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⑥臨床検査技師がFP3級に合格するまでの話(第6話)

今回は「不動産」分野について,勉強しながらまとめていきたいと思います。

不動産に関する法令

都市計画法

都市計画法とは,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的として制定された法律です。

  • 市街化区域:すでに市街地を形成している区域,概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域

  • 市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域

開発行為を行う場合
 市街化区域では1,000㎡以上の規模であるものは都道府県知事の開発許可が必要.
 市街化調整区域では規模に関わらず都道府県知事の開発許可が必要.

建築基準法(用途制限)

建築基準法では,用途地域ごとに建築用途を制限している.
(用途地域を定めているのは都市計画法)
※1つの敷地が異なる用途地域にまたがる場合,過半の属する用途地域の用途制限が適用される.

✘建築用途が制限されているもの(抜粋)
・住宅,共同住宅,図書館,老人ホーム:工業専用地域
・幼稚園,小中学校,高校:工業地域・工業専用地域
(保育園・こども園などはいずれの地域でも建築可)

接道義務

◎道路の定義
 道路:幅員4m以上の道路
 2項道路:都市計画区域にある幅員4m未満の道
◎接道義務
 建築物の敷地は,幅員4m以上の道路に2m以上接すること.
◎2項道路のセットバック
 2項道路では,道路の中心線から2m下がった線を境界線とし,この境界線まで下がって建築すること.(道路の片側は川や崖の場合,川や崖から4m以上のセットバックが必要)

建ぺい率と容積率

◎建ぺい率:建築面積 / 敷地面積
用途地域ごとに指定建ぺい率が定められている.
建築面積の上限は,敷地面積に指定建ぺい率を乗じて求められる.
(最大建築面積=敷地面積 × 指定建ぺい率)
※指定建ぺい率の異なる地域にまたがる場合は,建ぺい率を加重平均で計算

(例)建ぺい率=建築面積(300㎡)/ 敷地面積(500㎡)= 60 %
(例)指定建ぺい率の異なる地域にまたがる場合

◎建ぺい率の緩和
・建ぺい率上限80%以外の地域で①②を建築した場合【+10%】
①防火地域内に耐火建築物,それと同等以上の延焼防止性能の建築物
②準防火地域内に耐火建築物,準耐火建築物,それらと同等以上の延焼防止性能の建築物
・特定行政庁の指定する角地にある建築物【+10%】
・上記の両方に該当する建築物【+20%】
・防火地域内かつ上限80%の地域に耐火建築物,それと同等以上の延焼防止性能の建築物を建築した場合【制限なし(100%)】

◎容積率:延べ面積 / 敷地面積
最大延べ面積=敷地面積×指定容積率
※指定容積率の異なる地域にまたがる場合,容積率を加重平均で計算

(例)容積率=延べ面積(400㎡+400㎡)/ 敷地面積(500㎡)= 160%

◎前面道路の幅員による容積率の制限
前面道路の幅員が12m未満の場合,容積率が制限される.
※2つ以上の道路に面している場合,最も広い道路が前面道路となる.
・住居系用途地域(法定乗数:4/10)
 幅員10mの場合 10 × 4/10 = 4.0 →容積率:400%
・その他の用途地域(法定乗数:6/10)
 幅員10mの場合 10 × 6/10 = 6.0 →容積率:600%
計算された容積率と指定容積率の小さい方が適用される.

不動産の取得と保有

不動産取得税

土地・家屋を購入・新築・増改築したり,贈与されたりしたときに取得者にかかる地方税.(相続による取得,借地権に対しては課されない)
不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額*)× 税率3%
*固定資産税評価額
 市町村または東京都(23区)が決定
 基準年度の前年1月1日を基準に3年ごとに評価替え(4月上旬に発表)

◎不動産取得税の課税標準の特例
新築・増改築・中古住宅の取得時に,課税標準から一定額を控除.
・新築住宅の特例【課税標準-1,200万円】
 不動産取得税=(課税標準-1,200万円)× 税率3%
 ※床面積50㎡以上240㎡以下など
・中古住宅の特例【課税標準-新築時期による控除額】
 ※床面積50㎡以上240㎡以下など
・宅地の特例【課税標準× 1/2】
 不動産取得税=課税標準× 1/2 × 税率3%

登録免許税

不動産登記の際に課される国税.課税標準は「固定資産税評価額」.
・所有権保存登記:新築建の購入など,所有権を初めて登録するときの登記
・所有権移転登記:不動産の売買,贈与,相続などで所有権が移転するときの登記
・抵当権設定登記:土地・建物を担保にローンなどの抵当権を設定するときの登記

不動産取引に係る消費税

◎課税取引
・建物の譲渡(居住用含む),貸付け(居住用除く)
・貸付期間1カ月未満の居住用建物の貸付け
・不動産仲介手数料
◎非課税取引
・土地の譲渡
・貸付期間が1カ月以上の土地の貸付け
・貸付期間が1カ月以上の居住用建物の貸付け

固定資産税

毎年1月1日現在,固定資産課税台帳に登録されている者に対して,不動産を取得した翌年度から課税される地方税.
※売買契約により,売主と買主の間で所有期間に応じて固定資産税の負担割合を決定することが一般的.
固定資産税=課税標準 × 1.4%*
*1.4%は標準税率.各市町村で変更可.

◎固定資産税の課税標準の特例
・小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分)【課税標準×1/6】
 固定資産税=課税標準×1/6×1.4%
・一般住宅用地(住宅1戸につき200㎡超の部分)【課税標準×1/3】
 固定資産税=課税標準×1/3×1.4%

◎新築住宅の税額軽減特例
床面積が120㎡までの部分について,新築後3年間,固定資産税が1/2に軽減
(2024年3月31日までに宅地を取得した場合の特例)

都市計画税

市街化区域内の土地・建物の所有者に課される地方税.
都市計画税=課税標準(固定資産評価額)×制限税率0.3%*
*0.3%までの範囲で市町村が決定.

◎都市計画税の課税標準の特例
住宅用地(賃貸住宅の用地含む)の都市計画税は一定額を控除できる.
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分)【課税標準×1/3】
・一般住宅用地(200㎡超の部分)【課税標準×2/3】

不動産の譲渡・賃貸

譲渡所得

土地・建物の譲渡(売却)による所得に対して,所得税・住民税が課せられる(分離課税).
譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)
*取得費
売った土地・建物の購入代金,建築代金,購入手数料,設備費などから減価償却費を差し引いた金額.登録免許税,不動産取得税,印紙税等も含む.
※固定資産税は取得費に含めない.
*概算取得費
取得費が不明の場合,譲渡価額の5%相当額を概算取得費とする.
*譲渡費用
仲介手数料,売主負担の印紙税,建物の取り壊し費用など.

譲渡所得の税率

長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%
短期譲渡所得(所有期間5年以内):39.63%

特別控除・軽減税率

◎居住用財産の譲渡所得の特別控除
課税譲渡所得=譲渡益-3,000万円(特別控除)
※特別関係者(配偶者・父母・子・生計を一にする親族等)への譲渡は適用外.
※住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡.
※前年・前々年に特例を受けている場合は適用外.
※長期・短期譲渡所得いずれでも利用可能.

◎居住用財産の軽減税率の特例
譲渡年の1月1日時点での所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合,「居住用財産の譲渡所得の特別控除」後の金額のうち,6,000万円以下の部分に14.21%の軽減税率が適用される.

◎特定居住用財産の買換えの特例
所有期間が10年を超える居住用財産を買い換えた場合に,譲渡益に対する税金を将来に繰り延べることができる.
買換え資産の取得価額に対応する部分について,譲渡益の100%相当分の課税を繰り延べられる.
※所有期間10年超,居住期間合計が10年以上
※譲渡資産が1億円以下
※買換え資産について,床面積が50㎡以上,敷地面積が500㎡以下であること

◎損益通算・繰越控除の特例
所有期間5年超の居住用財産を譲渡し,新たに住宅ローンを利用した居住用財産に買い換えて損失が出た場合,他の所得と損益通算できる.
控除しきれない場合,翌年以降3年間繰越控除できる.
買換えでなくても,所有期間5年超の居住用財産を譲渡しても住宅ローン残債を返済しきれない場合,譲渡損失を損益通算・繰越控除できる.
※いずれも合計所得金額が3,000万円以下であることが要件.

借地権にかかる税金

借地権を設定し,対価として受け取った権利金などの一時金は原則,不動産所得となる.
土地の価額の1/2を超える権利金は,土地の一部を譲渡したものとみなし譲渡所得となる.


税金に関わる部分は難しいですね….
引き続き,お付き合いいただければと思います.

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