10/10をくぐり抜けて

この間も書いたのだけど、血の繋がらない姉がいる。

実の姉ではない。異母姉弟でも異父姉弟でもない。関西方面に住んでいる3つ上の女性を、単に僕が「ねーちゃん」と呼んでいるだけ。

最初の出会いはインターネットだ。ちょうど就職活動の時期で、エントリーにインターネットが必要になった。それで回線を引いたのだけど、契約したプロバイダのサービスにメル友のマッチングがあった。10の質問に答えて、同じ回答になった人同士のメアドが自動的に送られる仕組みだ。同性・異性が選べたのだけど、下心がすごいあったので異性からメールが来るように設定した。

そんでマッチングしたのが件のねーちゃん。あともう一人、同じ様な就活生とも繋がった。同じ就活生同士、色々悩みも共有できたのだけど、いつの間にかお互いフェードアウトした。

ねーちゃんとは毎日のようにメールのやりとりをした。10の質問をくぐり抜けてマッチングしているので、そりゃまあ気も合うわけだ。当時はまだお互い20代前半。向こうはもう社会人だったから、仕事の話とかもたくさん聞かせてもらった。くだらない話もたくさんした。当時は年上の女性との接点なんてバイトくらいしか無かったので、とても新鮮だった。

途中で携帯の連絡先を交換して、PCでメールを開かなくてもやりとりができるようになった。連絡の頻度はさらに上がった。

そうこうしているうちに1年が経ち、就職が決まり、僕は社会人になった。

新卒一年目。8月から半年間、研修で静岡と大阪に行くコトになった。ねーちゃんが住んでいるのは関西方面。大阪での営業研修がその年の11月から始まり、僕は大阪の寮で暮らすコトになった。

…というタイミングで、年明けについに会うコトになった。

確か梅田かその辺りで合流した気がする。お互い写真でしか顔を知らず、電話でしか声を聞いたコトがない。めっちゃ緊張したのは覚えている。お互い様だと思うけど。

こうして知り合ってから約1年が経ち、ついにねーちゃんとご対面。変な例えだけど、バーチャルキャラクターが実体を持って現実に出てきたような感覚だった。「ホントに居たんだ!」みたいな。写真で見るより色白で、小柄で、可愛らしい人だった。

初対面だけど「初めまして」ではないから、その後はすぐに打ち解けて楽しく過ごした。昼から新世界のふぐ料理屋でふぐ食べて、昼ビールをした。通天閣も登った。ゲーセン行って、夜は飲みに行って、結局夜通し遊んだ。素敵な一日だった。

結局その一日しか会わなかったのだけど、僕が関東に帰ってきてからも連絡は取り続けていて、たまに電話もしていた。その後、連絡が取れない時期もあったのだけど、僕のバンドのホームページにBBSがあり、そこ経由で連絡がきた。それでまた連絡を取るようになった。その頃からだろうか。僕が「ねーちゃん」と呼び、ねーちゃんは僕を呼び捨てるようになったのは。

ほどなくしてねーちゃんが同級生と結婚したと教えてくれた。普通の名字になってしまったと笑っていた。

次にねーちゃんに会ったのは、それから2年くらい経ってからだった。丁度その頃は名古屋出張が増えて、仕事上がりのタイミングで再会を果たした。結婚祝いを直接渡した。結婚の報告をもらった直後に買っていたんだけど、どうせなら手渡ししたいなと機会を伺っていたら2年も経ってしまった。また色んな話をした。

さらに次に会ったのは2015年頃。僕がイベントで名古屋に行った時だ。そして先日に会ったのが4回目。こうして振り返ってみると、知り合ってから結構な年月経っているのにまだ4回しか会ってないのか。なんだか不思議な気分だ。

僕は長男なので、上にきょうだいが居ない。だから下の子の感覚がわからない。わからないのだけど、ねーちゃんを姉と慕うコトで僕は弟を疑似体験をしている。向こうも同じらしく、僕を血の繋がらない弟だと思ってくれている。

友達だけど血縁のようでもあり、血縁みたいなのに4回しか会ってない。妙な関係かもしれない。インターネットから始まったけど、こんな広大な場所から10個の質問を抜けて知り合えたのは、結構なミラクルだと思う。

また姉と飲みに行って、近況を報告し合いたい。

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