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アドリブはプレゼンに似ている。

アドリブはプレゼンに似ている。

セッションでアドリブ(即興演奏)が出来るようになりたくて、最近音楽理論の勉強をしている。しかし、どんどん演奏の場に出向き、失敗と反省を繰り返して出来るようになるという意見もある。

これを受けて2,3度初心者ジャズセッションへ出向いてみた。なんとなくで音を合わせて弾くことで、楽しむことは出来た。しかし、ただ音を並べているだけで、考えを持っていなければ上達しないとも思った。

そんな背景からふとアドリブはプレゼンと似ているのではと思った。この記事ではアドリブがプレゼンと似ているという仮定から、理論と感覚を結びつける練習法を考察する。

・国語の勉強≠プレゼンの上達

いくら国語を勉強してもプレゼンは上手くならない。なぜなら国語の勉強には発声が伴わないからである。プレゼンが上手くなるためには、原稿を作って実際に声に出して話す練習が必要である。これと同様に音楽理論の勉強ばかりをしていてもアドリブは一向に出来るようにはならない。実際に音を出して演奏する練習が、別で必要である。

・プレゼン中の意識

プレゼンの上手い人は、話の流れだけを頭に入れておいて、話す言葉を一字一句まで決めていない。もちろん原稿を作って準備や練習をしていることが多いであろうが、一字一句間違えずに話すことよりも、相手に主張を伝えることに重きを置いている。つまりアドリブでも、全体の流れを考え、聞き手を意識した演奏の方が良い演奏と言える。音楽理論に従い、その場で一々発音する音を決める行為は一字一句間違えないように話すようなものである。いいアドリブをするためには、焦点を自分ではなく、聞き手へ当てる必要がある。

とは言っても、これだけではコードに対して外れた音を弾く可能性は拭えない。プレゼンで言えば、お題に対して外れた答えをすることに置き換えられると思う。そこで次に必要な要素が、相手の意図を汲み取るために必要な文法の理解である。

・音は言語

アドリブをプレゼンに置き換えるならば、演奏する際に出す音は言語である。言語はほとんどの人が、覚えようと思って覚えたのではなく、気づいたら覚えていたものであると思う。「おはよう」という言葉を発する際に、まず一文字目が「お」で、次が「は」で…などと考える人はいないと思う。私たちはフレーズで「おはよう」という単語を覚えている。だから、アドリブ演奏でもフレーズをストックしておくことは重要である。ただし、使う文脈を理解していなければ、意味がない。「今日の晩御飯何がいい?」の質問に対して、「おはよう」と答えても意味が通らないことになる。アドリブ演奏において文脈とは、鳴っているコードのルート音であると考える。ルートに対して何度の音を弾くかによって雰囲気を使い分けることができる。ここでコードトーンの練習が必要になってくる。コード進行に対して、コードのルート音が常に見えているに越したことはない。しかし、フレーズを度数に細分化して見ることは1音1音を考えて弾くことに繋がる。そうなると、焦点が自分へ向いていき、聞き手を置き去りにすることに繋がりかねない。また、文脈を意識しすぎると、何も話せなくなってしまう。多少文脈が間違っていても、心を打つプレゼンは存在する。だから、間違いを恐れることよりも、主張することを重視する。

・ギターを喉のように操る

カラオケで歌を歌う際に、一々音名を意識しながら歌う人は、まずいないと思う。何回も曲を聴いているうちに、メロディーと歌詞を覚えて、自然と歌えるようになっている。そう考えると、ギターも音名を把握していなくても、弾けるということになる。

ではなぜ、歌は音名を把握していなくても歌えるのか?これは、耳で聴いた音、頭でイメージした音、実際に喉で発する音の3つが全て無意識でリンクしているからであると思う。音痴な人は、耳で聴いた音を頭の中でイメージ出来ていないか、イメージは出来るが、喉でその音を発することが出来ないかのどちらかだと思う。これをギターに置き換えると、前者は耳で聴いた音が何の音なのか分からない、後者は、出したい音が指板上のどこにあるのかわからない状態であると考えられる。自分は今、後者のような状態である。指板上の音の位置を、意識しなければ抑えることが出来ない。これはテンポが決まっていてどんどん演奏が流れていくセッションにおいては致命的である。つまり喉のように自由にギターで歌うためには、指板上の音の位置が無意識でわかるようになる必要がある。

・理論と感覚を結びつけるための練習法

前章までの話をまとめると、

音楽理論のみの演奏:外れた音を弾くリスクは少ないが、全体的にまとまりがない演奏になる可能性がある。

感覚のみの演奏:聞き手に焦点を当て、全体の流れを意識した演奏ができるが、音を外す可能性がある。

理論と感覚を上手くミックス出来ることが理想的な演奏である。そこで自分は、以下の3つの練習が必要と考える。

1.使える音を把握する練習

プレゼンで言えば、自然な日本語を習得する練習である。まずは以下の3つを無意識で弾けるまで練習するのが良いと考える。

・モードスケール7種類

・ペンタトニックスケール5ポジション

・コードトーン(コード4種類)

それぞれの詳しい説明は後述するが、モードスケールとペンタトニックスケールを弾いておけば、keyから外れた音を弾くことはない。またコードトーンを覚えておけば、ルート音から狙った度数の音を弾けるようになる。

1.が出来た状態

→日本語ではあるが何を言ってるのか伝わってこない状態。

2.コード進行のベース音を追う練習

プレゼンで言えば、相手の意図を把握する練習である。曲を流しながら、コード進行のベース音を追えるようにする。ベース音が見えれば、何度の音を狙うか考えるための土台が出来る。6〜1弦それぞれで行う。

2.が出来る状態

→相手の聞きたいことや文脈が理解できる状態。

3.曲に合わせてひたすら弾く練習

プレゼンで言えば、何回も話して場慣れする練習である。1と2で学んだことが無意識で出来るようにすることを意識して練習する。

3.が出来る状態

→相手の聞きたいことや文脈に対して、適した回答やプレゼンが出来る状態。

3の状態まで出来るようになれば、プレゼンの土台が出来上がると思う。ここへ新しく覚えたスケールやフレーズを追加していくことでアドリブの幅が広がると思われる。

練習をする上で一点注意点がある。スケール練習でありがちなのは、毎回同じ音の並びで練習して、指の動きでフレーズを覚えてしまうことである。これでは毎回同じ話をするつまらない人になりかねない。よっていろいろな音の並びを試していくことが必要である。

以上がアドリブが出来るようになる為に必要な練習方法である。自分自身がアドリブが出来るわけではないので、説得力に欠けるが、以上のような仮定の下、練習を続けていこうと思う。他に良い方法や意見がある場合は教えてほしい。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

以下に先程提示したスケールの説明

・モードスケール7種類

Cイオニアンスケール

Dドリアンスケール

Eフリジアンスケール

Fリディアンスケール

Gミクソリディアンスケール

Aエオリアンスケール

Bロクリアンスケール

曲のkeyに対して基本となる音は7音である。ドレミファソラシは馴染みがあると思うが、これはkey=Cmajorで基本的に使う7音である。このドレミファソラシをそれぞれの音から並べ替えた7通りのスケールが、モードスケール7種類である。なぜ同じ音の構成なのに、並べ替えたスケールを7種類も覚えるのか、というとルート音という文脈を把握しておくためである。同じ音を弾いていても、ルート音が変われば、聴こえ方が変わる。

・ペンタトニックスケール

ドレミソラの5音からなるスケールである。これもkeyが変わらなければ、外れた音にはならない。5ポジションあり汎用性がある。

・コードトーン

コードはルート、3度、5度、7度の組み合わせによって主に4種類に分類される。

メジャーセブンス:構成音R M3 P5 M7

ドミナントセブンス:構成音R M3 P5 m7

マイナーセブンス:構成音R m3 P5 m7

マイナーセブンス♭5:構成音R m3 ♭5 m7

基本的に使用されるコードとしてダイアトニックコードという7種類のコードがある。これら4つのコードが含まれる為、鳴っているコードに対して使い分けられるようにする。


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