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unforgettable year 2023  

最初に記します。これは、あまりに多くのことがあった2023年の大晦日、
2023年の総括として書いている、長い長いnoteです。
普段の、分析や、裏話とはかなり違うため、
あえてお読み頂く「必要」は、ないかと思います。
ただもし、作り手としての僕を見続けてくださる方がいらっしゃるなら、
お読みいただければ、と思います。
では、始めます。
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心を亡くすと書いて、「忘」。
心を亡くすと書いて、「忙」。

2023年が始まった時は、僕はこの「忘」と「忙」の年になると思っていた。
1月の段階で(ありがたいことに)決まっていた仕事が大小合わせて46件。
埋め尽くされる。
ひとつでも綱渡りをミスしたら全て崩れる恐ろしさなど敢えて「忘」れて、
「忙」しいいそがしいと言い訳して各所にごめんなさいしながら、
駆け抜けていくのだろう・・・そう思っていた。

1月。最初の仕事でいきなり、コロナ禍3年分の夢が叶った。

2020年にリモートで、2021年末(放送は2022年初)にもリモートで行ってきた、落合陽一さんとオードリータンさんの対談。
コロナ禍をむしろ「世界が同じ悩みに悩んで、解決に向かった」チャンスの時と捉えるお二人は、その2回の対談のなか、リモートの画面を通じて数千キロの距離を一瞬で飛び越え、脳と脳が直結。絶望に打ちひしがれていたコロナ禍の中で希望のヒントをいくつもいくつもいくつも出してくれた。
―――だから見たかった。2人が、直接対面して、対話するところを。リモートで脳内を直結する2人が、「会ったら」どうなるかを知りたかったから。結果は、大成功。人工知能AIや、デジタル社会保障、そして戦争の時代に宇宙通信が果たす効能などについて、縦横無尽に語らう2人。リモートよりもより息遣いが感じられ、うなずきも相槌も「これは言いたい!」と言うカットインもリモートより弾む。いちばんうれしかったのは、最後に2人に、マジック:ザ・ギャザリングの対戦をしてもらえたこと。収録時間は本当に限られていた(オードリーさんは伸ばしてくれたのだけど、僕が欲張りすぎて!)けれど、最後の最後にあのジャンプスタートパックを渡したら、一瞬でプレーを始めてくれた。途轍もない知能を持つ2人が、カードゲームで遊ぶ。あれはもちろんそういう遊びの演出ではあるのだけど、僕の勝手な裏テーマとしては、まさにその「遊び」こそ、コロナ禍、戦争・・・と眉間に皺を寄せてばかりの事態が続いた2020−2022を抜けて、あたらしい光を感じるためには大切なのではないか、と言うことを、見る人に伝えたかった。今年は、遊ぶんだ。遊びを取り入れながら、まじめに、進むんだ。そんな思いを、取材で、そして番組で伝えられたことに、僕は新年1つ目の番組として最高のスタートが切れた、と満足していた。

―――そして、実はこの「満足」が、かなり高すぎたことが、このあと今年のしばらくを、長く長く、苦しめることになった。

学びと遊びにあふれた超刺激的対談リアル版のあと、冬の終わりから春にかけて。携わったのは、ある巨大特番だった。まず誤解を避けるために言えば、その番組自体はテーマも、内容も、すごく面白いもので、ご出演の皆様も最高の方々が集った。ただ、あまりに、時間が無かった。僕の大恩人から依頼されたので断ることはできず、しかしかけられた時間は、2ヶ月と少し。これは30分番組のスケジュールであって、巨大特番のスケジュールではない。急にお願いされたので、人をたくさん集めることはできず、信頼するスタッフに無理やり頼み込んでやってもらうことに。必然的にスタッフの負担は重くなる。スタッフたちは疲弊しきり、僕も肉体的精神的にぶっ倒れる日々を過ごした。家に帰る時間も惜しく、最後の仕上げのところでは都内のホテルに4、5日泊まり込んだが、深夜のエレベーター、部屋に上がるまでの数十秒の間で寝てしまって、ブザーに起こされたほどだ。自分ひとりが倒れたら、すべてが吹き飛ぶ現場。責任感と恩義と勢いで何とか乗り切ったし、出来上がったものは自慢できるものになったが、「もう2度とこんな受け方はしない」と決めた。

配電盤と床と壁をやたら見つめていた日々だった

「今年いちばんキツい仕事はこれだろうな」そう思っていた。だが、その後に、地獄が待っていた。その地獄は、自分が初めて取り組むジャンルの仕事。春から夏をこれに費やした。初めて取り組むから、勝手が分からない。分からないから、誰かの指導を仰ぐ訳だが、この指導からの顛末が、本当に恐ろしく、悔しく、つらい体験だった。詳しくは書けない。だがこれにまさる恐怖と屈辱と後悔を味わうことは、この先の人生、2度と無いだろう。プロの仕事の厳しさとはそんなものだ、と誰かが言ってきたら全力で反論をする。僕はもう今年でプロになって18年目だ。プロの厳しさなら、十分味わい、厳しさの先に楽しさの光、喜びの光、発見の光があることを知っている。だがあの地獄は、単なる答えのない闇だった。非難と無視と罵倒で埋まる闇。

心の中で木に話しかけたりもしていた。「なぜ枯れると知っていて伸びるの?」

その闇を、どう潜り抜けたか?
明確に理由が2つある。というか、2人いる。

(この先は、区切ります。繰り返しますが、このnoteは他のnoteとはだいぶ違うものなので、あえてお読み頂く「必要」は、ないかと思います。
だいぶ、自分を吐露しているだけなので・・・それでもよろしい方へ、届いてほしい、という思いも込めて)


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