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100P同人誌の制作備忘録

人生において趣味の1つの同人活動ですが、年々ページ数が増えたり+なんか毎回やり方うんうんしてるなあ~と思ったので
進め方の備忘録を描くことにしました。

3/17 HARU COMICCITY 地獄特別会議20にて
A5/150Pの漫画同人誌を発行しました。

手順
①プロット兼ト書き(アナログ・アプリ)
②ネーム(アナログ)
③下書き(デジタル)
④写植(デジタル)
⑤ペン入れ(アナログ)
⑥グレー入れ(アナログ)
⑦スキャン取り込み
⑧仕上げ(デジタル)


簡単なスケジュール


2023年8月終わり プロット兼ト書きスタート
2023年9月中盤 ト書き終わり
2023年9月中盤 ネームスタート
2023年9月下旬 下書きスタート(同時に同人手帳起動)
2023年10月10日 ネーム完成(ここで150Pとわかる)
2023年10月11日 写植スタート
2023年10月11日 下書き80P完成
2023年10月23日 下書き完成
2023年10月24日 写植完成
2023年10月25日 ペン入れスタート
2024年 1月5日 ペン入れ完了
2024年 1月6日 グレー塗りスタート
2024年 1月14日 グレー塗り完了
2024年 1月16日 仕上げスタート
2024年 1月24日 仕上げ完了
2024年 2月13日 入稿

同時進行だ



はじめに


どういうわけだか筆が早いと思われているけれど、筆の速さと引き換えに丁寧さを失っている仮初の速筆です。
あと同人誌を作る時にかなり先のイベントに申し込む&スタートがはやいので早く終わるだけです。
2023年4月くらいに友達と下書き、線画、仕上げ交換をした際に他2人と比べて自分の粗さに
ものすごくて猛省し、今は丁寧にを常に念頭に置いて作画しています。
つまり時間かかるなこりゃ、となっていた。
150P(本文146)の漫画は初めてでしたが、長編漫画自体は初めてではなく

2019年 約50Pの同人誌発行
2020年 約60Pの同人誌発行
2021年 約90Pの同人誌発行
2022年 約28Pの同人誌発行
2023年 約110Pの同人誌発行

という話まとめられねーの?という同人誌を発行しています。なのでそこそこの長い漫画はかけるかな~と
いった感じです。
あとは経験からくる「スケジュール管理」「やる気の有無」「作業の効率化」にかかっています。


■作業環境
ペン入れ、グレー(トーン)はアナログ
ペン入れとグレーを加工するのはクリスタでやっています。

数年に一度画材について質問があるので後々にまた聞かれたときのためにここに書きます。

・原稿用紙
結局まだまだまよいはありますが今は上質紙135Kです。メーカーはペーパーミツヤマ。
・ペン
チタンGペンです。とにかく柔らかいペン先がいい。
レオナルドがくっそやわらかいと聞いたので買ったりしましたが、使うまでの整備に時間かかりすぎ&
そもそもあんまり機能しないペン先率に当たりやすい気がするので止めました。いつかまた挑戦します。
大半はチタンGペンと万年筆が合体したペンを使っています。
インク瓶とかださずにかけるので便利です。
自分で改造したものではなく既製品を使っています。数社試した結果今のメーカーに落ちついています。
・インク
これも模索中ですが今はPILOTの強色(黒)使っています。
PILOTのこと好きすぎる。
・ボールペン
定規を使うところや見直し中に修正箇所を見つけたときに使います。
ユニボールワンが個人的に一番いいです。
・ミリペン
5mmの物をコマ線につかいます。

~作業START~

①プロット

今回初めてのやり方でプロット、ネームをやりました。
頭の中でなんとなくこうしたいな~という流れを無秩序にメモで書きます。

付箋に書いて適当に貼っておく。未来の自分へ全てを任せる。


メモを元にト書きでセリフ等の流れを書いていきます。(使用アプリ:NoLA)
アプリだと外でも携帯開きながらかけるので隙間時間にかけて便利でした。
この時、セリフも行動も全部書きます。とにかく物語の空白部分をなくします。
あとでネーム・写植しているときにセリフは変えられるのでここは細かさ&とにかく終わらせる重視です。
以下ト書き一部▽

行動の隙間を作らないように何してるかも書きます。

●なんでト書きを書くのかは
以前こういうツイートをみかけたからです。

同人誌を作る際にどこで詰まるのかを考えると「ネーム」でした。
なんでネームに詰まるのかというと自分の場合は「つなぎ」や「セリフ」に悩むからです。
次のアクションにいきたいけど間に入れる部分が思いつかない・・・、
いいことを言わせたいけど思いつかない・・・

ネームはほぼ直さないのですが、一発で決める時間が長い!!あと疲れる!

ということで今回は文章の時点でぎっちぎちに決めました。
ここでは矛盾やセリフのおかしさもあるでしょうが感情がのっているのでなるべく感情のままに書きます。
ネームで直せばいい。
まあネームで直さないこともしばしばなのですが次回に生かしていこう(その場しのぎの枕詞)。

結果的にはうまくいきました。
ト書きがあると展開はきまっているのであとは構図や、
どう見せるかをネームで考えればいいだけなので精神的にかなり楽です。

②ネーム


書いたト書きをiPhoneのメモ帳にコピペして、1枚に6Pいれるように印刷します。
すると右部分が空くので空いてる部分にネームを書いていきます。

ネーム書いててまずいのがセリフを書いてても解読不能になるので印刷にしとくと助かる。


この時展開はそうそう直しませんが、セリフは直したりしています。
ネーム書いていると話のもたつきとかに気づくので・・
文章でぎちぎちに展開がきめてあるのでネームのすすみにムラがなくなりました。

ネーム自体はかなり小さいのでセリフにABCDと振り吹き出しにAなどと書きます。
これがのちに写植をする際に役立つ。

③下書き


まだ丁寧な方の下書きです


20Pほどネームを描いた時点で下書きを始めます。
つまりネームと並行。1日5ぺージ下書きを進める算段です。
ネームに飽きたら下書き、下書きに飽きたらネームでやっていました。
下書きを60ページほど終えたころ、ネームも出来たため、以降の下書きは
タイマーセットしたポモドーロ法で進行しました。

下書きは丁寧にやるのがまじで今後の作業の早さにもかかわってきます。
背景だけのコマでもなるべくそのままペン入れできるくらいまでは描く。
資料をだして描くなど・・・。
とにかくある程度はちゃんと書いときます。
丁寧にやっている人間からしたら粗い下書きなので。
そうはいってもページが進むほどに下書きは雑になっていきます。

④写植


ネームで変えたセリフを修正しながら写植をします。
下書きと並行です。
ネームで振ったABCDを頼りにいれていきます

クリスタにセリフを入れる際は必ずストーリーエディターで。
まじでこれが2023年で一番役に立った機能です。
詳しい使い方はググるといいかも。
我はこちらの方を参考に使いました。

スマホでセリフをかいてPCやiPadでストリーエディターに入れて配置します。

下書きを終えるまでは家では下書き、外では写植でした。
昼休みの2、30分を写植にあてれば一週間で2時間写植作業したことになるぞ!

写植までおわったらペン入れの為下書きを印刷します。(名もなき地獄)

⑤ペン入れ


あとは手を動かせば終わるので気を狂わせながらいきましょう。
1日2ページでもやれば11~1月の間に終わります。(でもつかれたら休め)
ペン入れ順はかなりめちゃくちゃです。
描きやすいページから入ったりが多いですね。
ただ難しいページは最初の方にやっておこうと決めたので
動きの多いページは前半に済ませてあります。
スケジュールぎりぎりだなと計算してたのでペン入れに遅れが出て後半の難しいシーンが雑になることを避けたかった。
最初の方にやるペン入れはペースがつかめていないこともあるのですが、
ペン入れミスったらスキャン後に直そうと思って気軽に進めます。
あとあれほど下書きを丁寧にとか言っていたのにどうせ後半は前半に比べて雑なので
後半は時間的に余裕のある先に済ませときます。

大体1ページ1時間くらい



下書きを丁寧にしたことがここで生きてきます。何も考えずに書ける。
消しゴムかけが大っ嫌いなのでペン入れはトレース台にのせて透かしてやります。

下書きと原稿用紙をクリップで止めてます。
前はテープでとめてたけどはがすのがめんどうでクリップに変えました。
あとでスキャンするので右下にページ番号もいれます。
こういう時同人手帳をつけていると済んだページがわかるので便利です。
ペン入れ終了後あとがきを書きます。


〇閑話 表紙


作るタイミングはまちまちですが最後に回すとしんどいのでなるべく前半に作ってます。
表紙は毎回嫌になります。この時が一番自己肯定感さがります。
でもテーマを決めれば進められるので決めていきます。
手順は 表紙のテーマ▶作業(この間に依頼があればしておく)▶調整完成
今回のテーマは「なんか浮世絵感」「全員入れたい」です
そんでテーマに沿って考えて…
今回は和風調子なので、筆文字のタイトル欲しいので依頼して…
描いていろいろ素材も合わせて調整。

題字は何回もお頼みしている「やま先生(Twitter:@komaguchi)」に書いて頂きました。



大体くりすたで作業しますが大きな絵やフォントを動かしたり、パス線素材が必要な時はイラレでつくります。

作業時間は1日くらいでした。

⑥グレー塗り


なんでやねんと自分でも思いますがトーンの代わりにグレーをアナログで塗っています。
グレーを塗る方は多いですがアナログでやる方はどのくらいなんですかね。
我が思いつているという事は10億くらいはいるでしょう。

スキャン後原稿の調整をする際、ペン入れした原稿に直にグレーが塗ってあると処理に非常に手間がかかります。
そのため、グレーを塗る際はペン入れ原稿にコピー用紙をかさねて塗ります。
図解の方が簡単なのでこちら

これが同人誌10とか作っている人間の「解」やで


上記をペン入れした紙に全てやります。
このため、原稿になる紙は倍に増えます。
ハア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これを書いていて思うのですが原稿用紙をもっと薄い紙にしたいですね。
つけペンで書いてて多少抵抗があって、うすくてにじみのない、1枚単価10円前後の紙を知っていたら教えてください。

グレーを塗る時はコピック、筆ペンなどいろいろ使います。

こんなんを100回くらいやります

⑦スキャン


正直ここまでくればあとは出来たも同然です。

原稿約250枚をスキャンします。
ハア!!!!!!!!!!!???????????

ペン入れ原稿とグレー塗り原稿両方なので長編をかくともうこんなんなっちゃった…です。
世界で2番目にスキャン作業が嫌いです。
あの・・・うちのスキャナーは上のふたを開けて紙を置いてPCでスキャン開始を押して…みたいなのの繰り返しなので
遅かれ早かれ気が狂います。
というわけでマシーンを導入しました。

自動送り機能の付いたものです。
自分は今後ほぼ上記のような原稿で書き続けるだろうしと思い買いました。

25枚自動送りしてくれるという事は10回前後のセットでスキャンも終わります。
手間が1/25になります。素晴らしい。実際使うと2時間ほどでおわりました。
600dpi、フルカラーでスキャンします。
丁寧な人、商業ともなればもっと高解像度のスキャナーがいるかと思いますがなんとなくで漫画を描いているのでとりあえずこれで進めます。

⑧仕上げ(デジタル)


ここまでくれば勝確です。
取り込んだペン入れの原稿とグレー原稿を読み込みます。
だるいので一括読み込みを利用しますが、一気に読み込みは避けます。
ミスった時の差し替えがだるいからです。30Pずつ読み込んでは完成させていきましょう。

ここで大事なのは読み込んだペン入れ原稿を大きさはグレー原稿と一緒にいじること。
一度ペン入れ原稿だけおおきさをいじるとグレー原稿も合わせて縮めるさいにたいへんな手間だからです。
一緒にフォルダに入れて一緒に大きさを変えます。

■処理の仕方

・ペン入れ原稿
まずはトーンカーブで黒白を強調。トーンカーブ左右の端をそこはかとなくいじります。
あとはレベル補正とコントラストで調整です。
モノクロにレイヤーを変える際まあまあ線が飛ぶのでそれを回避できるぎりぎりを探ります。
できたら輝度を透明に変換
△上記のようなことをオートアクションですべて済ませます

・グレー塗り原稿
レベル補正後、コントラストを調整。
こちらも輝度を透明に変換▶トーンへ変換します
△上記のようなことをオートアクションですべて済ませます


・ゴミ取り(気まぐれ程度にやります)
・作画修正(ペン入れしていておかしいなとおもったところなど)
・セリフ修正(フォントや、セリフをたしたり削ったりします)




ー入稿ー



たまに他の印刷所へ頼みますが基本はねこのしっぽさんです。
入稿後、問い合わせで入稿原稿についての補足メールをうちます。

・セリフのないページには仕様と書く
・ゴミは無視してほしい旨(俺の原稿が汚すぎるせいで連絡をとらせたくねえ)
・他意図的な作画への補足など

だいたい早割で入稿します。
なぜなら必ず不備の連絡があるから。まず不備のない原稿作れやですが許せ。
遅くても通常入稿です。
〆切があるとそちらにかなり意識が持ってかれてしまうのと、
ぎりぎりで原稿をしているとまじで精神的にきついのでそこそこ早めにスタートしてそこそこはやめに終わります。

ーおわりにー



こうしてまとめると
アナログ▶デジタル▶アナログ▶デジタルと作業が行ったり来たりで効率悪すぎてワロタ。

こだわりというとあれですがネームをやるときはなぜか紙に直書きの方が思いつきやすく
下書きはデジタルのほうが調整しやすく
ペン入れとグレーはアナログの方が楽しくて長編でも書き続けられます
でも入稿はデジタルがはるかに楽。

まだしばらくはこれで続けたいですね。
でもスケベ漫画描くときはフルデジタルの方が楽です。

おわり

今回の




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