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UMEBOSHI PLANET

人は恋をするとキモい行動に出るというのは、誰しも少しは心当たりのあることでしょう。

かくいう私もそうだ。
表に出さないようにしているが、多少キモい行動に出てしまうところはある。
まぁしょうがない。
(だってみんなそうだとおもってるからね!!!)

ストーカーとか盗撮とか犯罪とか、相手に危害を加えたり、恐怖を与えることは確実に良くないけども、基本的には相手にキモい部分を見せなければそこまで問題にはならない。

そう考えていた私があまりにも怖くてキモい告白をしてしまうことの発端は3ヶ月前。
職場の3個下の後輩に恋をしたのだ。

年上の彼氏が欲しかった。年下の女でいたかった。
そんなの分かっていたけれど。
やっぱりちょっと痛かった。

クリープハイプ 『社会の窓』

私はこのクリープハイプ 『社会の窓』の一節にやっぱりちょっと痛いよねと心を痛めてしまうような人間で、年下を恋愛対象にみたことはこれまで一度もはなかった。
なんとなくやっぱり年下って、先入観から自分よりも少し未熟にみえてしまうからだと思う。

彼の最初の印象は「お笑いとラジオが好きで、なんか色々できるらしい、大人しそうな人。」
上司から送られてきた新入社員の簡単な紹介とポートフォリオサイトをみて、なんかちょっと影がある感じするし、ハガキ職人とかやってんのかな?とりあえずお笑い好きな人が入ってくるの楽しみだなー!デザインにプログラミングに撮影に映像編集もできる?!色々話聞きてぇな!!くらいに思っていた。

実際入社して話してみると、お笑いが好きという共通点はあれど、その中で何を好きなのかという点では全く噛み合っていなかった。
まぁそんなところも逆に気を遣わなくて良くて話してて心地よかった。
ただもちろん、前述のような考えだからこの段階で恋の予感なんてものは微塵もない。

(東京カレンダーにあぁ〜しらきが載ることを期待してたのはなんかちょっと面白かった。)

そんな感じでたまに話したり話さなかったりの日々を過ごしながら、どんなもの作るんだっけこの人とふと思い、だいぶ前に一度見た彼のポートフォリオサイトを開いてみた。
もう最初に開いた映像の段階で、軽い気持ちでみたことを後悔した。それはサザンオールスターズとスラムダンクと自転車ニキでお馴染みのローカル線『江ノ電』を撮影した映像だった。
もう死語に近いし軽薄な感じもしてあんまり使いたくない表現だけど、一言で表現するならエモい、いや、やっぱそんな一言で表すのはもったいない。映像、音声、細部のあしらい、空気感、全てが彼にしか捉えられない視点でありながら江ノ電のもつ空気感もしっかり表現されていて、「どうしたら日常をこんなにも美しく切り取れるの?普段こんな景色がみえてるわけ?普通に江ノ電に送ったらなんの説明もつけなくてもCMとかに採用されると思うよ?なんかちょっと悔しいけど、悔しがるのも烏滸がましい。」と、内心コテンパンにされて色々聞きたいことだらけだったが、きっかけなしに話しかけられるほどの勇気も関係性もなかったので、時折ポートフォリオサイトを勝手に覗きに行っては勝手にぶちのめされるということを繰り返していた。
多分そんなことをするようになった辺りからであろう。少しずつ羨望と尊敬の念を抱くようになっていた。 

とはいえ、私の心の中では社会の窓女が幅を利かせていたので、後輩気になるって何?キモくない?3歳下?私が大学生の頃高校生じゃん。いやいや、それどころか高校生の頃通学路ですれ違ってたあのちっちゃいワラワラ?それはショタコンってやつじゃないですか?勘弁してくれよ、まったく。てかそんなのは普通に向こうにキモがられて試合終了だよ。退職案件だよ。ヤダヤダ、無理無理。と、自分の中に生まれた何かから全力で目を逸らし続けていた。  


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ところで、私はネットサーフィンという名のライトなネトストを趣味としているいないので、ちょっと気になる人とか、嫌いな上司とか、過去の同級生とか、ふと思い出した人の名前とかをあいつ今なにしてる?的な思考で検索エンジンにかけたりする。
でも、まぁそんなのは表立って言わないだけで誰しも一度はやってることなんじゃないかと思ってる。


、、、

、、、ですよね?

、、、


、、、みんな??


、、、


、、、あれれぇ〜???(名探偵)


まぁ、芸術でも映像でもデザインでも音楽でも作品を作っている人はインターネット上に情報が上がることが多々あって、その繋がりから色々見つけることは難しくないし、そんな必死で探し出す気概はないので、その時ちょっと暇だったんだなくらいに思っといてもらいたい。

ある時、例の如くその人のポートフォリオのサイトをみていると、掲載されていたサイトからとあるブログを見つけてしまった。 


そのブログは彼がおそらく高校生〜大学生初期ぐらいの頃に書いていたもので、普段の物静かで聡明でいつだって冷静沈着な彼の様子からは想像もつかない、綺麗とは言い難い言葉の溜まり場で、放送禁止用語も連発していた。なんか「クソマ◯コ!!」とか「俺のチンチンもかきかきしろ」とか言ってるし。
自分がもしもそのブログの著者で、職場の人に「ブログ読んだよ!」とか言われたら、もう怖くて怖くて安心して外を出歩けなくなるんじゃないかと思う。

ただ、彼には本当に申し訳ないけれども、その内容といったらもうそれはそれはとんでもなく面白かった。
いよいよ私の心の中の社会の窓女も
"高校生の時点でこんな文才あるの??今も実はこんな感じ??普段からスキルが多様過ぎるとは思っていたが、ちょっと色々出来過ぎやしないか??てかおもしろ人間すぎないか??人生何周目??本当に歳下??いやいや、実質先輩じゃないですか!!!!“
という感じで、よくわからない正当化を始めてしまった。

少し長くなったが、こうした経緯から憧憬の念が恋心へと形態変化し、この人のこれからの作品と行く末を側から傍観していたいという気持ちを抱いてしまったのだ。

とはいえ、そんなスーパーマンと恋人になるなんていうのは恐れ多いし、そもそも今の関係性で付き合うとか全くイメージつかないし、どちらかと言えば一方通行のワクワクを一生楽しみ続けられるタイプだったので、つかず離れず、職場の人という関係性でたまに会話をして、相手に好意を伝えるわけでもなく勝手にウキウキ出来れば正直それで良かったのだ。

そんな私に転機が訪れた。
1ヶ月後に彼が退職することが発表されたのだ。
仕事でしか関わりのない彼が退職することになれば、もうこの人の今後を知ることなどできない。
彼の言動に一喜一憂することも出来ない。 

急に焦燥に駆られ、とりあえずなにか繋がりを作っておかないとと考えた。

思い浮かんだのは連絡先とSNS。
ただ、連絡先を聞くというのは簡単なようで非常に難しい。ましてや職場の人となるとプライベートの連絡先を渡したくない人もいるだろうが、一応先輩という立場の人から聞かれたら嫌々教えるしかなく、そんな立場を利用したハラスメントに手を染めたくはないので、困難を極める。
SNSに関しては、Instagramは初手からプライベートすぎる気がするで却下。Twitterなんてもっての外。Facebook?今動かしてる人いる?BeReal?もはやこれに関してはやってないで欲しい。Tiktok?もう勘弁して下さい。

そんなこんなで、連絡先やSNSを教えてもらうのはやめて、やっぱり引かれず自己満足できる程度に気持ちを伝えて、綺麗に終わりにしようと思った。

とはいえ告白なんてしたことないし、私なんかに直接的に好きとか言われたら普通に金輪際関わってもらえなくなりそうだったので、「話すのが楽しくてたまに出社する日が楽しみになっていた」とか「もうちょい仲良くなりたかった」的な内容をしたためた手紙と、ラジオという共通の趣味をもつ2人の恋の様子を描いた空気階段の単独ライブ『anna』のDVD(私が人生1好きなお笑い)を餞別の品として渡すことでサブミナル的に気持ちを伝えることにした。
(今思うと全然サブミナルでもなんでもないし、普通に金輪際関わってもらえなくなった。)

※サブミナルは多分使い方違いますがいい言葉が思い浮かばないのでニュアンスで掴んでください。



このように、手紙で伝わるか伝わらないか微妙なラインで気持ちを伝えるという手段は「とりあえず気持ちは伝えたという満足感」と「返事をする必要がないので返事を待つ必要がない」という両方を満たす我ながら最高の作戦のつもりだったのだ。

しかしながらそれが思い切り裏目に出た。

結果としては「もしかしたら気持ちが伝わってないかもしれないというフラストレーション」と「社内チャットという手段はまだあるというのに、特に何も反応がないという事は嫌われたのでは?というフラストレーション(期待すんなカス!)」の間で心がちぎれそうになった。というか、普通にズタボロ。もう何も喉を通らない。それどころかもう時折胃から食べ物が逆流してくる。仕事も頭に入らない。今すぐにでも街角から「いっけなーい!!遅刻遅刻!」と飛び出してきた山崎パンのトラックと衝突したい。

ここまでですでに(あーキモいなこいつ、人里から三千里は離れて暮らせよ…)と思った皆様。
この時点でまだ私はちゃんとした告白に至っておりません。
先は長いのでちょっと休憩してください。

傷心の中、多摩川沿いで見つけた野良の大喜利看板
(しょうもない無個性な落書きは
あなたの頭の中の消しゴムで消して下さい。)

そんなこんなで最悪な精神状態の私は、少々申し訳なさは感じつつも、彼にLINEを聞いてちゃんと気持ちを伝えることにした。

社内チャットでラインを聞いたところだいぶ淡白な返事とLINEのQRが送られてきた。
この時点で(あっ、これ気持ち伝わってるけど、何も触れてほしくないやつだ…)と察したが、このままでは食べたものを全て戻すという、池の水全部抜く!!みたいな生活をいつまで続ければいいか分からなかったので、
「突然の手紙で迷惑な気持ちにさせて本当にすみません。■■君のことが好きですが、好かれてるとは思ってないので、ファンみたいなものだと思ってください!これからもたまにチャットとかさせててくれたら嬉しいです」と、おおよそこんな内容のLINEを送った。
(ファンみたいなものってなんだよキッモ!一般人に推しとかいう奴大嫌い!こんなやつから時折チャットが来たら普通に嫌だろ!失せろ!!とか言うのやめて下さい!全面同意です。)

だがしかし、待てど暮らせど丸一日一向に既読はつかない。もう胃の中は空っぽ。

断られるところまでは余裕で想定内だったが、受取拒否という可能性までは考えていなかった。告白というものに対して私は大分考えが甘かったらしい。

スマホの通知がなる毎に、既読が付く0.0001%の確率に賭ける気持ちと、諦めたほうがよいという現実の間で張り裂けそうになり、半ばヤケクソになっていた自分は、徐々に無敵な人へと変貌を遂げていった。
そして、もういっそ自分の気持ちを悔いなきように、極力気持ち悪い形で相手に叩きつけることで(どう考えてもそんなことしなくてもすでに嫌われてるが)すっきり嫌われて退路を断とう!というイかれた考えに頭がシフトしていった。
史上最悪の告白を指先に捻り出している私は、心とは裏腹に陽気なテンポで音を発しながら虹色に輝き散らかしていたであろう。 

↓必死で捻り出した痛くてキモくてたまらないLINE

色々と立場上断りづらいと思うのでこれで最後にします。
■■くんのことを年下とか部下とかだと思ってない節がありましたが、よくよく考えたら完全にセクハラ、パワハラ、コクハラのオンパレードだったと思います。
本当にすみません。

職場で少々話しただけで、大して知りもしないのに好きになられて脳内お花畑クソキモ女と思ったかもしれません。
あとシンプルに興味のない人から向けられる好意ほど気持ち悪いものはないよね〜というのは巷でよく言われることなので、スルーされてもそうよね〜と思います。

見ての通りだいぶヤケクソになって開き直ってきているので、最後に好きになった理由だけお伝えして去れればと思います。
(正直「好き」という言葉を深く知らない相手に使うのはピンときてないところがあるので、実際には「より知りたくなった」が近い表現だと思います。)

共通の趣味があり話しやすかったというともありますが、普段話している様子が喋っていない時の様子から想像できないくらい生き生きしてて見てて微笑ましかったのと、
ある時ふと■■くんのブログみたいなものを見つけてその内容があまりにも良すぎて(見つけたのも死ぬほどキモいというツッコミは置いといて下さい。)なんという文才の持ち主なんだろうと思い、憧憬のようなものを抱いてしまったため、仕事辞めてからもたまにお話ししたいなという気持ちがあり、その気持ちの伝え方がよく分からず、このような形になってしまったようです。
あのセンスを隠して(ちょっとはみ出てましたが)普段あんな物静かに佇んでいるのが不思議すぎて気になって仕方がなかったです。

職場の私がどう見えているか分かりませんが、仲のいい友達に仕事でショート動画撮ることを伝えたら、「無理しないで。」「可哀想。」「人格権侵害だからはやく仕事辞めな」と忠告されるくらいには根暗です。
なのでやはり親近感みたいなものを感じていました。

既読にならないことをいいことにいつも誰に見せる訳でもなく書き溜めているnoteくらいのノリで書いてしまいましたが、これからも■■(働いている会社)から仕事を依頼されたりすることもあるかも知れませんが、見ての通り(?)私はあんまり気にしない人間なので、いつも通りやり過ごして頂けたらと思います。

言われなくてもそうするよ!という感じだと思いますが、無視して大丈夫です(既読がついたら心が成仏する気がするので、既読だけ付けて頂けるととても嬉しいです)

キショくてキショくてたまらない告白(ほぼ本文ママ)


あまりにもキモい。
もう自分では直視できない。
なんなら送られた彼も直視できないんじゃないだろうか。
ちゃんと読んだら軽くPPAP PTSDになるんじゃなかろうか。
8年後、文春に売り飛ばされる可能性すらみえてきた。


「うわぁーーーーーー!!!迷惑かけてしまって本当にごめんなさい!!!」
そんなことを叫びながら、アクセル全開に踏み違えて、相手の気持ちすら蹴散らしながら爆速で進んでいる状態。もう全くもってブレーキが効いていない文章。プリウスミサイルにも程がある。
感情なんて無いはずのCPUマリオ達もドン引きだ。
こんなことしたかった訳じゃないのに。

だが彼の意思は堅かった。
既読がやっぱりつかない。


これだけこわくてきもくて一周回って開いてしまいそうな文章をポップアップ機能では表示しきれない分量送っても、既読すらつけてもらえないなんて、向こうからしたら視界の片隅にも入れたくないゴキブリに等しい存在なんだなと思うと、既読を待ってるうちにこのままゴキブリになりそうだった。

(てかこれはもしかしてLINEの捨て垢とか教えられた?LINEの捨て垢ってなに?美味し作れるの?)とも思いつつ、こちらも完全に精神が限界を迎えていたので、数時間後にまた「もう伝わってるか伝わってないのか分からなくて、それが一番しんどいので、既読無視でもブロックでもキモいでも、罵詈雑言でもなんでもいいので拒絶の意思を示して頂きたいです…ほんとすみません…」(ちゃんと覚えてないけどたしかこんな感じ)という、はたまたキモくてキモくて自分本位な心の叫びを送信したところ割とすぐ返事が来た。

「LINEの方の確認が遅れました、、、」という、出勤日でもないのに社内チャットを無視できず確認しているようなマメそうな彼のそんな訳なさそうな前置きに続いて、「気持ちは嬉しいのですが、正直なところ少し受け止めきれない部分はあります、、、」という、読んでて虚しくなる優しい気遣いと最大限の配慮が合わさったお断りメッセージ(直訳すると「まじキモい、あっちいけ」)が送られてきていた。

ただもうそんな拒絶の意思ですら示してもらえたことが嬉しかった。
それにこんな状況下でもつくづく相手に配慮できる機知に富んだ人なんだなと思った。

てか普通に受け止めきれなくて当然である。
こんなの受け止められたら逆にこちらが怖くなって走って逃げてしまうかもしれない。

一応その返事に返事をしたものの、またも既読はつかないので、念のため自作のスタンプを贈り、『■■はこのスタンプを持っているためプレゼントできません。』を確認して、どうにかこの恋に踏ん切りをつけることにした。

よくよく考えたら、出社最終日の反応をみるに、実際にはもうちょっと前から好意になんとなく気付かれていて、すでに嫌われてたような気もしてきた。

人はこういう時に、窓の外ダイブしたくもなるんだよ。なんて歌詞が書けるんだよな。

わかるぜ。

私も今、全力で心を去勢したいと思ってるよ。






できることならサマータイムマシンブルースみたいにタイムマシンの無駄遣いをしながら過去にちょっとずつ修正を加えていきたい。
ただあなたがなにか得意げに話すのを聴きながらヘラヘラしてたかっただけなんだ。
本当にごめんよ!


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