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修行はせずとも、"俺の背中"についていく 〜料理ができるようになるまで

わたしは、フランスのお店で働いただとか、
○○レストランで誰かの弟子になっただとか、
ましてや"イタリア料理"みたいなものを専攻して習ったこともない。

いわゆる 修行 というものを経験していない。

これは少しだけコンプレックスでもある。

恥ずかしいことに、前職カフェの面接を受けた時、得意料理は?と聞かれて、答えられなかった。(でもなにか言わないと…と思って味噌汁ですって言いました…。)

そんなわたしでも、なんだかんだで、お客さまにおいしいと言ってもらえる料理を作れるようになった。

個人的な見解ではあるけれど、どうやって料理ができるようになったかという話をしていきます。

ベースは管理栄養士

自分の料理の基礎的な部分は、管理栄養士を目指す学科を専攻した大学時代にあると思う。

ただ、栄養学とは学問であり、授業は食物や栄養素と身体の仕組みについてがメインで、調理を学ぶ機会はまあまあ少ない。

もし、料理がうまくなりたいなら、栄養士は遠回りになるかもなのでお気をつけください。
栄養士と調理師は違います。

でも、栄養士の勉強をして、栄養バランスの良いメニューの組み方、衛生面、食品のもつ働きとかについては詳しく学べたので、それはとても財産になっている。食に興味があるひとなら、勉強は楽しいと思う。

俺の背中についていく

新卒で入った会社では、社員食堂の管理栄養士として働いていた。直属の上司は自分の父親くらいの歳の調理師さんだったのだが、このお方がとてもパンチがきいていた(髪もパンチパーマだった!)。

いわゆる"昭和"なひとで、わからないことを気軽に質問したら「そんなしょうもないこと俺に聞くな」と言われるかんじである。

確かにその通りで、調べれば自分でもわかることだったし、自分の意見を考えてから他人の意見を伺う癖がついていった。
「社会人ってどんなんか俺が教えたるわ」
と言われたことがあるが、自分の意見を考えられるというのはそういうことだったのかな、と思う。

答えを簡単には教えてくれないし、世話を焼いてもらえるわけではなかったので、振り落とされないように背中にしがみついていた。

そして、滅多に褒められないけれど、できることが増えていくと新しい仕事を任せてくれるので、認められたくて先回りしてがんばった。


もう何年も前の話なので、今の時代のひとの価値観には合わないかもしれない。同い年世代のひとたちは、昭和人とミレニアルズの間に挟まれている。パワハラやらモラハラやら、なんでもハラスメントになる時代は少しだけ息苦しい。

自分の選んだ環境なのだから、その環境にいる相手に少し歩み寄ることも経験としていいのではと、この上司に出会って思った。


とりあえず作る

そんな上司だったから、わたしは研究することを覚えた。

作りたいものを考え、本とインターネットを比較して、なにかひとつレシピ通り実践、その出来をみてレシピを全て変える or 配合を少し変える、また実践、の繰り返し。

とにかく、作ってみなきゃ始まらない。失敗は成功の母。

そして、手に汗握りながら試食をしてもらう。
「ええんちゃう」と言われても、次に作るときにはもっとおいしくなるように、効率が良くなるように改良を繰り返す。

これが鍛錬になり、だんだんと料理ができるようになっていったのだと思う。


料理をする環境に身を置く

そして、転職した先のカフェでは、管理栄養士という肩書きから身の丈以上の期待をされていた。でも作る料理は全然違う。

できないやつだと思われたら職がなくなると思い、休みの日は家でいろいろ作って研究した。お店のメニューも教えてくれたので、新たな知識も得ることができた。

自由度の高い職場だったので、okが出れば自分の作った料理をお客さまに出すことができたので、何度も実践をすることができたのでありがたかった。

仕事として日常的に料理をする環境でかなり成長したと思う。

修行するかは自分で選ぶ

カフェを開くならどこかで修行したいと思っていたが、結局、修行といえるような修行はできなかった。もちろん、それぞれ職場の上司は人生の先輩だと思って尊敬している。

それでも、なんとかして料理ができるようになった。

この人のもとで修行したいと思えるひとがいたら、是非とも修行してほしい。必ず力になると思う。

でも、必ずしも修行しなければいけないというわけでもない。

修行が足りないからと、チャンスを逃してしまうことはもったいない。思い切り、も時には大切だ。

いろんな道がたくさんあると思うので、自分の気持ちを大切にして、進む道を決められますように。


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よく聞かれるので、加えて言うと、お菓子は完全に独学です。
それと、母は手の込んだものが出てくる料理上手なひと、というわけではなかったです。
でも、働きながら毎日ごはんを作ってくれていた。グラタンはホワイトソースから作ってくれるが、生姜焼きは市販のタレを使う、みたいな、母親力の高いひとだった。とても感謝しています。


#週1note に参加しています。

今日このnoteを書くと決めていたのですが、偶然にも日曜日担当のかなみちゃんも“修行”について書いていました。尊敬する師匠を見つけて、その側で自分を持って働いているの、すごく素敵だと思いました。

メンバーの方々のnoteに励まされながら、今日もぎりぎり更新することができました〜。

おいしいの追求と心地よい空間づくりのため、サポートを使わせていただきます。