋音系列「*k- / *kʰ- / *g-」と同様に、「無声無気音 / 無声有気音 / 有声音」のセットが構築できると考えた。Sagart & Baxter(2007)も次のような例を提示してこれに同意している(※以下では中古音の転写には切韻拼音を用いる)。

  • 歯擦音系列
    沮 *[ts]a-s > tsyoh 
    且 *[tsʰ]Aʔ > tshiaeq
    咀 *[dz]aʔ > dzyoq

  • 〈口蓋垂音系列〉
    汙 *qʷˤra > qo
    訏 *qʷʰ(r)a > huo
    于 *ɢʷ(r)a > uo

しかし、全ての頭子音系列が「無声無気音 / 無声有気音 / 有声音」のセットを構成していることに必然性はない。潘悟云はこのセットを共鳴音にも拡張している(例えば「*m̥- / *mʰ- / *m-」)が、「*s-」は「*s- / *sʰ- / *z-」のようなセットを構成してはいない。インド・ヨーロッパ祖語の頭子音系列は通常「*k- / *g- / *gʰ-」や「*t- / *d- / *dʰ-」のように「無声 / 有声無気音 / 有声有気音」のセットを構成しているが、「*p- / *b- / *bʰ-」の「*b-」の存在には論争があり、「*s-」や音価不明の喉音「*h₁-」「*h₂-」「*h₃-」はこのようなセットを構成していない。

潘悟云は中古音の群母⇔云母の対立に基づいて「*g-」⇔「*ɢ-」を再構し、Baxter & Sagartはこれを「*gʷ-」⇔「*ɢʷ-」に修正したが(中古云母は合口音節にしかないので)、一方でタイプB音節の非唇化「*ɢ-」が中古以母へ変化したと仮定して「*g-」⇔「*ɢ-」の対立も残した。全ての頭子音系列が「無声無気音 / 無声有気音 / 有声音」のセットを構成していることに必然性はないのと同じように、「*K-」系列と「*Kʷ-」系列が類似したセットを構成していたと考える必要はないので、以下の議論は非唇化音(「*K-」系列)に限定する。「*Kʷ-」系列については調査中である。

外的比較証拠に基づく口蓋垂音

上古漢語の口蓋垂音は、典型的にはチベット文語「k-」:ビルマ文語「∅-」:ギャロン諸語(一部)「q-」に対応するとされる。下表に意味的に無理のない比較を収集した(cf. Jacques 2004、2014、Zhang et al. 2019、Hill 2019、Gong 2020 等)。

$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{c|ll:l:l:l:l}
& \textbf{漢語} & \text{OCNR} & \textbf{チベット文語} & \textbf{ビルマ文語} & \textbf{茶堡語} & \textbf{綽斯甲語} \\ \hline
家 & \text{窨 }\textit{qyimh} & ←\text{*q(r)[ə]m-s} & \text{ཁྱིམ་ }\textit{khyim} & \text{အိမ် }\textit{im} & & \textit{jə̂m} \\
針 & \text{針 }\textit{tjim} & ←\text{*t.[k]əm} & \text{ཁབ་ }\textit{khab} & \text{အပ် }\textit{ap} & \textit{ta-qaβ} & \textit{ʁɑ̂v} \\
胸 & \text{膺 }\textit{qyng} & ←\text{*[q](r)əŋ} & \text{བྲང་ }\textit{braṅ} & \text{ရင် }\textit{raṅ} & \textit{tɯ-rqo} & \textit{r-qê} \\
陰 & \text{陰 }\textit{qyim} & ←\text{*q(r)um} & \text{? གྲིབ་མ་ }\textit{grib-ma} & \text{? အရိပ် }\textit{a-rip} & \textit{ɴqiaβ} & \\
 & & & \text{? རུམ་ }\textit{rum} & \text{? အုံ့ }\textit{uṃʔ} & & \\
吐く & \text{嘔 }\textit{qouq} & ←\text{*qˤ(r)oʔ} & \text{སྐྱུག་ }\textit{skyug} & \text{အော့ }\textit{oʔ} & \textit{qioʁ} & \\
絞める & \text{縊 }\textit{qieh} & ←\text{*q[i]k-s} & \text{འཁྱིག་ }\textit{xkhyig} & \text{အစ် }\textit{ac} & & \\ \hdashline
蟻 & \text{蚼 }\textit{houq} & ←\text{*qʰˤ(r)oʔ} & \text{གྲོག་མ་ }\textit{grog-ma} & \text{ပုရွက် }\textit{pu-rwak} & (\textit{qro}) & \textit{s-kʰrɑ̂ɣ} \\
糞 & \text{? 屎 }\textit{sjiq} & ←\text{*[qʰ]ijʔ} & & & \textit{tɯ-qe} \\
鳩 & \text{鳩 }\textit{ku} & ←\text{*[k](r)u} & & \text{ခို }\textit{khui} & \textit{qro} & \textit{s-qʰré} \\
 & \text{? 鵂 }\textit{hu} & ←\text{*qʰ(r)u} \\ \hdashline
後 & \text{後 }\textit{ghouq} & ←\text{*[ɢ]ˤ(r)oʔ} & & & \textit{ɯ-qʰu} & \textit{kʰə̂} \\
\end{array}
$$

このほか、意味的に距離があるものとして「頷 $${\textit{ghom}←\text{*[ɢ]ˤ[ə]mʔ}}$$ あご」:「སྐམ་པ་ $${\textit{skyam-pa}}$$ トング」:「အံ $${\textit{aṁ}}$$ 臼歯」:「$${\textit{ta-mɢom}}$$ 万力」と、「赫 $${\textit{haek}←\text{*qʰˤrak}}$$ 赤」:「ཁྲག་ $${\textit{khrag}}$$ 血」:「ရှက် $${\textit{rhak}}$$ 恥じる」:「$${\textit{nɤ-zraʁ}}$$ 恥じる」の比較があった。

中古影母については、同じ対応パターンが複数見られることから、これらの共通祖先言語において「*q-」であった可能性は高いと思われる。ここで問題となるのは、Baxter & Sagartは上古漢語に「*q-」⇔「*ʔ-」の対立があったとしていることである(これは中古影母字が他の声母の単語と諧声関係を持つかどうかのみに基づいている)。上古「*ʔ-」が再構された単語の比較例は見つけられなかったが、少なくとも上で挙げた言語(漢語を含む)に「*q-」⇔「*ʔ-」対立の痕跡は見つかっていない。

曉母については比較に問題が有る。「鳩」「蟻」のギャロン語形について、上表に掲載しなかった多くのギャロン諸語では「*q-」ではなく「*k-」を示しており、上表の「q-」は他の動物名に付加される接頭辞「qa-」からの類推による二次変化かもしれない。「鳩」については、茶堡語の「-o」は「*-aŋ / *-əŋ」に由来するため上古漢語「*-u」とは比較できず、漢語「鵂」には意味に差がある。比較の単語セットの数が少ないため、少なくとも現時点では曉母と匣母に口蓋垂音を再構するのは難しいと言わざるを得ないだろう。

中古影母が上古「*q-」であったにしろ、曉母と匣母が共通祖語において口蓋垂音であったにしろ、本稿の上古漢語の口蓋垂音仮説への反論には影響がない。

問題は、曉母と匣母が上古音において影母とともに〈口蓋垂音系列〉を形成したという説を諧声関係が支持しないことである。影母字が曉母音節を表したり、曉母字が影母音節を表すことはほとんどないことがわかった。すなわち、Baxter & Sagartの主張とは裏腹に影母と曉母が同じ諧声系列に属することは稀で、それがある場合は見溪母を挟む。

*Koŋ: 公 vs 工

Baxter & Sagartは、諧声系列の〈軟口蓋音系列〉と〈口蓋垂音系列〉の違いは、前者が中古牙音のみに用いられるのに対して、後者は中古牙音と喉音が混在していることから区別できるとしている。Sagart & Baxter(2009: 235)ではその例の一つとして「工」⇔「公」が記されている。

Sagart & Baxter(2009: 237–238)は、「公」系列で表される単語と、通常の〈軟口蓋音系列〉である「工」系列で表される単語とが、出土文献において通仮しないことを指摘している。これは白於藍(2008)に基づいていたが、これは更新されたデータ(白於藍 2017: 1003–1004, 992–1000)や、白於藍の著作に収録されていない出土文献のデータ(徐俊剛 2018: 123, 120–122、胡東昕 2021)でも依然として確証されている。

交わらない二つの諧声系列があることと、それが〈軟口蓋音系列〉と〈口蓋垂音系列〉として確立できるかどうかは別問題である。

《廣韻》における「*Koŋ」の反射の声符を数えると以下のようになる。

$$
\begin{array}{c|l:l:l}
& \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{鍾C} & \textbf{東1} & \textbf{江2} \\ \hline
見 & 共10 & 公2、工11(貢3) & 工11 \\
溪 & 工2(巩2) & 工14(空14) & 工11(空10、巩1) \\
羣 & 工13(巩8)、共3 & \\ \hdashline
影 & 邕16 & 公8(翁8) & 0 \\
曉 & 工1(巩1)、凶9 & 工3(空1)、共3 & 工4(空2) \\
匣 & & 工14、共6 & 工1 \\ \hdashline
心 & 公6(松6) & & \\
邪 & 公4(松3) & & \\
以 & 公3、容13 & & \\ \hdashline
章 & 公12、工1 & & \\
\end{array}
$$

【表の見方】上古「*Koŋ」のような音節は、タイプA音節の音韻特徴(すなわちBaxter & Sagartの体系では咽頭化)を持ち(「+A」)、捲舌音の特徴(介音 *-r-)を持たない(「-R」)場合、中古東韻一等になる。表で東韻の列の見母の欄にある『公2、工11(貢3)』は、《廣韻》においてその音節を持つ文字が13文字存在し、「公」を声符とする文字が2つ、「工」を声符とする文字が11存在し、後者のうち3つは「貢」を声符とする文字ということである。

心邪以章母は置いておくとして、牙喉音に目を向けると、「公」系列は影母一等と見母一等のみに出現し、Baxter & Sagartの言う、中古牙音と喉音が混在する〈口蓋垂音系列〉の特徴を示しているかのように見える。そして、Baxter & Sagartは「工」系列を、「公」系列と対立する〈軟口蓋音系列〉に設定している。

しかし、もしBaxter & Sagartの言うような〈軟口蓋音系列〉⇔〈口蓋垂音系列〉が存在していたとしたら、中古曉母の音節には「公」があてられ、「工」があてられることは無かった(あるいは少なくとも稀であった)はずである。実際には、曉母の字には「工」(あるいは他の文字)があてられ、「公」があてられることが無かった。

私の考えでは、(初期の声符はある程度ランダムであったかもしれないが)その後の形声文字が大量に作られた時代には最も近い音を持つ文字が好まれた(溪母一二等には直接「工」が当てられるのではなく「空」が当てられることに注目しよう)。「工」は{工 *Kˤoŋ}の表語文字なので、影母を除く牙喉音一二等では「工」がほぼ独占的に使われているのである。これは、上古音において、曉母は影母(「公」)よりも見母(「工」)に音声的に接近していたことを示唆している。

見母三等には「共」があったため全て「共」が当てられた。影母三等には「邕」があったため全て「邕」が当てられた。曉母三等には「凶」があったため「銎」(散発的な例外)を除いて全て「邕」が当てられた。それ以外は主に「工」が使われたが、たまに「共」が競合した(「巩」は「共」の後起形声字と思われる)。上の表では平声のみを数えたが、上去声でも同じ傾向である。

三等心邪以章母に「公」が使われた理由は今のところ不明である。というより実際には逆で、「公」は{容}の表語文字なので、一等影母に「公」が使われた理由が問題となる。

*Kok: 𠕓(殼屋) vs 角

Sagart & Baxter(2009: 235)は「殼」系列を〈口蓋垂音系列〉、「角」系列を〈軟口蓋音系列〉に設定している。OCNRでは「殼」系列が「*[K]-」にされているが、「殼」系列と「屋」系列はどちらも「𠕓」のサブ系列なので、ロジック的には〈口蓋垂音系列〉でなければならない。

「*Kok」類の声符を数えると以下のようになる。「*Kuk」や「*Kawk」類の系列が混在するので正確な判断は難しい。

$$
\begin{array}{c|l:l:l}
& \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{燭C} & \textbf{屋1} & \textbf{覺2} \\ \hline
見 & 具3、共2、句3(局3)、他 & 𠕓9(殼9)、角3、谷4 & 𠕓1(殼1)、角4、𦥯3、他 \\
溪 & 曲2、匊玉 & 𠕓5(殼5)、哭後告 & 𠕓5(殼4)、角1、觳、他 \\
羣 & 句5(局5) & \\ \hdashline
影 & — & 𠕓4(屋6)、𦥯1 & 𠕓10(屋10)、𦥯3、他 \\
曉 & 九玉 & 𠕓4(殼4)、他 & 𠕓2(殼2)、他 \\
匣 & & 𠕓5(殼5)、角4(斛4)、觳、𦥯2、他 & 角1、𦥯5、觷、他 \\
\end{array}
$$

「𠕓(殼屋)」が牙喉音全てに現れるのに対して、「角」は牙音と匣母のみに現れるので、「公」vs「工」の例と異なり(「工」は曉母にあてられた)、「𠕓」vs「角」の例は〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の理論には正しく沿っている。

私の見解では、これは単に全体的に「角」よりも「𠕓」が好まれたという偶発的な結果である。{角}の音節がある見母覺韻でのみ「𠕓」よりも「角」が優勢となっているが、それ以外の場所では牙音であっても「𠕓」が優勢となっている。Baxter & Sagartは〈口蓋垂音系列〉の声符が軟口蓋音に現れる現象を「*C.q- > *k-」とそれによる後代の類推のみで解決しようとしているが(ここでBaxter & Sagartは「*C.q- > *k-」変化の年代を特定しようという努力を全くしていないように見える)、私はそれだけで見母屋韻・溪母屋韻・溪母覺韻で「角」より「𠕓」が優勢であることが説明されるとは思わない。牙喉音全体で「𠕓」が好まれ、そのうち偶発的に局所的に「角」が生存できる箇所があったと考える。

「𠕓」の内部に目を向けると、影母のみが「殼」ではなく「屋」で表されるのも問題である。見母に「𠕓」が当てられた理由が「*C.q- > *k-」によるものならば、見母では「殼」よりも「屋」が好まれたはずである。

「公」と「工」は戦国時代の出土文献でも接触が確認できない事例であるが、「𠕓」と「角」は接触が確認できるものである。上博《周易》簡42「斛」(今本「握」)の例では、「*g-」の字が影母音節を表す。Baxter & Sagartの体系では、牙音字が喉音音節を表す例(「工」が曉母字にあてられるのと同様)は説明できない。「殼」字は「殳」に従うことから{毃搉}(中古溪母覺韻)を表す文字と考えられるが、殷墟甲骨文には「𧣇」という文字があり、こちらのほうが「殼」よりも古い(なお貞人名「⿰南殳」を「殼」と解釈するのは誤りである)。西周代には「𧣇」に代わって「殼」が作られた。「𠕓」vs「角」の例は「工」vs「共」に近いものである。

*Ko 句后 vs 冓侯

Sagart & Baxter(2009: 235)は「句」系列と「后」系列を〈口蓋垂音系列〉、「冓」系列と「侯」系列を〈軟口蓋音系列〉に設定している。

「*Ko」は、「丩 *Ku」のサブ系列が母音を乗り越えて「句」系列として現れることがやや例外的である。「后」字は「句」の分化字と思われる。

$$
\begin{array}{c|l:l}
& \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, ±R} \\
\textbf{声母} & \textbf{燭C} & \textbf{屋1} \\ \hline
見 & 句7、具求 & 句11、冓6、侯1 \\
溪 & 區8 & 句2、冓1、區3、寇堯 \\
羣 & 句17 & & \\ \hdashline
影 & 區3 & 區15、堯 \\
曉 & 句3 & 句1、侯1 \\
匣 & & 后3、侯21 \\
\end{array}
$$

Sagart & Baxter(2009)は解決できない「區」(影母と溪母に現れる)への言及を回避した。OCNR「驅 $${\text{*[k]ʰ(r)o}}$$」は〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉という諧声系列の対立があったという仮説に反している。「驅」の前身の「敺」字は西周金文に存在するので「*C.q(ʰ)- > k(ʰ)-」変化の時代をうんと古くしなければならないが、それは口蓋垂音仮説の証拠とされているものの多くを無効化させるのでできない。私の見解では、影母と見組は頭子音系列(調音位置)は異なるが用いることは不可能ではなかったため、{驅 *kʰ-}に「區 *q-」があてられた({毃搉  *kʰ-}に「𠕓 *q-」が当てられたのと並行的である)。ここで「冓 *k-」や「侯 *g-」が当てられなかったのは偶発的なものである(どちらも「*kʰ-」そのものではないので特別優先されることはなかった)。

結果、「句」は「オールラウンダー」、ただし「侯」と「冓」が同音の音節ではそれらが優勢、「區」が影母で優勢となり、たまたま早い時期に生まれた「敺」からの類推で溪母でも「區」が優勢となった。曉母で「區」は使われず「句」が使われているので、影母と曉母の上古音は特別近くはなかった。

*Koj

$$
\begin{array}{c|l:l:l}
 & \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{支B} & \textbf{戈1} & \textbf{麻2} \\ \hline
見 & 0 & 戈2、𩰬2 & 果1 \\
溪 & 0 & 禾5(科5)、果4 & 0 \\
羣 & — & & \\ \hdashline
影 & 禾10(委10) & 禾4(委4) & 0 \\
曉 & 0 & — & 0 \\
匣 & & 禾8 & 禾1 \\
\end{array}
$$

この音節類型を持つ単語は数が少なくコメントは難しいが、少なくとも口蓋垂音仮説を強く支持するものではないだろう。「委」系列が中古影母に固定されている理由を説明できないはずである。

*Ka

$$
\begin{array}{c|l:l:l}
& \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\ \textbf
{声母} & \textbf{魚C} & \textbf{模1} & \textbf{麻2} \\ \hline
見 & 古13(居13)、車1 & 古14 & 叚8、家2 \\
溪 & 古1(居1)、去7 & 古5 & 牙1 \\
羣 & 古1(居1)、巨10(渠9)、虍15(豦14) & & \\ \hdashline
影 & 烏5(於5) & 烏12(於1) & 亞6、牙1、丫1 \\
曉 & 虍6(虚6) & 古1、虍13(乎10)、他 & 叚1、牙5 \\
匣 & & 古20(胡13)、虍3(乎3)、互1 & 叚12 \\
\end{array}
$$

「古」が「オールラウンダー」であるが、局所的に同音の字が優勢になった。影母と曉母の諧声系列が(「牙」を除くと)接触していないので、曉母に対する上古「*qʰ-」の再構は支持されない。なお「乎」字は「虖」字の簡体である。

*Kaŋ

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
 & \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{陽C} & \textbf{庚B} & \textbf{唐1} & \textbf{庚2} \\ \hline
見 & 畺14、羊1(姜1) & 畺1、京3、敬2、刑1 & 亢6、岡10 & 亢1、更6、庚3、羹2 \\
溪 & 羊4(羌4) & 卿1 & 亢1、庚12(康12) & 亢4、刑1、堅1 \\
羣 & 畺2、強2 & 畺1、京5、敬2、他 & & \\ \hdashline
影 & 央9(英1) & 央10(英8) & 央7 & — \\
曉 & 卿4(郷4)、香1 & — & 亢3 & 亨3 \\
匣 & & & 亢13、行4、更1 & 行9、羹1 \\ \hdashline
邪 & 羊8 \\
以 & 羊12 \\
\end{array}
$$

「央 *q-」は影母のみに使われ、曉母には使われなかった。Baxter & Sagartは「羊」系列に「*ɢ-」を再構した(これの正当性は現時点では不明)が、「羊」も曉母には使われなかった。{郷}には「卿 *kʰ-」が当てられ、{炕}には「亢 *K-」があてられた。したがって曉母に対する上古「*qʰ-」の再構は支持されない。

Baxter & Sagart(2014: 45、2018)は{景 $${\text{*C.qraŋʔ}}$$}を{影 $${\text{*qraŋʔ}}$$}の派生語と考えているようである。その語源説はともかく、「*q-」音節に「京」が使われていることは、諧声系列に〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立があったという説と矛盾している。

*Kak

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
 & \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{藥C} & \textbf{陌C} & \textbf{鐸1} & \textbf{陌2} \\ \hline
見 & 𧮫3(却3) & 𧮫4(却1)、戟4 & 各5 & 各13、鬲1 \\
溪 & 𧮫3(却3) & 𧮫4(却2)、𡭴2、𧯈 & 各3 & 各3(客3)、𣪠1 \\
羣 & 𧮫4(却3)、虍3(豦3) & 𧮫2(却1)、虍2(豦2) & & \\ \hdashline
影 & 勺2(約2) & — & 亞4 & 亞1、戹1 \\
曉 & 0 & 𡭴1 & 壑2、赤1 & 赫4 \\
匣 & & & 各6、貈1、固1 & 各4(客2) \\ \hdashline
以 & 勺2 \\
\end{array}
$$

影母と曉母と匣母の間に接触はない。曉母{虩}には「𡭴 *kʰ-」があてられた。群母には「各」(および「貈」「固」)のみがあてられており、「*gˤ-」と「*ɢˤ-」の2種類の起源を持つという説を支持しない。

*Kaj

$$
\begin{array}{c|l:l:l}
& \textbf{-A, ±R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{魚C} & \textbf{模1} & \textbf{麻2} \\ \hline
見 & 可6(奇6)、羈1、羇 & 可8(哥4)、加2 & 可1(哥1)、加14 \\
溪 & 可11(奇11) & 可4 & 可2 \\
羣 & 可6(奇6) & & \\ \hdashline
影 & 可11(奇11) & 可6、加1 & 0 \\
曉 & 0 & 可5 & 0 \\
匣 & & 可7 & 0 \\
\end{array}
$$

全ての音節に{柯 *kˤaj}の表語文字である「可」が使われており、〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立を示してはいない。Baxter & Sagartはこれを解決できずに「可」系列に軟口蓋音と口蓋垂音を混合させている。

*Kan

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
& \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{元C} & \textbf{仙B} & \textbf{寒1} & \textbf{刪2} \\ \hline
見 & 干1、建6、虔1、衍1、𢳚2 & — & 干13、㫃3(乾3) & 姦2、閑官 \\
溪 & 寒1、舉 & 寒4、虔2、衍3、䇂1 & 干4、㫃2(看2)、臤 & 干1 \\
羣 & 干1、建1 & 㫃1(乾1)、建4、虔4 & & \\ \hdashline
影 & 焉2 & 焉4、於  & 安5 & — \\
曉 & 干2、寒2、欣 & 焉2、仚亶 & 干2 & — \\
匣 & & & 干3、㫃6(倝6)、寒2 & — \\
\end{array}
$$

曉母と匣母に「干」「㫃」(ともに「*k-」)が用いられており、〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立を示してはいない。

「焉」は影母字が曉母音節を表す珍しい例であるが、これは影母と曉母がともに口蓋垂音であったからではなく、「焉」にはゼロ頭子音の特殊な読み方(云母開口)が存在したので、中古曉母 /h-/ との類似から選ばれたのだと思われる。Baxter & Sagartは「焉」に「*q-」ではなく「*ʔ-」を再構している。

この音節類型でBaxter & Sagartが口蓋垂音を再構しているのは「衍」系列のみであるが、この系列に中古喉音を表す例は存在しない。

*Kat

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
& \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{月C} & \textbf{薛B} & \textbf{曷1} & \textbf{鎋2} \\ \hline
見 & 匃5(曷5) & 匃2(曷2) & 匃9(曷8)、害1 & 匃1(曷1)、薛 \\
溪 & — & 匃4(曷4) & 匃5(曷5)、干盍 & 匃2(楬2)、害1、𠯑 \\
羣 & 匃5(曷5) & 匃12(曷6、桀6) & & \\ \hdashline
影 & 匃3(曷3)、於 & 0 & 匃7(曷7)、安3、於 & 匃3(曷3)、旦乙 \\
曉 & 匃5(曷5) & 0 & 匃7(曷7)、害1 & 匃2(曷2)、害1 \\
匣 & & & 匃9(曷9)、害1、介 & 害8、舝4、𧷎 \\
\end{array}
$$

{轄舝}と同音の場合(匣母鎋韻)を除いて、全ての音節で「曷」が使われており、〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立を示してはいない。

Baxter & Sagart(2014: 44)は「曷」系列を〈口蓋垂音系列〉の典型例として紹介している。しかし、「匃」字は西周金文で既に{匃}(Baxter & Sagartはこの単語に「*kˤ-」を再構している)に使われている。

諧声関係のまとめ

おそらく、声符の選択は以下のような条件で行われた。

  • 声符は原則として、同じ頭子音系列かつ同じ韻のものが選ばれる。

  • 殷代~西周代は上記の原則を満たすものが比較的ランダムに選ばれた。

  • その後、形声文字が大量に作られたが、その時代にはより近いものが選ばれた。
    1. 全く同音の音節を持つ文字が存在する場合はそれが選ばれた。
    2. 同音の音節がない場合はより近いものが選ばれた。

上記の「選ばれた」は人為的・意図的・強制的・排他的なものではなく、ゆるやかな自然選択である。つまり、実際には散発的に条件を満たさない声符が使われることがあったが、そのようなものは条件を満たすのものよりも生命力に乏しかった。

曉母音節の良い表音文字が存在しない場合、見組の文字が選ばれた。これは、上古曉母は「*K-」と近い音だったためである。影母音節の良い表音文字が存在しない場合、見組の文字が選ばれた。これは、上古影母は「*K-」と近い音だったためである。しかし、上で見たように、曉母音節に影母字があてられたり、影母音節に曉母字があてられたりすることはなかったので、上古曉母と上古影母は近い音ではなかった。

したがって、諧声関係が支持するのは、上古曉母に「*x-」、上古影母に「*ʔ- ~ *q-」を再構することである。上古影母の「*ʔ-」⇔「*q-」、上古匣母の「*g-」⇔「*ɢ-」対立は支持されない。

Baxter & Sagartは見組音節に影母字や曉母字があてられたケースをの「*C.q- > k-」で説明しようとしたが、これはまさにこのケースしか説明できず、逆方向が既に西周代に存在したことや、影母~曉母間の接触がないことと矛盾する。

閉鎖音と摩擦音

潘悟云(1997: 21)は「*s-」と「*t-」を例として、Sagart & Baxter(2009: 223)は「*s-」と「*ts-」を例として、摩擦音は他の音韻系列と原則諧声不可能だったと主張し、上古曉母を「*x-」や「*h-」とすることを拒絶した。

しかし、第一に摩擦音は「*s-」しかないので、この一例だけから「閉鎖音と摩擦音は諧声不可能」という原則を立てることはできない。第二に、潘悟云の例は正しいがBaxter & Sagartの例は誤りで、摩擦音「*s-」と破擦音「*ts-」の接触は殷周代に既に見られる(Baxter & Sagartはこの接触をなるべく「*s.r̥- > *tsʰ-」を用いて回避しようとしているが)。むしろ「*s-」~「*ts-」の例は、「*x-」~「*k-」の例と現象的には並行する(すなわち、頭子音系列は異なるため優先はされなかったが、諧声可能ではった)。

古文字学的処理

古文字学的知見によって、偽りの諧声関係を解決することでいくつかの口蓋垂音の再構が不要となる。

*Kuj 貴遺 vs 鬼畏

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
& \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{微C} & \textbf{脂B} & \textbf{灰1} & \textbf{皆2} \\ \hline
見 & 鬼1、歸2 & 鬼2 & 鬼5、貴2、褱2、豈 & 0 \\
溪 & 歸2 & 歸2 & 鬼1 & 0 \\
羣 & — & 歸2、夔4 & & \\ \hdashline
影 & 畏1、威6 & — & 畏10 & 鬼2、畏1、威1 \\
曉 & 0 & — & 畏1、虫4 & 虫1 \\
匣 & & & 鬼2、𤜡 & 鬼3、褱8 \\ \hdashline
透 & & & 遺1 \\
定 & & & 遺9 \\
澄 & & 0 & & 遺1 \\ \hdashline
以 & 遺5 & & & \\
\end{array}
$$

Baxter & Sagart(2014: 101)は、「貴~遺」系列に「*K- ~ *Q-」を再構して〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立を放棄しつつ、「鬼~畏」系列に「*(K-)ʔ-」を再構して、〈声門閉鎖音系列〉⇔〈軟口蓋音・口蓋垂音系列〉という新しい系列対立を設けている。Baxter & Sagartは同じ頭子音系列の表音文字が複数存在することを快く思わないらしく、「貴~遺」系列に口蓋垂音を使ってしまったために、「鬼~畏」系列に「*(K-)ʔ-」を再構せざるを得なくなった。{鬼}{畏}{威}が語源的に関連していたとしても、上古音で同じ頭子音を持っていたかどうかはわからない。

「貴」系列と「遺」系列は別の諧声系列である(趙彤2004: 401–402、徐寶貴2008: 97–101、王鵬遠&陳哲2021)。「公」や「羊」のように牙喉音と以邪母に登場する諧声系列について既に見てきたが、それらとは異なり「貴~遺」は透・定・澄母に見られるため、典型的な「*L-」系列と典型的な「*K-」系列に分割できる。

*Kek, *Kit

「*Kek」の声符は以下の通り。単語数が少ないのでコメントは難しい。

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
& \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{昔A} & \textbf{昔B} & \textbf{錫4} & \textbf{皆2} \\ \hline
見 & — & — & 𣪠4 & 鬲10、𣪠1 \\
溪 & — & — & 𣪠3、契 & 𣪠2、鬲2 \\
羣 & — & — & & \\ \hdashline
影 & 益8 & — & — & 戹10、益3 \\
曉 & — & — & 鬲1、赤3 & — \\
匣 & & & 覡 & 鬲4 \\
\end{array}
$$

「*Kit」の声符は以下の通り。曉母字に「吉」が用いられており、〈口蓋垂音系列〉⇔〈軟口蓋音系列〉の対立を示してはいない。

$$
\begin{array}{c|l:l:l:l}
& \textbf{-A, -R} & \textbf{-A, +R} & \textbf{+A, -R} & \textbf{+A, +R} \\
\textbf{声母} & \textbf{質A} & \textbf{質B} & \textbf{屑4} & \textbf{黠2} \\ \hline
見 & 吉7 & 0 & 吉7 & 吉4、戛2 \\
溪 & 吉4 & — & 吉1 & 吉8 \\
羣 & — & 吉5 & & \\ \hdashline
影 & 一2、壹1 & 乙2 & 壹2、因2 & 乙4 \\
曉 & 吉4、出 & 肸 & 吉1(頡1)、旨 & — \\
匣 & & & 吉7(頡5) & 吉3 \\ \hdashline
以 & 溢3 & & & \\
\end{array}
$$

Baxter & Sagartは{益}と{溢}が語源的に関連すると仮定して「益 $${\text{*qik}→\text{*qek}}$$」と「溢 $${\text{*N-q(r)ik}→\text{*ɢ(r)it}}$$」を再構している。ここで、タイプB音節の上古「*-ik」韻は通常、上古「*-it」韻と合流して中古質韻に変化するが、{益}は「*-ek」韻に変化したという例外的(「方言的」)な変化が仮定されている。

「益」字は{溢}の表語文字と考えられてきたが(裘錫圭1988: 127)、張鑫裕(2019: 49–78)は「益」と「溢」の字形的区別を指摘している。したがって「益」には「*ʔek」、「溢」には「*lit」を再構できる(王鵬遠&陳哲2021)。

語源

Baxter & Sagartは口蓋垂音を再構する際に「単語家族」を提示することがある。しかし、それは常に中古喉音とそれ以外(典型的には中古牙音)からなるセットであり、中古影母と中古曉母の両方が含まれるセットを提示した
ことはほとんどないようである。曉母~見組間の語源的関連は「*C.q(ʰ)- > k(ʰ)-」で説明せずとも、例えば「**Cə-k(ʰ)- > *x-」のようなものでもよいと思われる。

「単語家族」はただの単語の集合体であるため、①形態論が直接解決されるわけではない、②共時的音韻体系を説明しない、という理由で上古音に対する強い証拠ではない。

結論

  • Baxter & Sagartの主張とは逆に、諧声関係は、上古音において曉母~見母間や影母~見母間の音が近かったことを示しているが、曉母~影母間の音が近くはなかったことを示している。したがって曉母は「*x-」、影母は「*ʔ- ~ *q-」を再構するのが良い。

  • 中古影母の起源として「*ʔ-」⇔「*q-」という2つの起源があったという仮説を支持するような諧声関係は特に無い。上古影母を「*ʔ-」とするか「*q-」とするかは上古音韻体系に関わる問題ではない。

  • 中古云母開口は存在しないため、群匣母の起源として「*g-」⇔「*ɢ-」という2つの起源を仮定する必然性はなく、この対立は諧声関係からも支持されない。したがって群匣母には「*g-」のみが再構される。

ただし、以下を否定していない。

  • 中古影母一等と以邪母に現れる「公」系列や、見組三等と以邪母に現れる「羊」系列に関しては、新しい頭子音系列が再構される可能性がある(「谷」「衍」などもそうだろう)。このような分布は典型的な上古「*K-」類や「*L-」類には見られないものである。それは口蓋垂音かもしれないしそうではないかもしれない。

  • 中古影母や曉母と見母の単語の間には語源的に関連するものがある。

  • 中古影母は上古音以前の「*q-」に由来する(ものがある)。

引用文献

  • Baxter, William H., & Laurent Sagart. (2014). Old Chinese: A new reconstruction. Oxford University Press.

  • —. (2018). Old Chinese reconstruction: A response to Schuessler. Diachronica 34: 559–576.

  • Gong, Xun. (2020). Uvulars and uvularization in Tangut phonology. Language and Linguistics 21(2): 175–212.

  • Hill, Nathan W. (2019). The Historical Phonology of Tibetan, Burmese, and Chinese. Cambridge University Press.

  • Jacques, Guillaume. (2004). Phonologie et Morphologie du Japhug (rGyalrong). PhD thesis, Université Paris VII - Denis Diderot.

  • —. (2014). Esquisse de phonologie et de morphologie historique du Tangoute. Brill.

  • Sagart, Laurent, & William H. Baxter. (2007). Reconstructing Old Chinese uvulars in the Baxter-Sagart system (version 0.97). 40th International Conference on Sino-Tibetan Languages and Linguistics.

  • —. (2009). Reconstructing Old Chinese uvulars in the Baxter-Sagart system (version 0.99). Cahiers de linguistique Asie orientale 38: 221–244.

  • Zhang, Shuya, Guillaume Jacques, & Lai Yunfan. (2019). A study of cognates between Gyalrong languages and Old Chinese. Journal of Language Relationship 17(1): 73–92.

  • 王鵬遠&陳哲(2021),清華簡《五紀》讀札,復旦大學出土文獻與古文字研究中心網 2021/12/31 http://www.fdgwz.org.cn/Web/Show/7862

  • 裘錫圭(1988),文字学概要,商務印書館。

  • 胡東昕(2021)《清華大學藏戰國竹簡》(伍-玖)假借字研究,碩士学位論文,哈爾濱師範大學。

  • 徐俊剛(2018)非簡帛類戰國文字通假材料的整理與研究,博士学位論文,吉林大學。

  • 徐寶貴(2008),金文研究五則。張光裕&黄德寬主編:古文字學論稿,安徽大學出版社,96–105。

  • 張鑫裕(2019),漢碑字詞零釋及相關問題研究,碩士学位論文,南開大學。

  • 趙彤(2004),利用古文字資料考訂幾個上古音問題。中國人民大學中文系編:語言研究的務實與創新——慶祝胡明揚教授八十華誕學術論文集,外語教學與研究出版社,397–406。

  • 白於藍(2008)簡牘帛書通假字字典,福建人民出版社。

  • —(2017)簡帛古書通假字大系,福建人民出版社

  • 潘悟云(1997),喉音考,民族语文 1997(5): 10–24。


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