一読してみて下さい!

日銀ETFの買い始めは2010年、日経平均が1万割れをした時期からで当初4500億円の購入でした。しかし2013年に黒田総裁が就任後に年3兆円に増額し、2016年には年6兆円に増額されました。株価下支え効果を上げた一方で日銀が損を出すリスクも高まっています。株価上昇局面でもETF購入を続けた事で、日銀ETFの簿価が時価を下回るのがTOPIXで1400P前後になったとJPモルガンがレポートで発表しました。また1350P前後では日銀が赤字転落し、減損処理が必要となり1200P前後で資本残高が枯渇し、900P前後なら累積赤字が自己資本8兆円を上回り債務超過に陥り、政府による損失補填の可能性もあるとの事です。これは国民負担になることも予想されます。
今年も現在のところ年6兆円の枠組みは変わっておらず、1月末にETF保有簿価が24兆円と推計されていますが、継続されれば30兆円弱の保有となる事になります。
このような株を直接購入する政策は日本でしか行われていない為、今後どのような道筋で売却などの検討がされるのか注目されます。

ここで参考になるであろう以前の公的機関の株式動向保有の計画を見たいと思います。

●日銀・・・2002年11月から2004年9月と2009年2月から2010年4月の2度にわたり株式買い入れを実施しています。1度目の買い入れ総額が2兆円(不良債権問題)2度目は3878億円(金融機関から株式買い入れ)です。この売却スキームは1度目の買い入れ分は2007年10月から市中で売却を行なっていましたがリーマンショックなどで売却凍結されました。しかし、2016年4月から市中売却が再開されています。年3000億円程度で順調に処分が進んでいるようです。

●銀行等保有株式取得機構 ・・・取得機構は、2001 年に「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」が成立し、銀行等に 株式保有制限が課されたことを受け、銀行等が保有する株式の処分を補完するセーフティネッ トとして 2002 年に設立されました。取得機構は原則、政府保証付きの金融機関からの借入または債 券発行により資金調達し、株式を買取っています。簿価で1兆6000億円となっています。第 192 回国会で可決・成立した「金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の 安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律」
(2016 年 12 月 2 日施行)により、取得機構が行う株式買取期限は 2022 年 3 月末 、取得機構の 存続期限は 2032 年 3 月末となっています。取得機構は 2032 年 3 月末にまでに株式を処分することになっており、2018 年度末時点の残高を処分までの年数で割ると、単年度で 1,600 億円程度処分を進めていく必要があります。

●預金保険機構 ・・・預金保険機構は、2000 年の旧日本長期信用銀行(現・新生銀行)および旧日本債券信用銀行 (現・あおぞら銀行)の特別公的管理終了時に、両行が保有していた株式を一部買取り、保有しています。簿価は1兆5000億円です。売却のタイミングは未だに公表されていません。

このように日銀ETF以外にも公的機関は株を保有しており、長年持ち続けているのが現状です。現在の株価でも市場で売却出来ずにいます。今後日銀がETF買いを続けた結果が国民の負担だけはならないように早急な議論が必要な時期になっているのではないかと私自身は感じています。

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