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DOKKA-NO-MAGAZINE

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独暇流忍術オリジナルマガジン
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#事務職

忍者、事務職はじめました<登場人物>

忍者、事務職はじめました<登場人物>

ハヤクジ カゲオ主人公。独暇流忍者。忍者の里を出て、事務職員として一人前になろうと日々努力している。

社長さんフリータイムアローン株式会社を経営。本名はシャ・チョウ。社員からはしょっちゅう注意されているが慕われている。コミュニケーション能力は異常に高い。

ウカミ ヒロシ営業職。いかにもデキる営業マン。爽やかな笑みが似合うイケメンで一番の年下。いつも出社が早い。NicePicksというSNSをや

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忍者、事務職はじめました<全編>

忍者、事務職はじめました<全編>

私は今、とある会社で社会人として働きながら、独りで生活しています。

事務職なので、それほど給料が高いわけではないけれど、生活に困ることもありません。

社内での評判もよく、仕事自体にも満足しています。

プライベートでも、自分のやりたいことに挑戦し続けています。

むしろ、やりたいことが多すぎて困っているくらいです。

そんな私には、みんなへ内緒にしていることがあるんです。

実は私、忍者なんで

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忍者、事務職はじめました Vol.12 最終回

忍者、事務職はじめました Vol.12 最終回

「おはようございます、社長さん」

「・・・」

「あ、おはようございます、社長さん・・・?」

「えぇと、君は、どなたでしょうか?」

「え?私ですよ、ハヤクジですよ!」

「・・・!?え?ちょっと待って、君、ハヤクジさん?」

「はい、そうに決まっているじゃないですか」

「だって君、2年半前に突然無断欠勤になったから、もう解雇してますよ」

「え?カイコってどういう意味ですか?」

「単刀直

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忍者、事務職はじめました Vol.11

忍者、事務職はじめました Vol.11

社長さんをタクシーに乗せ、帰宅させた我々は、店で飲み直すこととなりました。

社長さんは明日、出勤できるのだろうか?と心配はしていましたが、皆さんとの楽しい時間を優先しました。

「ハヤクジさんって、お酒に強いですね」

「いや、皆さんもお強いと思いますよ」

「まぁ、私達はほら、営業だから、接待で飲む機会が多いのよ」

「シックがウォーリーだけどね」

「カマイさんは、一度倒れてますからねぇ、飲

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忍者、事務職はじめました Vol.10

忍者、事務職はじめました Vol.10

「かんぱーい!」

「いやいや社長、ソーファストですね」

「どうしました、カマイさん」

「社長、カマイさんが言いたいのは、せめて歓迎の挨拶をしてからの乾杯じゃないんでしょうか、ということだと思います」

「ザッツライトだよ、ウカミくん」

「歓迎の意を込めた挨拶らったんれすけろねぇ~」

「え?社長、もう酔っちゃったの?」

「そういえば、社長がお酒を飲んだの、見たことがないですよ」

「ハン

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忍者、事務職はじめました Vol.9

忍者、事務職はじめました Vol.9

「あのさぁ、ウカミさぁ、何かさぁ、フォーゲットしてない?」

「え?どうしたんですか、カマイさん」

「そうね、カマイさんの会話から始まるのって、珍しいわよね」

「いや、オンミツさん、そういうことじゃなくて」

「カマイさん、何を忘れているか、わからないのですか?」

「そうだね、ミスターカゲ。わからないから、フォーゲットなんだよね」

チグハグな会話にも、ようやく慣れてきました。

というか、

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忍者、事務職はじめました Vol.8

忍者、事務職はじめました Vol.8

社長さんが出張から帰ってきたその日、私は久々に出勤しました。

「ハヤクジさん、おはようございます」

「あ、社長さん、あ、シャ社長、チョウさん」

「先ほど、ウカミさんから聞きました。まだ体調が悪いのですか?」

「あ、いいえ大丈夫です。体調というか、メンタル的な部分といいますか」

「それは大変です!入社早々、頑張りすぎてしまったからではありませんか?」

「そういうことではないのですが、今日

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忍者、事務職はじめました Vol.7

忍者、事務職はじめました Vol.7

次の日から、世間ではゴールデンウィークというものに突入していました。

今年は、日にちの関係から、ほぼ全ての企業が9連休を取得していました。

私は、9日間全て出勤し、誰も来ないのに入り口で8時間待ち、退勤するということに使いました。

なぜなら、ゴールデンウィークというものが何か、その時には知る由もなかったからです。

10日後、いつも通り出勤すると、珍しく社長さんが仕事をしていました。

「社

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忍者、事務職はじめました Vol.6

忍者、事務職はじめました Vol.6

「それではみなさん、改めまして、おはようございます」

「おはようございます」

「本当は昨日からでしたが、今日から一緒にこの会社で働くことになりました、ハヤクジさんです」

「みなさん、よろしくお願いします」

「社長、たぶんみんな、結構ハヤクジさんのこと知ってますよ」

「そうよね、出勤してから結構いろんな会話したもんね」

「オイラはあまりトークしてないけどな」

「まぁ、カマイさんは、どう

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忍者、事務職はじめました Vol.5

忍者、事務職はじめました Vol.5

「おはようございます!」

「おはよう、ハヤクジさん、今日は何時から待ってたんですか?」

「今日は、10分前くらいから待ってました」

「さすがに、もう朝5時から待つことはないかぁ」

「さすがに、はい」

「私、営業のウカミと言います。ウカミヒロシです。よろしくお願いします」

「ウカミさん、よろしくお願いします」

ウカミさんは、いかにも『デキる営業マン』という感じで、爽やかな笑みが似合うイ

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忍者、事務職はじめました Vol.4

忍者、事務職はじめました Vol.4

運命の瞬間がやってきました。

私としては、図書館の本で見た面接の成功例の1つですら達成していないとしても、何か期待を抱いていました。

社員の皆さんの声も、その気持ちを後押ししてくれたような気がします。

「えーと、どうやって伝えたらいいのかわかりませんが、結果的には不採用です」

「はい、ありがと・・・!?えっ!!!」

「申し訳ありません、今の我が社の利益では、とてもお給料を払える状態ではな

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忍者、事務職はじめました Vol.3

忍者、事務職はじめました Vol.3

次の日、私は朝早く目覚めました。

スーツに着替え、さっそく昨日出会った社長さんの会社、正確には社長さんへ教えてもらった住所へ向かいました。

教えられた住所には、会社らしき建物がありました。

しかし、どうやら開いていないようなのです。

入口のドアは自動ドアではないため、私の中の忍者が出ているわけではありません。

考えてみたら、何時に行ったらいいのか聞き忘れていました。

今は早朝の5時。

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忍者、事務職はじめました Vol.2

忍者、事務職はじめました Vol.2

今の会社との出会いは、本当に偶然でした。

当時はわからなかったことですが、未経験歓迎という言葉は、この世には存在しないと思っています。

面接をしてもらおうと、求人情報誌を見ながら電話をかけまくりましたが、面接にたどり着くことはありませんでした。

ちなみに、求人情報誌を見て電話をするということは、独暇の里で師匠から教えてもらっていました。

一般社会で仕事をしていた師匠の教えは、本当に素晴らし

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忍者、事務職はじめました Vol.1

忍者、事務職はじめました Vol.1

私は今、とある会社で社会人として働きながら、独りで生活しています。

事務職なので、それほど給料が高いわけではないけれど、生活に困ることもありません。

社内での評判もよく、仕事自体にも満足しています。

プライベートでも、自分のやりたいことに挑戦し続けています。

むしろ、やりたいことが多すぎて困っているくらいです。

そんな私には、みんなへ内緒にしていることがあるんです。

実は私、忍者なんで

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