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なにもわかってないことを、全然わかってない問題

今日、東浩紀さんと茂木健一郎さんの対談イベントにおじゃましました。
モヤッとしていたことが少し晴れた気がするので、すこし書き留めます。

腹がよじれるほど笑った3時間半……ってながっ(ぜんぜん退屈しませんでしたが)。みんな見ればいいと思います。

【生放送】茂木健一郎×東浩紀
「恒例時事対談・2015冬——迷走するオリンピックから考える日本の脳」

話は多岐にわたって、時事を切り口に日本の閉塞感の因数分解的な内容が主だったと思います。

・日本語圏の規模の限界
1億人と少しじゃ、今後日本語だけで学問をやるには規模が小さすぎるので、今後、高等教育は英語もしくは中国語などで行われるだろうなど
・マスメディアも世間もみんな忘れやすいこと
戦後の日本の学問や文化は、西洋のカウンターとして発展したこと
15年前はマンガやアニメが、日本が誇る文化だなんていう人は世間では多くなかったことなど
・ノーマライズ(標準化)できる翻訳可能な言葉だけが本当の哲学であること
これはなんかかっこよかったんで印象的でしたが、なぜそうなのかはよくわかりませんでした
・宇宙が美しくない可能性
天動説の周転円の美しくなさ(シンプルじゃなさ)などから、ダークマターのダーク(未知)ぶりから、そんなダークなはずはないけど、もしかしたら、世界が美しくない(シンプルじゃない)可能性もあるのか?
・誇り高い生き方にはコストを払う必要があること
(茂木さんをたしなめながらw)
・多重人格/魂ない/セックスはするけどキスはさせない娼婦
酔っ払った茂木さんから飛び出したセクシーワード

などなど、他にもSEALDsどうよとか、政治とか、メディア論とか盛りだくさんでした。東さんの言語に対する考え方は、いつも本当におもしろい。

その中で、茂木さんがざっくりこんなことを言っていました。

学者なのに「基準」がない人がいる。
「基準」がないのに、偉そうにしている人のことが信じられない。
自分自身は「基準」に達してないから、(地を這う)ミミズだと思っている。

自分の「基準」でいえば、アインシュタインやアラン・チューリングはすごい。
でもノーベル賞とってる人の多くは、正直自分の「基準」ではあまりすごいとも思わない。(「もちろん、すばらしいんだけど!」という前置きと「そんなことは、ノーベル賞をとってからいえ」というクソリプについても予防線をはりつつ)

これ常々、教養が欠如しているブレブレの僕にとって、
気になることだったので、質疑応答の時に、
 「基準」とはなんですか? 
と茂木さんに質問しました。(あまり体重ののった聞き方できず反省)

茂木さんは、そんな質問に、いろいろ別の話をしつつ、たぶん、
「世界をがらりと変えるぐらいのこと」だとおっしゃっていたように思います。
あと、「死に至る病だよ」って最後に言ってました。

んで、そこに対して、あまり突っ込めず、
いろいろモヤッとしながら帰途についたんですが、
こういうことかなと思い至ました。

以下、なんとなく僕がわかった気がしたことです。

基準とは何か? 
「世界をがらりと変えるようなこと」
「なぜ生きるのかに直結する命題のこと」

では、「世界」とはなにか? 
自分にとって、認識できる、関われる、関わりたい「世界」はなにか。

たとえば、どうがんばっても「宇宙」は変えられない。
まあ、「自分」ぐらいは変えられるかもしれない。
でも、どうせ生きるなら、せめて「大切な人や物事」やそれが含まれるものを変えたい、とか、そういう世界のレンジとスケール。

茂木さんの場合は、アインシュタインやアラン・チューリングのように、世界をガラリと変えるようなことだそう。でかい。
(なぜかの科学者がそうなのかは、雰囲気でしかわからない・・・)

で、「がらりと変える」ってのはどういうことかなと。今風に言えばイノベーションか。変えりゃいいってもんじゃないし。

んで、深く「命題としての世界」を知って、その世界への距離をはかりつつ、がらりと変える、ということを考えると、自然と謙虚になるぞと。

少し話がスライドしますが、「基準」を知るというのは、「無知の知」に近いことなのかなと思いました。
(ソクラテスの著書はぜんぜん読んでないので、直感的になんですが・・・)

昔から、「無知の知」って簡単に言うけど、
それって「いや自分はなんにもわかってないんで」って謙虚になりなさいってことだと、なんだか足りないと思っていて。

自分は(世の中も)「無知の無知」ばっかなのはなんでかなと。

でもこの話に照らし合わせれば、そもそも「なに」(世界)を知らないのか、どうやってどのぐらい知ればいいのか(がらりと変える)、その「基準」がなかったのかなと。

つまり、「なにもわかってないことを、全然わかってない問題」を解くための道具がちょっと見つかった感じです。

仕事に追われてばかりなので、もうちょっと魂の基準を問いただしたいなと思ったのでした。

対談めちゃめちゃおもしろかったよ!

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