東京工業大学 総合型選抜 環境・社会理工学院B 合格体験記(2024)
つい一週間ほど前、東京工業大学から総合型選抜で合格をいただきました。自分自身情報があまりにもなくて困ったので、この選抜がどういうものなのかも含めて書いておきます。このnoteは東工大の総合型選抜を考えている人に向けて書いているので、あまり東工大入試について知らない方にとっては主に入試システムについて説明が足りない部分もあると思いますがご容赦ください。
0.受験を決断するまで
どうして東工大志望に?
私は高校入学からずっと東工大志望でした。東工大志望になったきっかけは単純、「東大京大は厳しい気がするから目指しておくかぁ」程度です。同程度の大学があまりない(と思っていた、京大との差がそこまで広くないことを知ったのはかなり後になってから)ため特にどこかと比較して悩むことはありませんでしたが、私は全科目平均的にできるタイプだったので東工大入試においてはちょっと不利だなぁと思っていました。
また、元から都市計画と防災に興味を持っていたので、環境・社会理工学院を第一志望として高校生活を送りました。私は受験勉強を始めたのがかなり遅く、3年生の6月からだったので、特にそれまでしていたこともなく、志望校で迷うこともありませんでした。
運命の出会いinオープンキャンパス
1・2年生の頃はコロナの影響でオープンキャンパスがオンラインだったため、3年の夏でのオープンキャンパスが自分にとって初めて東工大に行く機会でした。先述した通り環境・社会理工学院土木・環境工学系志望だったので、全学説明会の後は環社のイベントを回っていたのですが、その中で大学の方から「大学でやりたいことが決まっているなら、総合型選抜は出願要件もないし倍率も低いのでおすすめ」ということを教えていただきました。実際に環社Bの総合型選抜は共テの点数+入学後の学びに関する筆記・面接なので、大学でやりたいことについて最低限調べてから行けばそんなに困ることはありません。当時は「国公立の総合型選抜は高校時代に何か実績がある人向け」という漠然とした印象を持っていて、当時総合型選抜を受けることは全く考えておらず、それまでは一切視野に入っていませんでした。(本当はこういう人にこのnoteを届けたいけど、まあちゃんと総合型選抜調べてる人以外には調べないと厳しいよな…)ただし、各女子枠や理・情理では活動実績が必要だったり、生命は生物選択用だったりと学院によって入試に必要なスキルが違うので自分の受けたいところを受けて大丈夫かしっかり確認しましょう。
ちなみに私は地方の公立高校出身なので、インターネット以外からこの総合型選抜に関する情報を一切得ることができず、ほぼすべての対策を自力で行いました。都会に住んでいて塾や学校に一般入試以外のノウハウがある方はもっと楽に戦えると思います。
1.受験するまで
志望理由書、書くぞ~
私は女子枠への出願資格がないため、出願時に提出するのは志望理由書のみでした。学校の先生と塾の先生にそれぞれ2~3回添削してもらい、800字ちょうどにして提出しました。私の場合大学でやりたいことがいくつかあったので800字に収めるのはかなり苦労しましたが、面接のときに改めて志望理由を聞かれて、そこで喋った志望理由についての質問も来るので、うまく書けなくても気にすることはありません。とはいえ文章力はある程度見られていると思うので手は抜かないように。
他の合格体験記でも言われているように出願期間がとても短いので、志望理由書はもちろん調査書の発行などギリギリにならないようにしましょう。また、受験番号は出願内容事前登録をした順(送っていい期間の何日か前にやるやつ。出願受付順ではない)で、環社Bでは受験番号順に面接が行われて(他学院がどうなのかは知らない)面接終わったら帰れるので(帰れないところもあるかもしれない)早く帰りたければ出願登録を早めにしましょう。
筆記・面接対策
筆記は普段から防災や交通計画について考えている自分についてはかなり有利だなと思っていました。(環社Bの問題を地理の問題みたいと言っている人もいましたが、私は理系で入試で一切使わないにかかわらず進研記述模試の地理で全国2桁順位だったりしました)他の人がどうなのかは知りませんが、私は筆記対策は過去問から字数ちょうどぐらいに意見をまとめる練習だけしました。また、学校のサイトから出る問題には英文部分が載っていないので総合型選抜の赤本をお勧めしますが、2023年用として2021年度入試までの問題が載っているのでご注意を。2024年版は発売されなかったので、現状購入できるのは2021年までとなります。そのため何らかの方法で22年~24の過去問が入手できるならした方がいいと思います。(私は赤本以外入手できませんでしたが、受験生であればTwitterのDM等で連絡を取っていただければ2024年の問題はお渡しできます)
面接対策はマナーなどについて少し調べたのと、志望理由をしっかり言えるようにしただけでした。実際どういう対策をすべきか、に関しては口述します。
共通テスト
総合型選抜はまず受験するために共通テストの点数が必要です。おおむね8割程度がボーダー、現行課程の900点満点で750点あれば安心のようです。私は秋ぐらいまでの模試では大体いつも8割でしたがなぜか秋あたりから点数が低下、年明けに学校でやった代ゼミのパックで化学47点の合計657点という点数をたたき出し非常に心配でしたが、共テ前は二次の勉強をいったんストップして共テに集中するなどした結果本番までの調整がうまくいき当日は自己採点では国語(166点)以外ほぼ9割の798点を取れました。(開示が帰ってきたら追記します)
このように共通テスト本番まで点数が伸びることはあるので、受験生には自分の力を信じてあきらめずに頑張ってほしいです。共通テストの勉強法まで書いていると本筋から外れすぎてしまうのでまた別の機会に。
また、環社Bの総合型選抜は共通テストを基礎学力の判定として使っている部分があるので、共通テストの点数が低いと倍率が低くても足切りに通らない可能性があります。余裕をもって合格したければ共通テスト対策をかなりしっかりやることをお勧めします。
足切り発表
この点数で落ちることはないだろうとは思いつつ、足切り発表の前はかなりドキドキしていました。(これは恒例行事らしいですが、)足切り結果が18:15予定のところ19:30を過ぎてから発表されるということが起き、無駄に1時間以上緊張してしまいました。そのときTwitterで同じく待っている人を探して繋がったことで新入生のコミュニティにスムーズになじめたのでツイ廃受験生はご参考に(?)(足切られたら気まずいと思います)
2.当日
家の最寄り駅から東工大まで新幹線を使えば1時間半程度で到着できますが、大事を取って東京にホテルを取って前泊しました。普段寝つきはものすごく良いはずなんですが、ほぼ人生で初めて前日は全然寝られず、そこで自分の緊張に気づきました。
筆記試験
まずHPからダウンロードした試験場案内の一部に間違いがあり、しばらく違う教室の中をさまよっていました。正しい教室に入ると、本来の2倍までの足切りなら女子枠と合わせて18人いるはずのところ14人しかいないことがわかりました。これに関してはどのような意図なのか、また女子枠一般枠併願の人がどういう扱いになっているのか分からないのでなんとも言えませんが、とりあえず想定していたより楽な入試になることが分かりました。
例年記述問題は200字前後の字数制限が課されていましたが、今年は1問を除いてありませんでした。具体的な試験問題には触れませんが、例年通り日本語の大問1つと英語が1つでした。ここ最近は日本語の問題の傾向はないと言っていいほど毎年違った問題が出るので、問題を見る前楽しみでしたが、今年もまた違った(変な?)問題が出ました。英語の方は毎年同じような設問ですが、専門用語にはしっかり注がついていて単語・文法弱者の私でも読むのには困りませんでした。
字数制限がないのをいいことにオタク特有の早口で大量の文章を書いていたら時間が微妙で焦ったり、設問が「できるだけ挙げなさい」だったことに混乱して解答欄で箇条書きをしたりしましたが、おおむね守備範囲内の質問だったので特に困ることはなく終わりました。
面接試験
お昼を食べて午後は面接です。面接時間は1人に12分の枠が割り当てられていましたが、人と人の間に1分しかなかったことからおそらく実際に面接している時間は10分程度ではないかと思います。1人に12分の枠が割り当てられていて、間に1分で、14人いる、単純計算でそれだけで3時間近くなります。さらに、枠が2つに分かれていてその間に13分の空き時間(前の枠が6人で全員女子だったので定員3の女子枠だったのではないかと考えていますがわかりません)があったのでトータルの面接時間はとにかく長くなります。先述した通り面接順は枠の中の受験番号順だったので、出願登録は開始後とにかく早くやることをお勧めします。他学院だと口頭試問がある関係なのかしていいことに制限があるようですが環社Bでは特になく、面接対策できることもあまりないので食後+前日眠れなかったことによる眠気と戦いつつ好きなYoutube(確か僕らの別荘)をずっと見てました。翌日慶應理工の入試だったのに赤本をホテルに置いていってしまったので遊ぶしかなかったんですが、やる気のある人はちゃんと勉強道具を持っていったらいいと思います。
面接ではまず志望理由を尋ねられました。先述した通りあまり志望理由書がうまく書けていなかったのでしっかり「高齢化に伴う地方都市の衰退と地震防災の2つに興味がある」という自分の思いを伝えたところ、志望理由書に書いてあることの質問も面接で初めて言った質問も出たのでそのあたりは臨機応変にやってもらえるものと思います。なるべく早口にならないように、人の目を見て話せないことがなるべくバレないようにしつつ話しました。
その後は志望理由に関する質問でしたが、興味を持ったきっかけや解決したい問題の解決策、他の学問との関連性などの質問で、普段から自分の興味のある分野に対して深く考えている私にとってはすぐに答えらえる質問でした。また、面接官とは1対7の面接ですが、威圧感のある雰囲気ではなくかなり優しい面接だったので、あまりそこに緊張する必要はないと思います。興味を持ったきっかけとして旅行が好きであることを挙げたら少し旅行についての雑談っぽい質問が来たりもしました。
最後「まだ時間がありますけどどうしますか…?」みたいな時間があったので少しヒヤヒヤしましたが、おおむね聞かれたことにはすぐ答えられ、面接官の反応も悪くなさそうだったのでそのときは合格を確信して部屋から出ました。ちなみに面接室にすべての荷物を持って行って、面接が終わったら控室に戻らずにそのまま帰るよう指示が出ました。
3.試験後
当日~翌日
正直かなり手ごたえがあったので、最新の1年分残しておいた慶應理工の過去問をやる気になれず三田キャンパスに下見に行った後麻布台ヒルズに散歩に行くなどし、前日眠れなかったのもあって早めに寝ました。
翌日は切り替えて慶應理工受験でしたが、疲れもあって時間が経つにしたがってかなり思考力が落ちているのを感じました。書いている時点ではまだ合格発表前なんですが見るのが怖いです。そもそも東工大と慶應理工で傾向が近いのが多分物理ぐらいなので私みたいな東工大全振り合格ラインスレスレ人間が受けるべきではないというのはそうなんですが。
ただ、その次の日ですら気持ちがふわふわして勉強が手につかなかったので、一般のことを考えて強制的に問題を解かされる入試というイベントを挟んでおくのはかなり良い選択だったと考えています。東工大翌日慶應理工、おすすめです(ただ過去には試験日が被った年もあるようで、毎年そのスケジュールが組めるとは限りません)
多分あまり参考になる人はいないと思いますが、慶應理工の入試を17:40に受け終わった後、会場から1時間強で着く家に急いで戻って20:30から塾の授業を80分受けたのはさすがにしんどかったです。なんであの日授業行けるって言っちゃったんだろ。
追記
慶應落ちました。総合型勢で受かってる人あんまり見ないので慶應を現実的なすべり止めとして考えている人は総合型をあまりおすすめできないかもしれません。
合格発表
その次の日、奇しくも私の誕生日の2/13の17:00に合格発表でした。この日は勉強は本当に手につかず、無理やり塾の自習室に行っても全く勉強できないまま17時を迎えました。
出ません。ここでも遅刻しやがりました。
しかし17:02、東工大から一通のメールが届きました。
(要約)「一般の足切り通ってたら受験票見れるよ!ただし推薦/総合型で受かった人は受験票出てこないよ」
これでもしかして合格者の発表が出る前に合否が分かるのでは…?と思って恐る恐る自分のページに入ると、「検定料返還請求書」のボタンが。これは受験票が出なかったという意味なので、合格したということなんだと分かりました。その後東工大のHPに戻ると合格者の受験番号が発表されていて、確実に受かっていることを確認しました。
合格後
合格後は翌日に家を探しに東京に行きました。その日が水曜日でたまたま目を付けていた不動産屋が休みだったので、少し離れた場所に行ったところ、「このエリアは東工大だけでなく昭和大の人や社会人にも人気のエリアなのでどんどん良い物件が抑えられていること」「東工大の発表すぐに大岡山の不動産屋に行くと人が殺到するのであまり物件がじっくり選べないこと」を教えていただきました。そのため、「総合型でも一般でも受かったらとにかく早く家を抑える(受かる前に決められればそれが良い)」「大岡山から少し離れた場所(私は自由が丘に行きました)に行く」というのは、家を借りる人にはかなり重要なことだと思います。
また、合格した後に書く必要のある書類の期限がかなり厳しいので、早めにやっておくことが大切です。私はのんびりしていたら雨の日の18時にチャリ漕いで遅くまで開いている郵便局まで行く羽目になりました。
4.総合型がおすすめな/向いていない人とは
東工大の総合型選抜は、基本的に「大学に入ってから通用する人材」を求めています。そのため、「東工大でやりたい研究が特にない人」「大学を就職予備校/モラトリアムだと思っている人」にはかなり向いていないと思います。さらに、理・工・物質は高校の物理/化学/数学で解けるはずなのでそこまで強い負担にはならないと思いますが、環社(と多分情理)に関しては一般入試の対策と全く異なる対策が必要になるので、学力に余裕がある人/浪人しても構わない人以外はちょっと厳しいかもしれません。(私は後者でした)また、基本的に特別な出願資格はないので、一部の学院を除き高校時代の実績や高い評定がない人も他の総合型/推薦とは違って受けられないということはありません。
という方は、ぜひ受けてみてください。
ただ、私の受けた環社Bに関しては土木・環境工学系にコンクリート工学や土壌、水に関する研究も行われていますが、筆記はここ数年環境・都市計画・防災のいずれかについての設問だったり、逆に都市計画や防災についても学べる建築学系のAの問題はデッサンがあって完全に建築士等を目指す人のための入試になっているなど、やりたいことと入試が合わない可能性は十分にあるので気を付けてください。
5.おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。6000字を超える異常な長さの合格体験記でしたが、自分の持っている情報や困ったことはほぼ書けたかなと思います。
この記事についての疑問点や、何か他に聞きたいことがある方は、Twitter(@nngn_22)までお尋ねいただければなるべく返事をします。
この記事が特に地方から東工大の総合型選抜を受験する方の助けとなれば幸いです。
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