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公式カメラマンの話4 プロレスリング・ノア オフィシャルカメラマン 宮木和佳子📸

こんにちは。ノアオフィシャルカメラマンの宮木和佳子です。
ノアのオフィシャルとなったのは2015年の暮れ、もう7年ほどのお付き合いになります。
試合の写真に始まり、宣材、ファンクラブの撮影、会場風景などなど団体に必要なものをすべて撮る人です。つまりは撮りまくりです。常になんか撮っている人です。

■7.16武道館大会のカメラ周りの話

通常リングサイドカメラマンは「試合を撮る人」ですが「オフィシャルカメラマン」となるとその内容は一気に拡大します。

・宣材(告知、選手紹介、ビジュアル、対戦カード、グッズなどありとあらゆるものに使用されるため多くのバリエーションが必要・またノアの場合は髪型、衣装が変更された瞬間に撮影が決定)

・会場風景(大会案内やスポンサー様へのレポート、イメージ画などに使用されます。お客様のいないカラの会場、試合中の全景なども含まれます)

・サイン会(サイン会告知バナーなどに使用されます)

・キャンバス周り(スポンサー様へのレポート、記録として新しくなった時には必ず撮影。ふんどし、コーナーパッド、フラッグ、コメントバックも同様)

・会場に届いたお花等

以上のどれかが試合撮影と組み合わさることもありますし、まさかの“全部のせ”の日もあります。

また過去には「ノアコーデ」をしたお客様のコーデ写真、応援ボードの撮影、他団体選手の突撃訪問(会場に入れなかったササダンゴマシーン選手などが記憶にありますね)などがイレギュラーでありました。

この様に団体が今後使うであろうすべてのものを撮影していくのがオフィシャルカメラマンとなります。

では7.16は一体どうだったのか、カメラマンのフォーメーションのお話をしてみたいと思います。

■ビックマッチはチーム戦

カメラマンにかぎらず、日本武道館大会ほどの規模になるとどの担当者もだいたいチームで動きます。普段接しているお客様の数とは違いますので、物販部やフロントもいつもより2~3倍の人数が必要です。
カメラマンも実は同じで、7.16は3名体制で臨みました。

① メインカメラマン
② 裏カメラマン
③ コメントカメラマン

というチーム編成となっています。

ちなみにこのスタッフィングですがいま現在はノアさんと相談しあって主に私が決めることが多いのですが、この点は非常に重要で、実際にスタートしてしまうと細かい部分まで確認などができないため、「この人だったら任せられるだろう」という人選でないとうまくいきません。ゴングが鳴ってしまえば後は終了に向かってただ進んでいくのみ、の興行において臨機応変に撮影をしてくれるカメラマンチームはとても大切です。
ちなみに宣材撮影はなし、キャンバス等の撮影もなかったと思いますので比較的プレーンな撮影内容でしたが、ビックマッチとなると動線や段取り、演出などが一気に増えるので試合撮影だけでも結構盛りだくさんの内容でした。

① メインカメラマンと②裏カメラマンの関係性は、正面と向正面にそれぞれスタンバイして挟み撃ちをして撮影をします。主に「表」「裏」という言い方をします。今回の7.16は私が表、もう一人のカメラマンが裏を全試合担当しました。
表の私は主に正面と、向かって左側エリアを担当し、裏カメラマンは向正面と、正面から見て右側エリアを担当します。場外などはお互いが同じ側にいないように相手の動きを見て動きます。

7.16のように花道からリングまで高さが続いている場合は、リングサイドが分断されている状態で非常に行き来しにくい状態となります。カメラマンはリングサイドを一周できないので、2カメでないと場外戦や、花道での攻防などしっかり記録することができません。

武藤選手のシャイニング・ウィザードなどは技をキレイに撮影できる角度が決まっている上に技のかけ始めまでに武藤選手が結構動くことが多いので特に7.16の場合は2カメは必須ですね。
ちなみに私からみて技が裏側だった場合は、技が決まった後にアイコンタクトで撮れたかどうか確認するようにしています。裏カメから「撮れたよ!」とサムズアップがくるとほっと一安心します。

こちらは裏カメラマン撮影

ちなみに私側からですとこのような感じになってしまいます。

このように「表」と「裏」のカメラマンは“バディ”に近い存在でぴったり息があっていないとフォローしあうことができません。一人でやっている方が気持ち的には楽なのですが、ビックマッチでどうしても撮り逃しが絶対にできない!という状況の場合、この“バディ”がめちゃくちゃ重要になる、と考えています。
(プロレスなのでタッグパートナーとも言いそうですがなんかイメージではバディです。)

③ のコメントカメラマンは、全試合終了後に出されるコメントブースでの選手の撮影がメインになりますが、試合前の会場ブース、会場カラ絵、入場風景、試合中全景など結構忙しく動く担当です。日本武道館ともなると3階までありますので、いつ終わるかわからない試合中、ダッシュで登っていきます。試合終了直前にはコメントブースにスタンバイしなければいけないので展開が読めない試合や瞬殺が予想される試合などは「コメントブースにいたほうがいい」と話しています。(これもあくまで予想しながらですが。)

① 表カメラマンからの撮影
② 裏カメラマンからの撮影
③ コメントカメラマンの撮影

■ざっくりとスケジュールはこんな感じ

7.16は16時試合開始でしたので14時くらいに3人のカメラマンで打ち合わせをし、その後動線の確認や記録メディア受け渡しシミュレーションなどやって、15時くらいに黙々とお弁当を食べます。その後何度もトイレに行きます。(笑)

なんせ4時間ほど撮りっぱなしなので開始まではできるだけ水分は控えます。この日ばかりは大好きなコーヒーも朝から禁止です。
とはいえ熱中症もありますので試合開始したら合間にガブガブ飲みます。だいたい汗で流れますが、どうしてもトイレに行きたくなった場合は選手権試合の煽りVTRの間にダッシュしますが、そのことを勝手に「Vダッシュ」と呼んでいます。(笑)(宮木、Vダッシュ今行ったな!とか見ないでください)
なので事前のリングサイドからトイレへの動線チェックも超マスト!

日本武道館は動線はやや長め、横浜武道館は2階へいかなければならないので結構きつい・・とかいろいろあります。
たまにVダッシュを始めるとノアリングアナウンサーの味方さんと並走してることもあります。(笑)
リングアナウンサーも同様、始まってしまえば席から離れられないお仕事ですので本当に過酷だと思います。
・・・と、ノアさんのnoteで長尺でトイレの話をしている場合ではないのですが、そんな感じでゴング鳴ればもう、撮って撮って撮りまくることに集中!となります。

カメラマン3名が再び出会うのは試合終了後。
それぞれ写真を軽くチェックしてカード類を返却し終了、となります。
もうその頃には中にも外にもお客さんはおらず、「ああ、今日も無事に終わった」とやっとほっとする時間でもあります。寂しい風景に思えますが私はこの時間がとても好きです。
プロレス団体のスタッフらしい時間だと思えるからです。

■注文のない試合撮影

ジャンルにもよりますが、プロレスの撮影において試合中の撮影に関して「これを撮ってください」と団体から細かい注文がくることがほぼありません。カードを見て自分で展開を予想しヤマをはる、これに尽きます。もちろん自分の予想を遥かに超える展開なんてザラですのでその際にどれだけ「状況を伝える写真が撮れるか」というところが評価の分かれ目になると思います。

フリーランスなので他にも様々な撮影をしておりますが、これほどまでに注文が少なく、カメラマンに委ねられるジャンルも珍しいなと思います。駆け出しの頃はわからないことも多いわりに、本当に何も言われないので一体何が正解で、今日の撮影が良かったのか悪かったのかさえ掴みあぐねるということも多かった様に思います。

現在は団体が出すビジュアル、グッズ、告知、You Tubeサムネイルを常に研究し、これだったら使いやすいかなという写真を撮影するように心がけています。またそれだけでは職人のようになってしまうので、報道ベースではないけれど良い瞬間なので来るべき写真展で展示したいな、という写真を撮ることも忘れないようにしています。
実際に写真展で使いたいな!と撮影した写真が興行ビジュアルになることも増えてきて、
自分のいいな!が団体に伝わっているようで嬉しいです。

これなんか特にそうですね。思いっきり写真展で使おう♪と(笑)

■ちょっと仲良くなれたかな?武道館。

今回の日本武道館は私が過去撮影した武道館大会の中で一番バリーエーションに富み、派手な演出もあったので、あっという間に時間が経ち、もうメイン?というくらいでしたので、撮影しながらも私個人としても楽しめたんだろうなと感じました。
毎度、日本武道館は動線の長さでくたくたになるのですが、心地よい疲労感とともに、3回目ともなると攻略方法がちょっとわかってきたような余裕も出てきました。

ただ!ノアは止まらない。
夢のような武道館がすぎれば「N-1」はもう目前です。
今年は有観客で日本各地で試合がありますし、私も初めて「N-1」全てに帯同することになりました。お近く、もしくはちょっとがんばったら行けそうな場所で開催の際は、是非皆様お立ち寄りいただき、アツい戦いを見て元気をもらってください!

プロレスリング・ノア オフィシャルカメラマン
宮木和佳子


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