見出し画像

US : Nina Simone

Nina Simone(ニーナ・シモン)

幼少期から英才教育を受けていたクラシック仕込みのピアノや、女性でありながらバリトンの深みを持った歌声が特徴的なジャズシンガーだ。

バックボーンはクラシックだが、ジャズだけでなく、ブルースやフォーク、ポップスをうまく融合した。


2015年に公開されたドキュメンタリー映画『What Happened Miss Simone?』(邦題:ニーナ・シモン 魂の歌)で、歌手としてだけでなく、活動家としても精力的だった彼女の苦悩が明らかになった。



彼女の類いまれな音楽的才能は、大スターになるには十分だったことは確かだ。

しかし彼女は人種差別が蔓延る時代に、社会的・政治的なメッセージを、激しい怒りと共に楽曲へとブチ込んだ。

『Mississippi Goddam』

「Goddam(ガッデム)」は「クソッタレ」的な意味合いだが、当時は黒人男性でさえ使っていなかった言葉だった。

[lyrics]
My whole country is full of lies
(この国は嘘にまみれている)

We're all gonna die and die like flies
(私たちは虫ケラのように死んでいく)

I don't trust nobody any more
(もう誰も信じない)


その後彼女は、公民権運動にものめり込んでいく。
そして絶望の淵に立つ黒人を勇気づけ、民衆の声を代弁し続けた。


当時の彼女の原動力は怒りであり、ライヴではその怒りから声を潰し、これまで歌えていた音域も出なくなった。


彼女は当時のラジオ番組で
「社会的なメッセージを歌にする使命が無ければもっと幸せだったと思う。でもニーナとして生きなきゃ(I have to live as Nina)。」
と語っている。


自由とは "No Fear=恐れが無いこと" だと彼女は言った。

負う代償はあまりにも大きかったが、当時を生きる黒人が胸を張って自由な日々を送れるよう、彼女は使命を全うした。


ニーナの魂は今でもなお、多くの人々の心の中で熱く燃えているだろう。


o2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?