お金

08.なぜ自費で行わないのか

〜はじめに〜

 1月29日に公開されましたMayprill Recordsによるクラウドファンディング企画についての僕の思いを書き綴っています。1日3つほど上げていく予定が、しばらく前の文章のため色々手直しなどをしていて更新が遅れてしまいました。申し訳ありません!

いずれもちょっと頭でっかちではあるので、表現が少し怖いんですが、興味ある方はよんでみてください。実際に初めてみて杞憂に終わったものも多く、あえて書く必要があるのかなと思ったりもしました。ただ、クラウドファンディングに対するネガティブなイメージというものを自分がどのように乗り越えて、実施するに至ったかが伝わればいいなと思います。

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なぜ自費でやらないの?

 クラウドファンディングをしようと言う試みに対し、一番に言われることはこれかなと思います。僕も実はそう思っていました。自費ではなく支援を募るというこの仕組みに対して、僕の考察を伝える必要があります。バンドが支援を募るとよく言われるのは、以下です。

①お客さんから直接お金を集めようなんて卑しい。ダサい。
②人気がないのをアピールしているようなもの。悲しい。
③高いお金を出した人しか楽しめないなんて不公平で選民主義的。内輪感。
④普段ライブに行ったりグッズを買ったり、応援しているのに、お金を払っていない私たちはリターンイベントに行けないの?
⑤宗教っぽい
⑥被災地等への義援目的や社会的な意義の為ならいいけど、バンドを応援するのは個人の趣味でしょ?
⑦レコード会社にお金を出してもらえない時点で、才能がないんだから諦めなよ。

⑦は言い過ぎですが、それ以外は僕もどこかそう思っていた身として、身につまされるんですが、これはクラウドファンディングにまつわる記事や、そうしたことから発展して色々調べてみるうちに考え方が変わりました。その後いくつかのクラウドファンディングサービスにお金を出してみて、納得することができました。それについて書き出すと長いのですが、最近クラウドファンディングで買った大きい買い物はカバンとヘッドフォンです。

カバンは「ペットボトル一本分の重さ、頑丈で防水機能付きの多機能リュック」です。リターンプランを決めて支払ったのが、1年近く前です(最近ようやく届いた)。でも未来に届くリュックを活動レポートと共に待つのはとても楽しみでした(そして使える!)。これは受注生産型のクラウドファンディングですね。同じくヘッドフォンもですが、そちらは「まるでライブ空間にいるみたい。複数台ペアリング可能なワイヤレスヘッドフォン」でした。品物が来るまで長かったですが、とても楽しみだったのを覚えてます。

会社の設立、プロジェクト立ち上げの為のクラウドファンディングに参加したことがあります。

「児童に夢中になれる特技を教えて、才能を見つけて伸ばす」というプロジェクト(Branch)で、様々な分野のプロフェッショナルを募り、ハンデを抱えた子供にワークショップを開くというプロジェクトでした。

これにも少額ではありますが出資しました。僕も大変落ち着きのない子供で、なんの取り柄もなかった中野少年だったことを思うと。キュンときたんです。僕も年長の先生に歌を褒められたのが嬉しくて(唯一褒められた)歌い出したようなものでした。プロジェクトを立てたのが友人であったこともありますが、そのプロジェクトは今も進行し、活動を見ていて、参加できたことを嬉しく思いました。

あとは、CINRAが廃校を利用して行う大人なカルチャー文化祭「ニュータウン」というイベントのクラウドファンディングで、フライヤーを校舎に貼ります。というリターンで、Emerald名義で出資しました。

イベントに行けないながら、こういう形で微力ながら参加できたのは嬉しかったです。本当に素晴らしいイベントなので。

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さて、参加してみてそんなに嫌じゃなかった自分は疑問に思ったわけです。なんで、バンドのクラウドファンディングだけが否定的な雰囲気があるのか。

思うに、ファンはCDやグッズをもう買っていくれてるわけです。ライブを見るのにお金も払ってます。「更に金とるんかい!」とハードルが一気に上がって、支援した人はコアなファンだけになってしまう。そして参加したファンとそうでないファンの間に溝ができてしまったりするんだろうなとそれはファンに対し、クラウドファンディングの特性が伝わりづらく、理解されづらいところにも理由はありますが、そうしたファンの気持ちは自分にはよくわかります。単にお金をそんなに持っていないから、とかではなく。

そうしたことを踏まえて、これまで応援してくれつつ、流石に高額を払えないよ。という方にコミュニティの参加権をお渡しすることで、コミュニティの中でその様子を見たり、「その面白そうなイベントもう一回やって!」と言える環境を作りたかったんです。そしてそれをバンドが主体で行うのではなく、レーベルとして提供したいというバランスで行えたらと考えたんです。もちろんその中に支援をしてくださる方がいて成り立つわけですが、支援をしてくださった方と、そうでない方を隔てずに「お祭り」のように行うのがいいなと思ったんです。

好きな人に、プロダクトを届ける。というシンプルな思いで動きたいと。また、レコードを持ってない方にも、「バンドの活動を楽しむ/時に参加する」という楽しみを提供できたらいいなと。

【レーベルとしてレコード制作にかかる費用や工程】

レコード制作にかかる費用は膨大です。12inchを100枚作るのに、最低でも25万。装丁やレコードカッティングなど、全てのこだわりを反映し日本製にこだわれば、100枚で70万がかかります。1000枚10000枚と作れば単価は下がりますが、最初にかかる費用は想像する通りです。

かつ、僕達にはレコードを作成するノウハウがありません。それを作る為に協力してくれるMuevoの力やコミュニティの力が必要でした。それだけではなく、今知識を持っている方とのつながりを一生懸命探しています。

レコードを、おくべき場所にしっかりと流通し、一人一人に届けたい。通販なども行いたいですし、そのレコードの中には全作品のパッケージカタログや帯、音楽ライターによる解説を入れたいのです。アーティストが自身のブランドのために制作したグッズとしてではなく、「この音楽を世に紹介したい」という思いの結晶としてのレコードを、作り上げるというマインドで完全保存版の限定生産アイテムを作りたいんです。

【みんなで作ったという価値】

このクラウドファンディングはお金を達成/未達成のキーにはしていません。
人数での達成/未達成なのです。

今回の達成人数は100人です(定員ではない)。

「バンドではなく、レーベルのよびかけで、100人以上の人が応援して、一緒にレコードを作った」

という実績が素敵だと、僕は思ったのです。結果が10人だったら、でももしそれでレコードが作れたなら、それはそれですごいことです。もし1000人!となれば、それは驚きと共に、バンドにとっては大きな実績となりうるものかもしれません。

レコードの成り立ちは、レーベルによる販売権の獲得と、レーベルによる聞き手への紹介という意味合いで販売されてきた経緯があります。昔のレコードを見ると、それがよくわかります。

この話はこの後のコミュニティの話へとつながっていきます。

その為の自費制作ではないクラウドファンディングという手法をとったんです。 

「09.なぜコミュニティなのか」 へ(リンク)

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【noteのサポート機能について】
このnoteではサポート機能を使ってレーベル代表中野に直接支援を送ることができます。もしも支援をいただけた場合は、レーベル運営、主にバンドやレーベルのインフラ面の充実に使用させていただきます。しかしながら、プロジェクト期間中は、可能な限り、Muevoからの支援が嬉しいです。

https://www.muevo.jp/campaigns/1851

温かなサポートは他のノートのサポート始め、外で書く際のコーヒー代などに当てさせていただきます。