20200125

渋谷のNANZUKAで、鬼海弘雄の展示を見る。当然良かった。写真家が記録に徹するとき、写真は"被写体が表現するもの"になる。ちょうど今、濱口竜介の『カメラの前で演じること』を読んでいて、そこで語られている内容に目の前の展示がとても重なった。濱口竜介はジョン・カサヴェテスの言葉を引いて、人がうまく演技できるかどうかは演者が自由で、自分を表に出せるような「環境があるかどうか」にかかっていて、その環境を作ることこそが自分の仕事だとしているが、まさに鬼海弘雄の写真もそのようなものだった。何かをしなくても、人の存在そのものが表現であるということ。からだ自体が語り出すこと。

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