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傑作ハードSFラノベ!『ふわふわの泉』野尻抱介(著)

浜松西高校化学部部長・浅倉泉の人生の目標は“努力しないで生きること"。文化祭を前に泉は、ただ一人の部員・保科昶(あきら)とフラーレンを生成する化学実験を行っていた。そのとき学校を雷が直撃!実験失敗と落胆する泉の眼前には空気中に浮かぶシャボン玉のような粒子が生まれていた。ダイヤモンドより硬く空気より軽いその物質を泉は“ふわふわ"と名づけ、一儲けしようと考えるのだが・・・・・・伝説の星雲賞受賞作、ついに復刊

最高に楽しいハードSFラノベ!

空気より軽い粒子「ふわふわ」というロマン素材が面白い。これを建材として作られた空飛ぶ家は、ドラえもん のび太と雲の王国を彷彿とさせ、子供心がムクムクと立ち上り、余計楽しくなる。

しかし、それだけではない。空飛ぶ家の領空問題や、ふわふわが原因で起きる事故などの考察も面白い。ふわふわストライクなど、よく思いついたな、と感動する。日光反射しそうだし、温暖化にも影響でる気がするなぁと考えさせられる。

作るものは、空飛ぶ自転車、飛行船、空飛ぶ家、浮かぶ橋、とどんどん大きくなり、最終的には宇宙を目指す。
軌道エレベーターではなく、赤道上の超高度にリニアカタパルトを設置し、宇宙へ射出する、というアイデアも新鮮で良い。

ここまでで十分すぎるほど面白いのだが、5章からの超展開に度肝を抜かれる。この要素いる? という賛否両論が自分の中でも巻き起こるが、楽しいからOKと言わざるを得ない。ぜひ読んでほしい。

最終章は、先のリニアカタパルト有人実験。主人公達と、これを設置しているツハミ国の大統領が宇宙に飛び出す。
小説の必然としてトラブルが発生するのだけど、原因に爆笑してしまう。ラストもぶっ飛んでおり、この世界の続編がぜひとも読みたくなる。
最後の最後まで楽しい、素晴らしい一冊。

ちなみに、このお話は、沈黙のフライバイの「大風呂敷と蜘蛛の糸」が土台なのかな? と感じる。今度は綺麗に終わってくれたのが嬉しい。


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