バカ好きバナー02

002 べつにお腹はすいてないけど

* story

カップルっていうのは、一緒にいると会話のクセがどうしても出てしまいます。そうして、お互いのクセに慣れていくと、そのうち、二人のペースが出来上がります。

* couple

———交際2年、もうすぐ三十路。
29歳の槍場さんと28歳の両刀さんは、おねえさんとおばさんが交わる年頃を迎えつつ…、周りからは「彼氏はまだかー!」「結婚はまだかー!」「いい男紹介しようか?!」「嫁にもらってやろうか?!」「高望みしてると賞味期限切れるよ?!」と煽られている真っ最中。あ〜、コドモの恋みたいに「好き!」だけで気楽に暮らせたらいいのに、オトナの恋愛は生活も人生も隣り合わせ…。そんな彼女たちの日常。

〈002〉 staff
story:Lpaca Nakamura
author:Lpaca Nakamura, Ching Nakamura
illustrator:Ching Nakamura



〈002〉


ある日のヤリバさん。
いつものことだけど、
ちょっとだけ困っています。


(ネコちゃんに、
 なにか話しかけたいけど、
 特に何も思いつかない…)


そういうときのヤリバさんは、
考えるより先に口が動いてしまいます。


「お腹すいた」

(あ、別にお腹なんてすいてないのにまた適当なこといっちゃった…)

ヤリバさんはいつも、
口にしてから気づきます。



でも、ネコちゃんは、
ヤリバさんが気まぐれなのも、
ヤリバさんの口から出た言葉が
ヤリバさんの思考や本音とぜんっぜん
噛み合わないことがあるのも、
よーく知っているから、

「お腹すいた?…えーと、それで何かな?」

「つまり、ヤリバさんが望んでいるのは、
 どういうことかな?
 私の作ったご飯が食べたいのかな?
 私とご飯を作って食べたいのかな?
 私と食事に行きたいのかな?
 自分が作ったご飯を私と食べたいのかな?
 それとも食事とは全然関係ないことかな?」

細かく確認してみるのでした。

たぶん、めんどくさい性格だって思われてるのを
知っているのに、つい、考えるより先に
確認事項が口から出ちゃうのでした。


なぜなら…、

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