ジョジョランズに抱く期待と不安

 おいお前ら。ついに発表されたな。ジョジョの奇妙な冒険第9部 The JOJOLandsの連載開始時期が。

 はたしてどんな作品になるのか楽しみでもあり不安でもある。なぜ不安なのかと言えばそれはやはりジョジョリオンがああいう感じだったからだ。

俺はジョジョリオンをどういう感じだったと思っているのか!?

 ミステリを期待させる筆致で始めておいて、謎の歯型、記憶の男、宝石を身に着けた幼児に代表される放棄した伏線とみられる描写が多かった上に、設定は生煮えで、看過できないレベルの矛盾が多く、しかしそれでも確かに面白いエピソードや良かったシーンはあったものの、完結してから俯瞰してみれば物語としてあまりに歪で読みづらく決して高く評価することはできないシリーズだったと思っている。

 もう少し簡単に言うとミステリを期待させたのにいつも通りライブ感優先で描いた結果大やけどしたシリーズだったと思っている。

 ジョジョリオン連載開始時点で既に漫画家歴30年(武装ポーカー掲載から数えて)のベテランであるにもかかわらずなおも新境地を目指し、荒木飛呂彦先生はミステリを志向した作品としてジョジョリオンを執筆したのだと思う。あくまで新しいことに挑戦する気概はとても素晴らしいと思う。

 しかしミステリとはやはり整合性が重視されるジャンルであり、ジョジョリオンはお世辞にも整合性のとれた作品とは言えないだろう。
 ミステリを志向したにもかかわらず整合性に欠けた作品に仕上がっている。この点だけで俺にはどうしてもジョジョリオンを高く評価できねんだよ・・・!

 序盤の展開(笹目桜次郎戦決着まで)は伏線の提示と回収が気持ちよく、ミステリとして本当に面白かったし、大弥戦はルール上の戦いを征する流れが面白くて好きだし、ボーン・ディス・ウェイのあたりはやや冗長で「早く病院にたどり着いてくれよ」とか正直思ったけど、ナビとライダーは別々のスタンドだしナビの方のスタンドは味方だと判明するあたりとかすごく良かった。レモンとみかんのところなんかこんなん荒木飛呂彦にしか描けないだろと思った。良すぎて。あとジョニィのエピソードは悲しかったけれどジョニィならこうするしそうなるよな・・・と納得できる良いエピソードだったと思うし、田最環戦はなんかはもうただただ面白いとしか言えない。ていうかあそこがジョジョリオンで一番盛り上がった展開だったと思う。本当に面白かった。プアー・トム戦の三つ巴での枝の奪い合いもどう転ぶかハラハラしながら読んだし、院長戦は第8部にしてまだこんな新しい切り口で「こんなのどうすりゃ勝てるんだよ」と思わせるスタンドを出してきたところにベテランの凄まじき底力を感じた。定助がホリーさんに「オレはあなたの子供だ」「・・・母さん・・・」って言うとこなんか初見のとき体調崩すくらい感動して、ここまでジョジョリオンを読んできて良かったと心底思ったもんね。ラヂオ・ガガも「ラスト2話で急にどうした!?」と困惑しつつも岸辺露伴は動かないのような短編ホラーとして面白くて「面白い!」と思った。思ったんだよ。

 でもだめなんだよ。

 これだけよかったところを列記できようとも、それでも払拭できないほど致命的だったんだよ。整合性に欠けるというか、もはや整合性を放棄して開き直っているかのような感じさえしちゃってさ。ジョジョリオンは。思わせぶりだけど結局何の意味もなかった描写が多すぎる。それは読んでてきついよ。単純に。

 ミステリを志向したのならライブ感はちょっと封印してほしかった。常に新境地を目指す志ある作家としては。一見するとミステリという新境地に挑んでいるようで結局は手癖で作劇しているにすぎない。その創作姿勢には問題がある。それくらいのことは思っている。俺は悲しい。

 まあ、ジョジョリオンに対する俺の気持ちはだいたいこんなもん。

その上でジョジョランズに期待することとは!?

 ただただ面白いこと、長期に亘る伏線を仕込むようなミステリ調にしないこと、ミステリ調にするのであればライブ感は封印して最低限の整合性は整えること。

 また、あわよくばジョジョリオンで謎のまま終わった描写に説明をつける、あるいはジョジョリオンがひどく矛盾の多い物語であったことそれ自体に説明をつけてほしいという思いもあるけどこれは期待しないほうがいいと思っている。

 あとよく今度は昔みたいにスタンド同士でバチバチに殴り合うのがいい、みたいな意見を目にするけどそれは俺的にはべつにどっちでもいい、むしろ様々な「土地」で発生する怪奇現象とか岩昆虫とかと対峙するのでスタンドバトルはほぼない、とかでもいいと思っている。

 まあなに。あとジョジョリオンは岩人間の目的が今ひとつ見えてこなかったところが作品全体の印象を曖昧でよくわからない感じにしたところがあると思うから、なんかこう、そのへんがいい感じになってるといいね。

(岩人間って本当になんだったんだろう。ジョジョマガジン第2号では岩人間について「再生医療などとからめつつ、次の世代の生命、あるいは、人類と同時に進化してきて、覇権をのっとるような存在を作りたかったんです。」と説明していたけど、アーバン・ゲリラ戦で少しだけ言及された不死産業はその後とくに掘り下げがないし、透龍くんは新ロカカカを「2億円で売ろうかな」とか言ってて不死産業をやる気があるのかよくわからないし。人類から覇権を乗っ取ろうとしている不気味な生物として描いているかと思えば、どこか寄る辺ない悲しい存在としての面も描かれて、そういう多面性みたいなのが一元的でない、深みある面白さみたいなものに寄与していたかといえば正直そうは思えなくて、とにかく全体的に曖昧な印象になってるんだよな。皆さんはどう思いますか?是非コメントして下さいね!(するな))

 

ではジョジョランズの何が不安なのか!?

  ジョジョリオンの二の舞にならないか不安です。それだけです。

  ジョジョリオンでは定助の正体くらいは連載開始前に考えてあっただろうと思う。吉良吉影と誰かが融合した存在であるということくらいは。でも吉良と誰が、どういう経緯で融合に至ったかは連載しながら考えたんだろうなと思う。だから記憶の男も登場しなかったし八木山夜露や作並カレラの言動も過去編と矛盾したのだろう。ジョジョランズではこういうことはしないでほしい。もっとよく設定を練り込んであってほしい。歴代最長の休載期間中に、慎重に構想を練っていることを切に願う。

 この記事の冒頭にも書いた通り、なぜ不安なのかと言えばそれはやはりジョジョリオンがああいう感じだったからだ。これに尽きる。

終わりに

 ジョジョランズに何を期待するのか、ジョジョランズの何が不安なのか、その説明をする前に今のジョジョリオンの状況を理解する必要がある。

 これはそういう記事だった。

 面白かった?面白かったんならさぁ、なんか・・・お金とかくれよ・・・ほら、アレ、note特有の・・・クリエイターを支援するだっけ?そんなボタンあるじゃん。下に。ない?ないなら仕方ないけどさ、あるなら・・・ね?

 ・・・・・・みんなもジョジョリオンを読んで期待を膨らませたり不安になったりしながらジョジョランズ連載開始に備えよう。【完】

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