技術書を置く技術(序)

友人から、こんな依頼があったのがきっかけ

と言うわけで、ディアウォールで、賃貸物件に優しいオライリー本を置く技術について書きます。この人にはかないません「ディアウォール芸

はじめに

本棚のイメージをクライアントと調整します。
最初は、普通に2x4だけでDIYする感じで進めていました。

ディアウォールの使い方を調べているうちに、こんな本棚を作っている人がいて、素敵!!最高ってなったので、こちらの「棚受けレールセット」を使った本棚を作る図面を作成します。

設計

1.本棚の大まかな仕様決め
何はともあれ本棚のおおよその寸法を決めます。
必要な情報は、「天井と床の高さ(本棚の高さ)」「本棚の横幅」「本棚の奥行」になります。

○ 天井と床の高さ
[ディアウォールを使う場合は、天井と床の高さ -45mm で 2x4 の木材を切ってくださいと説明にあります。足りないときはスペーサーで補う感じなります。
友人宅は 2400mm だったため、 2360mm で設計します。

○ 本棚の横幅
完全に任意の長さになります。本来は荷重を考えて設計しますが、そういった情報が公表されていないため、好きな長さにしましょう。長すぎると、普通にたわむので極端に長いのは、辞めた方がいいでしょう。
リクエストとしては 450mm が良いと言われたので 450 mm + 39mm x2 で設計します。

○ 本棚の奥行
よく日本の技術書で使われている書籍の規格はB5です。
ですが、たまにA4サイズの書籍あるため、A4 サイズが入るように設計します。
以下の通りなので、棚板の奥行を220mm 、本棚の奥行を230mm で設計します。
 ◆ A4 : 高さ 297mm × 奥行 210mm
 ◆B5 : 高さ 257mm × 奥行 182mm
 ◆2x4 : 高さ 2438mm(8フィート) x 奥行 89mm x 横幅 39mm

 2. 図面作成(部品図)
高専ロボコン、機械設計(授業)、卒研(潮汐発電機モデル、コミュニケーション試作ロボット)など、図面をいっぱい書いてきましたが、当時は 3D CAD なんて高価なものは使えなかったので、JW-CADを利用します。こちらは Windows で動くフリーの 2D CAD ソフトになります。

図面を作成する意味ですが、大まかなイメージを事前に問題ないように作る!これに限ります。具体的には以下の通りです。

◆ ソフトウェアのようには変更、修正が木材(物理)には効きません。
◆ 2360 mm で切断したら、2361 mm より長くなることはなりません。
◆ 調整する技術として、アテ板というものが存在しますが、最初からあてにしていると微調整が効かなくなります。
◆ 物理的な干渉は設計段階で排除しなければ、作った後も干渉したままです。

また CAD を使うと、部品の基本的な設計図を起こしたら、それらをコピー&ペースト&(反転or回転)で組み立て図を作ることができるので、おススメです。

というわけで、作った部品図がこちら。今回は加工に必要な情報のみを図面に起こしました。ちゃんとした設計であれば、上面図、正面図、側面図で、規格にしたがった寸法の記載が必要です。

○ 柱(側面図のみ)& 棚板(上面図のみ)


3. 図面作成(組立図)
各部品のイメージ図を作成したものが、こちら。

最大でA4サイズが6段詰める状態の本棚の設計(仮)が完了しました。
図面を作成中、棚受けレールセットの配置をどこにするかを事前に調整しました。
ディアウオール(上部と下部の水色のパーツ)に干渉せずに、A4サイズの本が6段(物理的に最大)の配置になりました。
また加工中の採寸とケガキ作業がめんどくさくないように、XX[1-9]mm みたいなサイズは避けて設計してます。

試作及び見積もり

1.必要な工具
持っていると作業が煽るぞ!という意味で、必須アイテムを紹介します。
○ 必須レベル
 ◆ 電動ドライバー :本棚の作成でも必須レベル。作業効率が8倍ぐらいちがう。
 ◆水平器 :棚を自作する場合は、柱にかかる荷重を均等にするために必要。
○ 推奨
 ◆ 鉛筆:木材にケガキ線を書くのに必要。
 ◆ 曲尺巻金 : でかい直角定規。あると下書き作業が楽になる。

ケガキ作業とは、木材に直接、加工位置を下書きする作業。穴の位置や切断位置などを書いて作業を行う。

2. 試作と見積もり
2.1 試作
たくさん木材や部品を買って、失敗!!ってなると経済的な負担が大きくなるため設計が正しいか検証する必要があります。
まずは、以下の物品を購入し柱が建つか確認してください。

○ 2x4 (8フィート)を 2360+α mm に加工した木材
○ ディアウォール[1 セット(約1300円)]

コツは 2360mm より 2 ~ 3mm ぐらい長めに切断し、あとからヤスリで長さを調整すること。
ダメだった場合は、この時点で普通の本棚を購入することをお勧めします。

2.2 見積もり
2x4 以外は通販で買った方が設計した形に近い状況になるかと思います。
棚板に関しても通販でカッティング作業をした状態で発注できるので良いかと思いました。

○ ディアウォール3セット(約4000円)
○ 2x4 (8フィート)を 2360+α mm に加工した木材 3セット(現地価格)
棚受けレールセット 2セット (約1200円)
○ 棚板 7枚(現地価格)

最後に

今回はここまで、実際の加工の工程に入れば、随時記事を追加していきます。


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