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古代王国ガンダーラの都市タキシラ

パキスタンの北西部に位置するタキシラは、古代王国ガンダーラ時代に始まる遺構であり、この国の歴史と遺産の豊かなタペストリーを垣間見ることができる考古学の街です。この記事では、ユネスコの世界遺産に登録されている歴史的名所、タキシラの魅力について探ります。

ガンダーラ遺跡

タキシラは歴史的に3つの重要な交易路が交差する場所にありました。1つは古代インドの都パータリプトラから続く道、もう1つが中央アジアがある北西から続く道、最後の1つがシルクロードへと続く道です。タキシラはその戦略的な位置により、何世紀にもわたって支配権をめぐって争いがおき、何度も支配者が変わりました。

シルクロード(地図の中央あたりがタキシラです)

タキシラは紀元前6世紀頃のアケメネス朝(古代ペルシア帝国)時代に貿易の中心地として名声を博しました。紀元前3世紀のマウリヤ朝時代、とくにアショーカ王の治世時にはその最盛期を迎え、仏教学の学問の中心地として賑わいました。世界中から学者が集まったタキシラは世界で最古の大学のひとつであると考えられています。タキシラは、東洋と西洋の間の貿易、哲学、文化が交流する交差点として繁栄しました。

マウリヤ朝

古代インドの仏教の中心的役割を果たしてきたタキシラの遺跡は、広大な地域に広がっており、その輝かしい過去を垣間見ることができる数多くの遺跡や記念碑が多くあります。 ここに、タキシラの観光名所を紹介します。

タキシラ博物館:遺跡の中にたたずむタキシラ博物館には、この地域で発掘されたガンダーラのコレクションが収蔵されています。仏塔の細部装飾、仏教のレリーフ彫刻から精巧な陶器や硬貨に至るまで、タキシラの文化遺産を包括的に学ぶことができます。

タキシラ博物館

ダルマラージカ:マウリヤ朝アショーカ王の治世中に建てられたこのストゥーパは、タキシラの中で最大かつ最古の仏教寺院です。その堂々とした構造と複雑な彫刻は、この街の不屈の精神を象徴しています。

ダルマラージカ

ジョウリアン修道院:タキシラの町を一望することができる丘の上に建つジョウリアン修道院は、ガンダーラの仏教寺院です。華やかな装飾が施された仏塔、礼拝堂、瞑想室からは、古代の僧侶の日常生活について洞察することができます。

ジョウリアン修道院

シルカップ都市遺跡:紀元前2世紀に遡る要塞都市であるシルカップは、かつてガンダーラを征服したグレコ・バクトリア王国の驚異的な反映を示しています。インド・グリーク朝の時代、タキシラは王朝の都として繁栄を極め、シルカップには、古代インドの影響とギリシャの影響が融合した建物が造られました。

シルカップ

タキシラは、違法な発掘や略奪、不十分な保護活動など数多くの課題に直面しています。 パキスタン政府は国際機関と協力し、タキシラの文化遺産を保護し将来の世代に受け継ぐ活動をしています。この取り組みにおいて観光業は重要な役割を果たしており、世界中から観光客がタキシラに集まり、古代の驚異に驚嘆します。パキスタンは、持続可能な観光産業を促進し、インフラ開発に投資することにより、タキシラの遺産を保存するだけでなく、地域の経済成長を刺激することも目指しています。