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自分の絵をAI学習されたくない場合、単純にアップする絵の解像度を下げるのが一番効率的なのではと思った話

こんにちは、野火城です。
noteの圧に流されて記事を書いています。

今回はAI学習に使われる「絵の解像度」の話です。
AIもやるし手でも絵を描く視点からのAI学習についての話題をあまり見ないので書いてみます。

結論から先に言うと、

絵をAI学習されたくない、もしくは将来自分の絵を学習用データセットとして売る事を考えている方は、ネットにアップする絵は512×512解像度以下にし、高解像度の絵は自分の手元にのみ保存しておく方がいい

と思います。
科学的なデータがある話ではないです。ただ、自分の絵をAIに追加学習した経験から、こんな事に気づいたよ、という話をします。




初見の方にまず自分のスタンスを表明しておくため、下記の記事をAIに要約してもらいました。自分はAIに対してこんな感じの考えです。

著作権など法の話として問題があるとは捉えていませんが「個人の自由の尊重」としてAI学習拒否を選択できるようになって欲しいな~と。
内容を詳しく知りたい奇特な方は元記事をどうぞ↓


本題です。
皆さんAI学習する時、画像の解像度はどのくらいがいいか知ってますか?

SD1系、SD2系、SDXLなどの基盤モデルには、それぞれ「学習した画像の基本解像度」があります。下記がそれです。

・SD1系/512×512pixel
・SD2系/768×768pixel
・SDXL/1024×1024pixel

厳密には縦長横長などこれ以外のサイズも入っていますが、大体このくらいのサイズ、という事です。自分も技術者ではないためふんわり理解です、説明が間違ってたらすみません。
それぞれの基盤モデルに追加学習する時も、画像は基本的にこのサイズに合わせます。学習させる絵は解像度が高い方が精度が上がるというのが通説で、最近はSD1系に1024サイズで学習する方もいるようです。

そして学習する際には、512サイズ以下の画像は省かれる事があります。解像度が低いと学習の質が落ちるからです。

お気づきになりましたか。
そうです。

解像度が低い画像は、学習の際に省かれる可能性がある。


これはあくまで個人の追加学習で大規模モデルとは別の話ですし、低解像度であれば全く学習ができなくなるような事はありません。が、質の高いAI追加学習(LoRA作りなど)をする人ほど、解像度高めの画像を求める傾向があります。
少なくとも自分はそうです。
自分の絵を学習する時は、学習精度を上げるため、必ず解像度を高めにします。基本350~600dpiで描いてるので、1024サイズくらい全く問題なく出力できます。むしろこのくらいなら縮小して出力してますね。
低画質の画像をAIで高画質に拡大する事も出来ますが、そんな処理をするのは手間ですし、AIで拡大したものはどうしても「AIっぽい処理が入ったヌルっとした線」になり、元画像と全く同じ筆致にはなりません。
それを特に感じるのが、ペンタッチです。
この間SDXLに高解像度(1024サイズだが、元々高解像度のものの一部を抜き出しそこまで縮小をかけていないので質がいい)の自分の絵を使って白黒絵を追加学習したら、自分がクリスタで使っているペンの線のガサガサ感まで学習してくれました。
絵柄だけなら低解像度でもある程度学習できるかもしれませんが、詳細なペンタッチや筆跡まで学習するのは、元から高解像度出力された画像の方が断然有利でしょう。学習用に高品質な画像を求めている人であれば、そのような低解像度の画像ははじく可能性が高いと思います。

今後も画像AIの学習解像度は、上がる事はあっても下がる事はないでしょう。解像度が低い画像で学習しても高解像度出力ができるわけわからん技術が出てくる可能性もありますが、今(2024年3月)のところはないです。
GlazeやNightshadeなどAI学習阻害技術が出てきていますが、現在の所、あれをかけるのは絵描き側に負担が大き過ぎると感じます。技術的な事に疎い人には使う難易度が高いし、何より絵が汚くなる。せっかく描いたものをそのようなノイズで汚したい人はいないのではないでしょうか。
それなら画像を512×512より小さく縮小する方が簡単だし、絵も汚れないし、AIの学習精度もある程度落とせます。何より学習の際に「はぶかれる」可能性がかなり上がります。
完全に学習されない、とは言えないのが心苦しいのですが、少しでも自分の絵を学習される可能性や精度を下げたいのであれば、一つの手段としてアリなのではないでしょうか。

下記に解像度450×450の画像と、1024×1024の画像を並べてみます。
画面上で見る差はこのくらいです。例がAI絵でごめんね。

解像度450×450
解像度1024×1024


解像度450×450
解像度1024×1024

現在の画像AIは人間を凌駕するほど画力が上がっており、これ以上人間の絵を学習する必要はないのでは、と思わされます。実際、画力だけで言えばもう人間の絵は必要ないでしょう。
しかし、一つだけ、これは今後も人間が描いたものが必要とされるだろうな、と思われる絵のジャンルがあります。

新たに出てくる作品のキャラクター、原作及び二次創作の絵です。

知らないキャラクターの特徴的な外見は、新たに学習しないと生成できない。キャラクターものだけは今後もAI学習が必要とされるでしょう。最近は1枚の絵からでもキャラクターの整合性を保つことができる技術が編み出されてきていますが、それだって結局「最初の1枚」がないと新たなキャラクターは作れません。
自分の絵を学習されたくない方はGlazeなどを使う、ネットにアップする絵は解像度を512以下に下げるなど、何かしら対策を講じる事をお勧めします。


高解像度画像については、今後手描きの絵描きのアドバンテージになるかもしれない、と感じています。
ネットにアップする絵って、基本縮小しませんか?
高解像度版を持っているのは手で描いた自分のみ。
学習が高解像度になればなるほど、元データを入手するのも難しくなりそうだな、と。



画像AIが出てきてから今まで当たり前にやっていた事の意味を見直す機会が増え、日々発見があります。今まで適当に描いていた自分の絵と否応なく向き合う事になり、自分は思ったより自分の絵が好きなんだな、と気づきを得、AI以前より絵を描くのが楽しくなりました。
何より! 自分で描いた絵を! 自分で学習実験できる!!
この間最近のSDXLのモデルをベースに久々に自分の絵でLoRA作ってみたら、精度が上がってて驚きました。SD1~2系に比べて本当に破綻が減りましたね。そのまんま「上手い自分の絵」が出てきます。
「画像AIに自分の絵を学習させられる楽しさ」を味わえるのは、今まで手で絵を描いてきた人間の特権だな~!としみじみ思います。めちゃくちゃ面白いです。どうもすみません。

今SDXLのCNの実験もしてるので、次はCNを使ったAI漫画について書けたらいいですね。




普段はAI漫画の実験をしてるよ。
作った漫画はキンドルにまとめてあるよ↓ 誰でも無料で読めるよ。


それではまた。



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