このマンガがきらい!2019

わざわざ書くコトでも無さそうだけど、嫌いなマンガがある。なんでわざわざ書くかというと、その嫌いの正体を僕が知りたいからだ。言葉にしたら何か理由めいたものがわかるかもしれない。そういう思いで書く。

ロッキンユー!!!

このマンガが嫌いだ。簡単に言えば高校生のバンドのマンガだ。

主人公は陽キャと陰キャ。陰キャの先輩が部活紹介でナンバガの透明少女を演奏して、それに興味を持った陽キャが部活に入るところから物語は始まる。

最初に読んだ時はまだ良かった。音楽をやっている身として、主人公達の気持ちもわかるし、青春の陰陽も伝わる。見開きでカラーページ、バンド名と曲名がバーンと出る。スタイリッシュだ。

ある時を堺に、読んでいたらイラっとし始めた。ベースが加入するくだりで、陰キャ主人公が突然ギタ-を弾き始める。始めた曲は「夜行性の生き物三匹」。これに合わせて、今まで溜め込んでいた思いを吐き出し、ベーシストはベースを弾き始める。迫力のある画面で。

迫力のある画面で?夜行性の生き物三匹?

聴いてもらえればわかるのだけど、夜行性の生き物三匹は特にハードな曲ではない。それをドーンとタイトルと共に打ち出す。違和感しかない。

この違和感をはっきりと感じたのがさらにその後。「僕は初音ミクとキスをする」というタイトルが出た時に明確にイラっときた。つまりこういうコトだと思う。

ゆらゆら帝国、初音ミク、ナンバーガール。マイナーな、あるいは一部には理解され難い音楽を出しているところに「狙っている感」がにじみ出ているのだ。作者はちゃんと音楽を愛しているのかもしれない。それでもある種のあざとさを感じてしまい、僕はそれから楽しめなくなった。先日も単行本が期間限定で無料で読めるようになった。「ナンバーガール再結成記念」らしい。そうですか。

あとは単純に登場人物の掘り下げがあまり多くなくて、ひたすらにスタイリッシュな場面がフィーチャーされるのも気になった。セリフも同様だ。なにかわかりづらく良いコトを言っているように聞こえるが、セリフのそれっぽさばかりが先行して、実は何も身になるコトを言っていないように感じる。最近の音楽の歌詞に感じる「何かうまいコトを言っているように聞こえて実は何も言ってない」みたいなのと同じ構造だと思う。

要は「表面をなぞっただけのロック感」にイライラしたのだ。

スタイリッシュかもしれないけど、それだけ。それだけにしか僕には読めない。マンガは娯楽であるのでそれもまたアリなのだけど、僕には無理だった。

このマンガは先日打ち切りになった。コミックスの売上が芳しくなかったからだろう。でもコメント欄には「終わらないで」の嵐。要するに「無料期間で読めるうちは読むけど手元においておくほどではない」からそうなったワケだ。そう考えると、みんな薄々感づいているんじゃなかろうか。このマンガの表面をなぞっただけの感じに。

最後まで全部ちゃんと読んだ上で、僕はこのマンガが嫌いだ。つまみ読みをしたわけではない。その上での感想であり、あくまで「not for me」という話なので、気になる人は読んで頂きたい。

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