雑に春

【春】
これはもう完全に春であると、かなりうららかな気温が手招いてくれ、軽やかに家を飛び出した。気分が良い。結局花粉症かどうかも杞憂に終わったようだった。それみろ、ただの鼻炎じゃないか。花粉ともものともせず(とはいえ吸い込みすぎないように)たくましくずんずん歩く。ひとえに気分が良い。
ただ、ここから思いもよらぬスピードで蒸し暑くなっていくことを知っている。穏やかな陽気を味わうのも束の間、あっという間に半袖シャツが無様に汗を吸い込む、アホな季節がやってくる。アホ前の短い祭りを絶対に楽しむ。



【衣装】
すねの部分が破けてしまい、新調をお願いしていた衣装の下を受け取った。気分が良い。しっかり漫才をやっていかなければならない。入れ替えるように破けたスーツも直してもらう。ようやく(下だけ)2着目を控えに置いておくようになれる。スーツを2着持つということなので、しっかり漫才をやらねばならない。かっこいい漫才グループは大抵2着目3着目をスタンバイさせている。
いつか来るかもしれないしっちゃかめっちゃかなアホ舞台に備え、スパイダーマンジャケットも一応スタンバイしている。まあでも全然着たくない。早く真っ向から振り返って苦笑いしたい。

スーツだけじゃなくて、靴も思いっくそ履き潰してから買い替えるのもそろそろ辞めたい。きちんとしたい。そこそこ多くの人が当たり前にやっていることの中で、「そうは言ってもなかなかできない」の枠組みにあったものを少しずつ減らしていきたい。控えが充実しているチームは良いチームだ。「リザーブメンバーだけで1チーム作れますよ」というNBAの解説を青春時代にアホほど聞いた。BSでランダムな1試合を見れた頃が懐かしい。



【愛知県】
同じライブに出ているメンバーの中でも、後輩たちに囲まれることが増えてきた。年次が上であることを嘆いてもいられない、心がマッチョな時はともかく人と話したいもんだと思う。

アカデミックな面において絶大の信頼を置くリップグリップの岩永に、
「『愛知は、愛を知るわけだから素敵だ』みたいなポスト見つけてさ、そんな語順を無視したこと言わないでよな?絶対『知を愛す』だよな?なーーー?」
みたいなことを嫌らしく話して共感をカツアゲしたが、あとあと調べてみたらそもそもは「年魚市潟(あゆちがた)」の「あゆち」が「あいち」に転じたと言われてるそうだった。
ともかく調べてみるのは大切だと改めて思った。嫌らしく人をあげつらうからには相応にものを知っていなくてはならない。
響きが転じて定着したというのはなかなかすごい話だ。



ちょっとしたおしゃべりの種を蓄えていかねばならない。なるたけ楽しく、ウキウキと集めていくのが望ましい。スケベ大学チームとも、古川さんとも、無論相方ともまだまだたくさんのことを喋っていかねばならない。

こういう、うだうだなポエムは自分で完結させなければならない。机にしまいこむか、あるいは世界に解き放つものであって、見ず知らずの他人に無遠慮に投げつけるものじゃない。



「先日、SNSでおもむろにポエムを投げつけられたことに無性に腹が立って眠りにつくのが遅くなった」という話を、ライブ終わりにご飯に連れてってくださったしろうさんと槙尾さんに聞いてもらった。2人ともすっかり目を丸くして、有り体に言うならドン引きしていた。「そんなに怒っても仕方ないじゃん〜」と、呆れ倒しつつ、次の瞬間には「そんなこと考えてるんだねえ面白いねえ」としみじみしてくれた。しみじみしてくれたのだった。
ありゃー呆れさせてしまったなあと思いつつ、先輩方に、ようやっと縁取りがくっきりしてきた自分らしさをぶつけてしみじみしてもらう、良い機会になった。先輩におおらかに受け止めてもらう、ありそうでなかなかない機会だった。嬉しかった。
いろんな人と喋っていかねばならない。目と目を合わせて話す。ポエムは他人に投げつけない。

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