今年最強のミックステープを放ったブロードウェイ・ミュージカル、"Hamilton"

 "I'm not throwing away my shot! - この機会を逃してたまるか"

 アメリカ・ニューヨークは、エンターテイメントの街としても知られていますが、そんな状況を作り上げたのが、今までに数々の名作を生み出してきたブロードウェイ。いわゆるミュージカルですね。"オペラ座の怪人"や"ライオン・キング"、"キャッツ"といった誰もが知る古典的名作から、"BLUE MAN GROUP"や"STOMP"といった、この日本でも公演が行われて人気を博したアトラクション物、もちろん"The Book of Mormon"や最近では"In Transit"といった新進気鋭の大ヒット作も生まれ続けています。年中通して、今日もブロードウェイのスター達は歌い踊るのです。僕も"マンマ・ミーア"と"STOMP"を見たのですが、"That's Entertainment!!!"と声をあげるほどに素晴らしかったです。

 そんなブロードウェイで、「今、最もチケットが取れないミュージカル」として、まるでMステに登場した時の若手ロックバンドかのように有名なのが、今回紹介する"Hamilton"です。2013年にオフ・オフブロードウェイ(いわゆる自主制作)として上映開始し、2015年にオフ・ブロードウェイ(いわゆるインディーズ)、更にはブロードウェイ(メジャーデビュー!)へと進出しました。そう、まだ3年しか経っていないのです。

 もちろんBLUE ENCOUNTや[Alexandros]とはそのチケットの取れなさは比較にならず、なんと現在発売中のチケットは来年の11月分までほぼ全て完売。唯一購入可能なチケットも1000ドル超えのプレミアムチケットのみ。当然転売も横行しまくっており、今週末のチケットを探してみると平気で7~800ドルを超えてくれます。ちなみに元々130ドルのチケットです。もちろん僕は見たことがありません。見てたらtwitterで引くほど自慢してます。恐らく日本人でこのミュージカルを見たことがある人は100人もいないんじゃないでしょうか。それくらいチケットが取れません。

 じゃあなんでこの作品をわざわざnoteに書くのかというと、この作品ではブロードウェイとしては異例中の異例、ミュージカルの歌唱パートがラップ/R&Bで構成されているんですね。もっと踏み込むと、独立戦争とその後の建国の過程、つまりアメリカという移民の国がどのようにして自由を勝ち取ったのかをヒップホップを使って描いているんです。"Hamilton"とは、アメリカ「建国の父」と呼ばれる一人、Alexander Hamiltonのことです。なんとなくこのミュージカルが社会現象になっている理由が分かってきませんか?

 とはいっても、元々僕はこのミュージカルに興味を持ってなかったんですね。高くて見れないものに興味を抱いたってしょうがないじゃないですか。そんな格差社会の原因みたいな思考を変えてくれたのが、秋に放送されたSaturday Night Liveで"Hamilton"で原案・脚本・作詞・作曲・主演を務めるLin-Manuel Mirandaがホストを務めた回でした。全体的に素晴らしかったのですが、何よりもオープニングで披露した"My Shot (SNL version)"のあまりのカッコ良さですよ。もう猛烈に痺れまして、それからというもの、「何とかして見る方法は無いのか!!」と画策の日々が始まったのです。日本から見れるのかな?

 "My Shot"とは、"Hamilton"のテーマ曲でもあり、今では現在を代表するヒップホップ・アンセムの一つとなった楽曲です。役者兼ラッパーとして、これ以上ないほどのエンターテイナーぶりを発揮しまくってます。時期が選挙前なのでそんな感じのネタがあるのはご愛嬌ですが、そういえば副大統領のマイク・ペンスが"Hamilton"を鑑賞して観客からブーイングを浴びたなんてニュースがありましたね。ちなみに途中に出てくる白髪のおじさんは、SNLの総指揮者であるローン・マイケルズで「昼公演でもいいからチケットを手配してくれないか」なんて直談判してます。

 そして、未だに凄まじい反響を巻き起こしているこの"Hamilton"現象を加速させるアイテムがリリースされてしまったのです。それが、"The Hamilton Mixtape"。ここ最近リリースされた中で一番話題のアルバムなんじゃないだろうか。

 ミックステープというのが、いかにも"Hamilton"らしいですが、これはいわゆるトリビュート盤。既にリリース済みのサウンドトラック(全米3位)を、様々な"Hamilton"好きのミュージシャンがカバーするという内容です。参加メンバーはこちら。

 The Roots, Busta Rhymes, Joell Ortiz, Nate Ruess, Nas, Dave East, Aloe Blacc, Usher, Watsky, Shockwave, Sia, Miguel, Queen Latifah, Regina Spektor, Ben Folds, Kelly Clarkson, Alicia Keys, K'naan, Snow tha Product, Riz MC, Residente, Jimmy Fallon, Ashanti, Ja Rule, Illmind, Jill Scott, Dessa, Andra Day, J.Period Stro Elliot, Wiz Khalifa, John Legend, Common, Ingrid Michaelson, Chance the Rapper, Francis and the Lights, Lin-Manuel Miranda

 超豪華ですよね。超豪華なんですよ。大体こんなメンバーが一同に会するなんてまず無いですよ。しかも全員本気なんですよ。恐らく今年リリースされたミックステープ(これをミックステープと呼んでいいのかは別として)の中では圧倒的な話題性を持つ今作、見事に大ヒットを飛ばしておりまして、なんと、あのThe Rolling Stonesの11年ぶりの新作"Blue & Lonesome"と同日の発売だったにも関わらず、それを蹴落として全米1位が確定してしまいました。もはや完全に社会現象です。

 もちろんApple MusicやSpotifyでは既に配信中なので、「今年の洋楽シーンは凄かったなぁ。来年はどうなるかなぁ」的に2016年を終わらせてしまっている人々には、別の角度として2016年を代表する一枚とも言える"The Hamilton Mixtape"はぜひ聴いてほしいなと思います。そうじゃくても、単純に滅茶苦茶良いので聴いてみてください。気に入ったらオリジナルのサウンドトラックを!

 ちなみに先程紹介した"My Shot"はMixtape盤だとこんな感じになります。1時間前に放送された超フレッシュなライブ映像ですよ!

My Shot / The Roots, Busta Rhymes and Joell Ortiz

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ノイ村

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