日銀ETF

【日銀ETFいつから】

日本銀行のETF買い入れ制度は、金融政策決定会合において決定された包括的金融緩和政策のひとつとして2010年10月に公表され、同年12月15日から買い入れがスタートしています。

【買い入れの経緯】

ETF買い入れの狙いについて、日銀は「量的・質的金融緩和は2%の物価安定目標の実現を目指すこと」であり、「長期国債やETF、J-REITの買い入れによってイールドカーブ全体の金利の低下を促し、リスク・プレミアムの縮小を促す(資産価格のプレミアムに働きかける効果)」としています。

【なぜ買い入れ額は膨らんだのか】

2010年に白川総裁下で始まった金融緩和は当初4,500億円規模でした。しかし、10年以上が経った現在では、年間買い入れ上限額は12兆円にまで増加しています。

なぜここまで日銀の買い入れ額は膨らんでしまったのでしょうか?

黒田総裁下の日銀では2%の物価上昇を目標に掲げており、ETFを買い入れることで株価を押し上げ、さらには物価上昇に繋げることを目的としていました。

しかし、物価上昇率が日銀の期待通りに推移しなかったため2014年10月にはETF買い入れ枠を1兆円から3倍の3兆円に増額しました。

2020年3月にはコロナによる株価急落に対応するため、時限的措置としてETF買い入れ枠は年12兆円に増額されました。

【買い入れ枠の推移】


【日銀が買い入れているETFの銘柄は? 】


日銀の追加金融緩和の対象となるのは、
①東証に上場する企業のみを組み入れた指数に連動する銘柄②東証に上場する不動産投資法人(REIT)を組み入れた銘柄と定められており、①がETFのことを指しています。

【日銀 保有額】

2024年1月末の保有額は簿価約37兆円、時価約67兆円
(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏の推計値)
時価で計算すると東証プライム市場の時価総額のおよそ7%に相当する。

【日銀が大株主となっている企業】 2023年3月末

1位 アドバンテスト(6857)
2位 TDK(6762)
3位 ファーストリテ (9983)
4位 太陽誘電(6976)
5位 東邦亜鉛(5707)
6位 日東電工(6988)
7位 トレンドマイクロ(4707)
8位 東京エレク(8035)
9位 コムシスHD(1721)
10位 日産化学(4021)

【今後】

2024年2月、日銀の植田総裁は衆議院の予算委員会に出席し、大規模な金融緩和策のうち、ETF=上場投資信託の買い入れ方針について「2%の物価目標が持続的・安定的に見通せるようになったときに継続することがよいかどうかを検討する」と述べ、マイナス金利政策とともに見直しの議論を進めていく考えを示しました。

日銀は3月19日の金融政策決定会合で長期金利を低く抑え込むための長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃を決めた。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)などリスク資産の買い入れ終了も決めた。マイナス金利政策の解除とともに日銀の大規模緩和は事実上、終わることになります。

【問題点】

日銀のETFの時価67兆円は、東証プライムの時価総額904兆円(2024年1月末時点)の約7%にのぼる。ETFを売却して利益を実現させるなら、巨額の売り注文が市場価格を崩しかねない。実際、過去に日銀が買い入れた銀行等保有株2.4兆円の売却は10年もの長期にわたって実施されており、売却時には同様の工夫は必須だろう。

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