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プロのシロウトになる。

おうち時間、「あたりまえ」の日常を見直す時間ができて、それまでできていなかったことに手をつけるようになった。自分を文章にすることも、なんだかんだ逃げていた。だからこそ今、手につけてみる。

今日は、1週間前にはじめたオンライン飲み会やイベントのグラフィックレコーディングについて棚卸ししようかと。

グラフィックレコーディング(グラレコ)とは、流れる議論を、絵や図・短い文章を駆使してわかりやすく可視化するというもの。

グラレコ、私ができることはこれだ!と独学で始めて1週間、やっぱりみんなやっている。noteでグラレコを調べると今やノウハウ記事が沢山。zoomでのミラーリングの方法、議論の聞き方、構成のコツ、大変お世話になっております。くぼみさんのnoteがとても素敵。

それらを真似してここでノウハウを綴るのはなんだか違うと思ったので、はじめて一週間、自分ができることを続けてみて変わった自分の心持ちを素直に書いて、今の自分を残しておく。

あたりまえが突然なくなった時、私は立ち止まった。

サウナに行くことも、好きなDJのライブに行くこともできない。大学にまず行くことができないし、授業も全部オンライン。大好きな自転車屋のアルバイトも、喫茶店のアルバイトも休業。4月頭に22歳の誕生日を迎えたけれど、立体の人間に祝ってもらえなかった。

カレンダーの予定を黒く塗りつぶす。とりあえずNetflix見る。気づいたら1日が終わっている。

数年後の私が今の私を省みたら、絶対に幻滅しているだろう。

夜になると色々な人がInstagramやYoutubeでライブ配信を始める。1ヶ月くらい前は、インスタライブは著名人がやるものだと勝手に思っていた。実際私は2年前、ひたすら無言でジーンズを裁断するという狂ったインスタライブをしていたけれど。でも、今では誰もが気軽に「今」を発信している。

外出自粛要請が出る前に兜町のK5で出会った、プロの素人集団proshiroutのTORUさんも、インスタライブでオンライン立ち飲み「余市」配信を始めた。

余市では毎日のおつまみのレシピも発信中。

ビールを飲みながら今日もTORUさんのインスタライブを見ようと、ふと目の前にあったiPadを開きメモを取り始めた。これが私とグラレコの出会いである。できることは何かをじっくり考え論理的に始めた、というよりそこにiPadがあったからというのが正直なところだ。

「将来、結婚式の芳名帳に記名するときに褒められたい」という理由で、小学2年生から上京するまで唯一続けていた書道。中心線を意識して書くことを骨の髄から叩き込み、空海の作品の臨書を狂う程書いていたからなのか、字を書くことが好きだ。そして自分の手で文字に書き起こして頭の中を整理することが癖になり、授業中のノートも誰よりも書き込んでいた。特技がたまたま、字を書くことだったのでグラレコとの馴れ初めはとても楽しいものだった。そして、初めてのグラレコをたくさんの人に「褒められた」ので幼い頃からの夢が叶った気分になった。ものすごい安直だけれど、心の底から嬉しかった。自粛期間の中で、久しぶりに生きた心地がした。

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グラレコをはじめてやっと気づいたこと

でも、なんとなく始めてしまったグラレコも、回数を重ねて書いていくうちに気づくこともあった。

オンラインの場でグラレコはおみや

オンラインでのミーティングやイベントが増える中で、メンバーや参加者が自分でメモを取らない限り、「持ち帰れるもの」は少ない。そのため見た目がポップで要点がはっきりわかるグラレコで議論を可視化することで、オンラインの空間に価値をプラスすることができる。

また、接続不良などで参加できなかった人が終了後に振り返りとして使うことができるので、オンラインの空間には、フィードバックの手段としてグラレコがとても使える。

この動画のように、使用するiPadアプリによっては書きあがる過程をタイムラプスとして書き出せるので、終了後の振り返りの時でも議論の流れを把握できる。

その分、誰がいつ見ても流れがわかるように、書き手は構成を一連の流れでまとめていくことが必要だと感じた。特に私が今まで書いてきたオンラインイベントは、ほとんどがゲストとホストの対話なので一本の線のように書いている。複数人が参加するブレストのような場合は、一点から広がっていくようなイメージで描くことになるのかもしれない。まだやったことがないので、これはあくまでイメージ。

そして、これは私だけなのかもしれない。
イベントに参加した時に、アナログな資料や手描きグラレコを一度写真に撮ってしまうと、そのあと見返す時にテンションが上がらない。せっかくなら画質が良くて拡大してもわかりやすくて、イケてて、テンションがあがる何かを「持ち帰りたい」と思う。その一つがグラレコ。

あたりまえとはなんだ

グラレコについて気づいたこと以外に、この自粛中半月ほど腐ったように時が過ぎるのを待っていた人間が、まず行動に移したことで生き生き毎日を楽しんでいる。

グラレコをすることで、自分の好きなことに夢中になる。誰かの役に立ち「ありがとう」の言葉が次への原動力になる。そして、他のことにも挑戦できる心の余白がうまれた。

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ハンドドリップを始めて、朝はコーヒーを淹れる習慣がついた。電車に乗らなくなって行動範囲が自転車圏内になって、自分の住む街に目が向いた。交通費や無駄な外食費が浮いた分、お金の使い道が変わった。野菜の購入は、知り合いの農家から直接買うようになった。感染防止のために制限されることの方が多いけれど、できることも増えた。助け合うことも増えた。さみしくて長いと思っていたおうち時間も、グラレコを始めたことで少しずついい方向に変わっている。

数ヶ月後、むしろ明日、世の中がどうなっているかなんて誰もわからないので、不謹慎だけれど、ここは開き直ってこの新しい「日常」を誰よりも面白がりたい。

プロの素人。

グラレコをさせていただいているproshiroutから学んだことをここに書いて、これからの新しい日常を生きていく。

自分の責任の範囲で、自分のできる範囲で、少しずつでも確実に楽しんで続ける。そして、自分たちは「シロウト」と思うことで、新しいこと、面白いことを吸収し続ける気持ちを忘れない。慣れや傲慢さが人をダメにする。

最後に

グラレコを書きはじめたことで、たくさんの人と繋がり、これまで以上に感謝の言葉の重さを感じています。まずは、グラレコを始めるきっかけになったproshiroutの方々に本当に心からありがとうを、落ち着いたら直接伝えたいと思います。

そして最後まで読んでいただいたあなたにも、ありがとうを。

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