ぐにゃり

日々の生活で自分の感覚がぐにゃりと曲がるタイミングがある。小さい時食べられなかったナスがおいしく感じたり、怖くてビビってた一人で寝ることが当たり前にできたり。

そんな日常に潜むぐにゃり捻じ曲がる感覚は音楽の領域で当たり前のように転がっている。今日日、国を問わず、ジャンルを問わず、好き嫌いも問わず色んな音楽を享受できるようになっているのでそのぐにゃりの回数は増えた気がする。

そんな捻じ曲がりができる曲としてお勧めしたい曲を三曲ピックアップしたい。

今回のピックアップテーマは『歌う声優』だ。

度重なるアニメの大ブレイクの中、声優さんがテレビに出ることが増えている。バラエティでトークをしたり、クイズに答えたりしている姿を見てアイドルみたいなポジションをゲットしたなあと思ったりもする。

そんな声優さんたちは昨今歌うことが増えている。始まりは何かは分からないが、キャラクターをまとって歌ういわゆるキャラクターソングというモノを歌うことが非常に多い。歌番組のランキングでも上位に食い込んでいるのをよく目にする。

これから紹介する三曲は、そんな彼ら彼女らがキャラクターを脱いで自分の名前と声で歌っている楽曲たちになる。是非一読してもらえればと思う。

真珠星/駒形友梨

一曲目は駒形友梨さんの真珠星。昨年リリースされたミニアルバム Night Walkに収録された一曲である。この曲を選んだ理由はもう単純。めちゃくちゃに歌がうまい。ハチャメチャに歌が上手なのだ。うまいと言っても単純に楽譜をなぞるうまさではない。声に情感が乗っている。目の前に星が広がるのだ。加えて、この曲はバックで鳴っている音も落ち着いているので声のごまかしようがない。「声優が歌う曲ってなんか電子音が鳴ってたりとか声をボーカロイドみたいにいじったりしてるんでしょ?」という偏見に塗れた見方をする人にこそ届いてほしい一曲だ。

駒形さんはほかにも多くの曲を自分の名前を掲げてリリースしているが、曲の幅が広く、さながら演じ分けといったところだろうか。声優さんらしさが生きた楽曲群が広がっているので是非ともこの曲以外も聞いてみてほしい。

ヘルベチカ/SparQlew

二曲目は男性声優五人で結成されたユニットSparQlew(スパークル)のヘルベチカ。選曲理由はアイドルに見るキラキラ。キラキラを感じた一つの理由は人数にある。声優さんが歌を歌うときにこのように五人でパッケージになることは少ないように思う(浅学なので間違いがあれば指摘してくださいね)一人や二人だとアーティスト感が増すのだが4人5人となっていくと、そこにアイドルの形を見てしまう。声優という存在がキャラクターを飛び越えて自身もアイドルに近づいていく例を見たような気がした。

さらにこの曲は曲調も非常にポップで、可愛さかっこよさはじける一曲になっていて、それもまた眩しくてちょっと手が届かなさそうな自分が感じるアイドル像と重なったこともキラキラを感じた一因だろう。

真冬のシアーマインド/降幡愛

最後に紹介するのは降幡愛さんの真冬のシアーマインド。降幡さんと言えば静岡県は沼津を舞台にしたラブライブ!サンシャイン!!の黒澤ルビィ役を務めている。さて、そんな彼女の曲を推薦したいかというと明らかに異質なモノだからだ。ポップス然とした曲や、人によればバンドサウンドを後ろに携えて歌う人もいる。そんな中彼女が掲げた旗は80sポップサウンドである。明らかに他のモードと違うのだ。彼女自身そういった曲に親しみ、自身もそんな曲を歌いたい!という背景があるそうなのだが、そういった背景抜きでシンプルに面白い。

曲を聴いてもらうと分かるのだが、80sサウンドとはいえただのモノマネではなく2021年に聞いても負けないようにチューニングされたような曲に仕上がっている。きっと聞く人が聞けば懐かしく、自分のように80sやシティポップに明るくない人間が聞けば新しいと感じる。新しい扉を開くにふさわしい一曲だと思う。ぜひ一聴して少しだけ脳みそがバグってしまう感覚を味わってほしい。

最後になるが、ここに書いた以外の曲でも声優さんの歌う曲は素晴らしいものがいくつもある。「声優が歌って当然」というモードになるのは少し違うが、それでも歌うぞ!!!とマイクを持った声優さんの曲はたくさん聞いていきたい。また、面白い曲に出会えたら紹介しますね。

それでは。

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