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ご愛嬌

あの子が言っていた。「それもご愛嬌」と。

その日は、専門学生の頃の友人と新大久保でランチをし、韓国コスメや雑貨屋を巡っていた。
私は韓国のアクセサリーが好きで、その日はピアスを探していた。ゴールドの輪っかの先にパールがついたピアスを手に取ると、そのパールは綺麗な楕円形ではなく歪な形をしていた。その歪なパールをじっと睨んでいる私の隣から「それもご愛嬌だね」と友人に言われた。今までの私だったら、迷うことなく今手にしている歪なパールのピアスを戻し、同じ種類の綺麗なパールのピアスを手に取っていただろう。しかし、それもご愛嬌と言われると先程までは不良品も同然だと思っていた歪なパールが愛おしく思えてきて、そのご愛嬌のあるピアスを購入したのだった。

私は変なところで完璧主義なところがある。そのくせガサツで適当人間でちゃんとできない自分が嫌になることもある。しかし、その友人の言葉で完璧じゃなくてもいい。それもご愛嬌。そう思えるようになった。

このピアスをつける度に友人の素敵な言葉を思い出し、ご愛嬌ご愛嬌と呟く。

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