見出し画像

[番外編~ライブレポート~]Simon Phillips "Protocol" 30th Anniversary Tour

こんにちは!!
今回はEveryday Fusion!!!の番外編として、先日行われましたSimon Phillipsの初ソロ作 "Protocol"(1989)の30周年アニバーサリーツアーのライブレポートをお届けいたします!

Simon Phillipsについては第3弾の記事で詳しく触れました、イギリス出身でメタル・ハードロックからジャズ、ポップスまでオールジャンルを叩けるスーパードラマーでしたね。僕は6月9日、赤レンガ倉庫内にあるライブレストラン、Motion Blue Yokohamaで観てまいりました。

はじめに、今回のツアーバンドのメンバーや機材をご紹介・解説していきたいと思います。

Simon Phillips (dr)
Alex Sill (g)
Earnest Tibbs (b)
Jacob Scesney (ss,as,ts)
Otmaro Ruiz (key)

Simon のドラムキットはほとんど昨年の来日公演と同じセッティングでした。2バス、3スネア、タム類は8点、4オクタバンと相変わらずの壮観で巨大な多点キットです(キットの詳細な解説は第3弾記事をご覧ください)。

セッティングの変更に気が付いた点としては、右側にチャイナ(?)が増設されたことが挙げられます。しかも、(写真がピンボケですが)よく見てみるとスタックシンバル(シンバルを複数重ねて、響きを抑えたドライな音が出る)となっており、ライド的にチャイナを使用するSimonならではの位置と方法なのだと言えそうですね!

ベースのEarnest Tibbs は Protocol Ⅱ〜Ⅳまで、長年ベーシストを務めております。詳しくは第3弾記事に書いておりますが、決して派手なソロは取らないけれども、後ろで低音をがっちりと支え圧倒的な安定感を誇るフュージョン系のセッションベーシストです。Allan Holdworth Trioのベーシストも務めておりましたね。ベースはXotic製の5弦でアンプはMark Bassが使われておりました。

キーボードの Otmaro Ruiz は "Protocol Ⅳ"のツアーから参加していた、ベネズエラ出身のベテランであります。フュージョン系の作品やセッションに数多く参加しており、第1弾記事で取り上げましたギタリストのLee Ritenour のバンドや、カシオペアのドラマーであり、近年はデジタル技術を駆使したワンマンオーケストラで有名な神保彰の多くのソロ作などに参加しております。

ギターのAlex Sill、サックスのJacob Scesney は今回のツアーから初めてバンドに加わったメンバーであり、両者とも26歳の超若手とのこと。Alexは動きはほぼないものの、Greg HoweAllan Holdworth を混ぜたような、超絶速弾きを涼しくこなしていて、凄まじい巧さでした。
Jacobはバックステージからジャンプして客席に走りこんできたり(笑)、とてもテンションが高くて面白い人でした。演奏も1音1音メリハリがあって、インプロヴィゼーションもすごくテクニカルでした。

特に注目すべきはギターのAlex Sillであります。彼は大のAllan Holdsworth フリークでして、Allan Holdworth が亡くなった後のトリビュートライブでも演奏しています。実は今回のライブ後に、Alex本人が直接機材の解説をしてくれました。ギターも持たせてくれました(画像の手は僕の手です)!!使用していた機材は以下の写真の通りです。

エフェクター類については、元Ozzy OsbourneバンドのギタリストであるZakk Wylde モデルのオーバードライブ、そしてEddie Van Halen モデルのフランジャーが使用(画像の2カ所の丸)されており、彼らからの影響が垣間見られますね。アンプはおそらくFender製  Deluxe Reverbで、それを基本的な音にした、割とシンプルなセッティングと言えるでしょう。

使用ギターは2本でした。右の白いギターは2015年のKiesel製のもので、彼のオーダーメイド。ボディー材はアルダー、指板はエボニー、ピックアップはAllan Holdsworth のシグネチャーモデルだそう!
左のオレンジ色のギターはなんとCarvin製のAllan Holdworth モデルをそのまま使用しているのです!こちらのギターはYoutubeに載っている、彼のトリビュートライブで使用していたギターと同様のものでありますね。ピックアップももちろん彼のモデルです。
AlexがいかにAllan Holdworth をリスペクトしているかが伝わってきます!

セットリストとしては、Protocol Ⅱ〜Ⅳの曲がバランスよく演奏されている感じで、曲数自体は6曲と比較的少なく、公演自体も約70分と短めでしたが、体感は30分くらいの非常に充実した時間でしたね。インプロヴィゼーションもスリリングで時間が溶けていきました。

Protocolシリーズからは、"Moments of Fortune"(Protocol Ⅱ)、"Narmada"(Protocol Ⅲ)、"Azorez"(Protocol Ⅳ)、"Pentangle"(Protocol Ⅳ)の4曲が演奏されておりました。

特に、"Moments of Fortune"はロックバラードで、Alex Sill は原曲を演奏していたギタリストがロック系のAndy Timmons とは全く異なったスタイルで印象的でした。非常に滑らかで、流れるようにフレーズを弾いていましたね。Greg Howeは時々非常にいびつというか、雑に弾くのが聴かれるのですが、Alexは本当に隙がない印象でして、本当にミスのない完璧な演奏です。今まで生で聴いてきたギタリストの中で最も上手かったように思います!

ちなみに僕はSimonのソロ作品はほとんど持っていき、サインももらってきました!AlexとSimonには写真も撮ってもらえましたね。

ちなみに、AlexとEarnestはどちらもAllan Holdsworth の関係者ということで、Allan Holdsworth が最もジャズに寄ったと言われている2000年発表の名作"The Sixteen Man of Tain"にサインをもらってきました。

そんなこんなで、世界最高峰のプレイヤーたちの一流の演奏を間近で聴けて、本当に楽しめましたし学べたことも多かった最高のライブでした!!
こういったライブはやはり小さいライブレストランやライブハウスで観た方が、迫力もありますし、間近でその壮絶なプレイを目の当たりにすることができますしね。


今回のライブレポートは以上となります。最後までお読みいただいた方、ありがとうございます!!
本文でも書きましたが、Alex Sillが直々に機材を解説してもらえたのは非常に勉強になりましたし貴重な時間となりましたね。次の記事では、おそらくまだ取り上げてなかったベースフュージョンドラムフュージョンのどちらかにフォーカスするつもりです!!

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?