留学先(アメリカ)の同僚が気に入った、日本の音楽

 正直、「YOUは何しに日本へ?」を除いて、いわゆる「海外から見た日本」系の話は好きじゃないんですけど、せっかくなので書いてみますね。

 アメリカ・ニューヨーク(田舎)にやってきたのが8月。かれこれ4ヶ月くらい滞在していたことになります。さすがに4ヶ月も経つと、いくらコミュ障といえども同僚との話が日常的になってきます。当然、音楽の話もするわけですが、前にも書いたように、だいたい90年代からゼロ年代前半くらいがピークといった感じで、話によく上がるのはGreen DayとかMetallica。とはいえ、さすがインターネット・ミームの覇者だけあって、Drakeはみんな大好きみたいです(曲ではなくて人として)。みんな作業中は音楽を聴いているんですけど、EDMだったり、メタルだったり、パンクだったり色々です。あと、全員Frank OceanとChance the Rapperのことを知りませんし、Kanye Westのことが嫌いです。いくらアメリカ・ニューヨークとはいってもそういうものですよ。

 一応、日本代表として日本の音楽も紹介するわけですが、相手はそんな感じなので、無理にBo Ningenや森は生きているとかを紹介しても、「地味だねぇ」といった反応で終わります。時々、「海外ではVampire WeekendやFlorence and the Machineが普通に売れてるんだぜ!」って日本のガラパゴス化を批判する人がいますが、実感としてはそうでもないです。ブルックリンで聞いたら変わるのだろうか。

 それはともかく、だったら何を紹介するべきだろう?と思い、色々試行錯誤してみました。その結果、評判が良かったのは、この5つです。


○BABYMETAL

 やはりというか、さすが坂本九以来のビルボードチャートインを果たした日本人アクトですよね。定番の、「えっ!?これなんなの??」からの「俺、これ好きだわ...!!」の流れ、既に5回くらい見てます。意外だったのは、てっきり海外受けが一番良いと思っていた"ギミチョコ!"よりも、"Road of Resistance"とか"KARATE"みたいに、ギミックの少ない単純に格好良い曲の方が評判が良かったこと。"ギミチョコ!"はまぁまぁで、"ドキドキ☆モーニング"は狙いすぎだそうです。今では、僕が作業中にBABYMETALを流していると、「おや、この曲は聴いたことがないぞ?教えてくれ!」といった流れが起きるようになりました。

○マキシマム ザ ホルモン

 こちらも海外で活躍する日本人バンドの定番。感想はシンプルで、「超格好良い!!!!!」です。どういうわけだか、バンド史上最高にカオスな"え・い・り・あ・ん"の評判が良くて、"絶望ビリー"や"「F」"といった人気曲は、まぁまぁといった感じでした。この辺から、「アメリカには無いけれどクオリティの高いもの、そして狙いすぎていないもの」といった流れが見えてきました。一応、coldrainやCrossfaith、あるいはONE OK ROCKといった他のラウド系も聴いてもらいましたが、「普通に格好良いけれど、BABYMETALやホルモンの方が好きだな」という意見が多かったです。(特にラウド系の場合は)言語ってあんまり関係なくて、突き抜けてるかどうかが大事っていうことかな。

○オフコース

(本当は公式動画を貼りたい...)

 なんとここでオフコースが登場します。理由はシンプルにも程があるんですけど、「声とメロディが良い」から。更に、スロバキア人の同僚によると「スロバキアの昔の曲っぽい。どこか懐かしい」とのこと。他にも沢田研二など歌謡曲を紹介してみましたが、これがベストだそうです。

○きゃりーぱみゅぱみゅ

 ポップ・フィールドで強かったのはきゃりーぱみゅぱみゅ。アイドルやシンガーも紹介してみましたが、「そもそもビジュアルが良いとは思えないから楽曲に入り込めない」とか「こういう曲は好きじゃない」といった感想が多かったです(なので名前は伏せます)。というわけで、圧倒的にPVのビジュアルが突き抜けているきゃりーぱみゅぱみゅが大ウケ。PVを見せるたびに衝撃を受けまくる同僚達。("もったいないとランド"のPVを見ながら)「十字架じゃないか!宗教的にOKなの?」と聞かれたので「多分単純にデザインがクールだから使ってると思う」と答えたところ「本当最高だな!!」と返されました。

 「きゃりーが流行ったのって5年前じゃん」と思う人もいるかもしれませんが、それはポップ・カルチャーに感度の高い人達の話です。むしろ5年経って、しかも全く日本のポップ・カルチャーに興味を抱いていないような人にまで衝撃を与えるってのはやっぱり凄いとしか言いようがない。BABYMETALと同様に「曲も凄く良いじゃないか」とのこと。EDM好きの同僚も、「こういうタイプの曲は聴いたことがないから新鮮で良い」そうです。

○浜田ばみゅばみゅ

 「じゃあ、これを見せたらどうなるんだろう」という好奇心から見せた浜田ばみゅばみゅ。なんと今回紹介した中で最も評判が良かったです。

 きゃりーの流れで同僚にPVを見せたところ、そのままリピートを4回繰り返し、その後も聴きまくり、終いには作業中に鼻歌を歌ったり踊りだす始末。「なんなんだよ日本!!こんなオリジナルな作品見たこと無いよ!!!羨ましいよ!!!」と何度も嘆かれました。僕が物凄く困惑したのは言うまでもありません。

 一体何が起きているんだということで、楽曲の背景を簡単に説明。「彼は53歳のコメディアンで、これはコメディの一種だ。テーマにあるのは、若い女の子だけじゃなくて、50過ぎのおっさんでも可愛くなれるっていう深いメッセージだ」と伝えたところ、深く感銘を受けていました。確かにリベラルっぽい考え方かもしれない(たぶん)。同僚の指摘では、「今まで見たことの無い映像だ。でも曲もPVも悪ふざけじゃなくて本気で作ってることがよく分かるし、サビの部分が覚えやすくて中毒になる」とのこと。日本語のままでこの論法が通用するだなんて!

 では、これはどうだと思って、LADYBABYの"ニッポン饅頭"を見せたところ「これは狙いすぎだ」と指摘され、Perfumeのライブ映像を見せてみても「こういうのはアメリカでも聴ける」とのこと。やはり海外進出には「圧倒的なオリジナリティ」と「徹底的なクオリティ」のバランスが重要だという、ある種当たり前のことを改めて実感しました。とはいえ、今年最も海外でブレイクしたピコ太郎を見せたら「どういうこと?」と聞かれてしまったのでやっぱり好みは人それぞれ。

○番外編

 ちなみに日本のお笑い番組も見せてみたんですよ。結果はシンプルで、とにかく、ダウンタウン(というか松本人志)の手がけた番組が圧倒的でした。「笑ってはいけない」のジミー大西から、「サイレント図書館」、「24時間鬼ごっこ」といったガキの使いの定番ネタがもう大ウケですよ。「サイレント図書館」は海外版もありますが、日本版が一番面白いとのことでした。あとは、「めちゃイケ」の「突然熱湯コマーシャル」や、「トリビアの泉」の「種シリーズ」も爆笑してましたね。というか既に見たことがあるって場合も多かったです。そのおかげで、浜田ばみゅばみゅのMVに松ちゃんが登場した時には「HITOSHI MASTUMOTOだー!!!」と歓声が上がりました。

 一方で、「リチャードホール」の「汗のマークの引っ越しセンター」や「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「脳カベ」といった海外人気が高いと言われている企画はそうでもない感じでした。どうやら、「間の笑い」や「馬鹿馬鹿しいことを物凄い真面目な顔でやっている」といった感じが受けるようです。そりゃ松本人志がウケるよなと納得。


 いかがでしたでしょうか。4人くらいという限りなく狭い観測範囲なので、マーケティングとかの参考には全然ならないと思いますが、それでも「何がどうウケるのか」を考える時に、案外日本も外国もそんなに変わらないのかもしれない」なぁと思ったりしました。よく言われる言語の壁とか文化の壁って、最初に考えることではなくて、本当に最初に作らないといけないのは「他にはないオリジナリティ」と「高いクオリティ」なんですよ。それで入り口を作ってから、あとは言語とか考えればいいんじゃないですかね。難しいけど...。


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ノイ村

コメント1件

初めまして。メタル関連で流れてきました。
BABYMETALときゃりーぱみゅぱみゅはわかりますが、オフコースと浜田ぱみゅぱみゅとは面白いですねw
また、『本当に最初に作らないといけないのは「他にはないオリジナリティ」と「高いクオリティ」』は非常に同意です。
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