虎の期待のルーキーが、満員の甲子園にプロ1号を放り込みました。
　今回は、7月9日に行われた6試合を振り返っていきます。
※以下一部敬称略、試合順は開始時刻順、同時刻の場合はスポナビ野球速報の表示順に。

日本ハム対ロッテ戦

ＥＳ　ＣＯＮ　ＦＩＥＬＤ　ＨＯＫＫＩＤＯ

13:00プレイボール

スコア　日本ハム2-3ロッテ

スタメン
日本ハム　　　　　　　　　ロッテ
１　右　五十幡　　　　　　１　遊　藤岡
２　左　松本剛　　　　　　２　左　角中
３　捕　郡司　　　　　　　３　二　中村奨吾
４　三　清宮幸　　　　　　４　指　ポランコ
５　指　万波　　　　　　　５　一　山口航
６　一　Ａ．マルティネス　６　三　安田尚
７　二　加藤豪　　　　　　７　右　石川慎
８　遊　山田遥　　　　　　８　捕　柿沼
９　中　江越　　　　　　　９　中　藤原
　　投　山本拓　　　　　　　　投　種市

　日本ハムは中3日で山本拓が移籍後初先発、ロッテは中7日で種市が先発します。

　日本ハムがオープナーからの継投作戦を用いてくる中、ロッテ先発・種市は相変わらずのイニングイーターぶりを発揮。4、5回に二死二塁からタイムリーを浴び2点を失ったものの、2回には三者連続三振を奪うなど、味方の逆転を信じ7回2失点の力投をもってマウンドを降ります。

　そして、この我慢のピッチングに打線が応えます。
　1-0で迎えた5回に安田尚のソロで一時同点に追いつき、すぐさま2-1に突き放されてしまったものの、8回に二死一、二塁のチャンスを作ります。ランナー2人が帰れば逆転の場面で、ポランコが打席に入ります。
　すると、2ボールからの3球目。日本ハム・池田隆の真ん中付近のストレートを捉えると、打球はライトの頭を越える2点タイムリーツーベースに。助っ人の快打で2-3とロッテが逆転に成功します。

　そして、1点リードを守り切り迎えた9回のマウンドには、プロ初セーブがかかる横山が上がります。
　試合後に足が震えていたと振り返りながらも、右のサイドハンドから150キロ超えのストレートと切れ味鋭いスライダーを繰り出し、万波、Ａ．マルティネス、石井一を見事三者凡退に退け試合終了。
　ロッテ・横山がプロ初セーブを挙げました。横山は、

　と、プロ初セーブを挙げたことに嬉しそうに答えていました。逆転勝利でロッテが五連勝です。

勝利投手　種市篤暉（6勝3敗）
敗戦投手　池田隆英（2敗）
セーブ　横山陸人（1Ｓ）
本塁打
ロッテ：安田尚憲6号ソロ

楽天対ソフトバンク戦

楽天モバイルパーク宮城

13:00プレイボール

スコア　楽天5-1ソフトバンク

スタメン
楽天　　　　　　　　ソフトバンク
１　遊　村林　　　　１　一　中村晃
２　二　小深田大翔　２　二　野村勇
３　右　小郷　　　　３　左　近藤健
４　指　浅村　　　　４　右　柳田
５　三　フランコ　　５　指　デスパイネ
６　中　辰己　　　　６　中　牧原大
７　一　伊藤裕　　　７　三　栗原
８　左　西川遥　　　８　遊　川瀬
９　捕　太田光　　　９　捕　甲斐
　　投　藤井聖　　　　　投　石川柊

　「FANS’ユニフォーム」で挑む楽天、ソフトバンク共に中6日で藤井聖、石川柊が先発します。

　この試合では、犬鷲の主砲が1試合2ホーマーの大暴れを見せます。
　両先発2回までを無失点に抑える好調な滑り出しを見せた中、3回に試合が動きます。ソフトバンクの先頭・甲斐がツーベースで出塁すると、近藤健が二死から続き一、三塁となったところで柳田。5球目に来たツーシームをうまくセンター返しすると、打球は二遊間を抜ける先制タイムリーに。楽天先発の藤井聖が先に点を許してしまいます。

　しかし、その直後でした。3回裏にノーヒットで二死一、二塁のチャンスを作った楽天は、3番・小郷。アウトハイのフォークを引っ張ると、これがライトへのタイムリーに。これで1-1の同点に追いつくと、なおも二死一、二塁で浅村。
　そして犬鷲の大砲アウトローのストレートを一閃すると、打球は舞い上がり右中間スタンドギリギリに飛び込むスリーランに。勝ち越し打を放った浅村はチームの若手を話題に出しながら、

　と奮起しました。

　さらに浅村は、4-1のまま迎えた8回二死で打席が回ってくると、ソフトバンクの3番手・大津の変化球をフルスイング。するとこの打球も左中間へ上がり、スタンドギリギリに飛び込むこの試合2本目となるソロを叩き込みました。
　これで4点差となった楽天でしたが、9回には松井裕を投入。セーブは付かなかったもののソフトバンク打線を三者凡退に仕留め、ゲームセット。楽天がソフトバンクを三連勝で下しました。

勝利投手　藤井聖（2勝）
敗戦投手　石川柊太（3勝4敗）
本塁打
楽天：浅村栄斗14号スリーラン
　　　浅村栄斗15号ソロ

巨人対DeNA戦

東京ドーム

14:00プレイボール

スコア　巨人0-1DeNA

スタメン
巨人　　　　　　　　ＤｅＮＡ
１　中　ブリンソン　１　右　関根
２　右　丸　　　　　２　三　京田
３　左　秋広　　　　３　左　佐野恵
４　三　岡本和　　　４　二　牧
５　捕　大城卓　　　５　一　ソト
６　一　中田翔　　　６　中　桑原将
７　二　吉川尚　　　７　遊　大和
８　遊　門脇　　　　８　捕　山本祐
９　投　メンデス　　９　投　東克

　巨人、DeNA共に中6日でメンデス、東克が先発します。

　試合は両投手一歩も譲らない、白熱した投手戦に。
　巨人先発のメンデスは150キロ付近のストレートに加え、スライダーやカーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を織り交ぜながらDeNA打線を翻弄。初回に無死一、二塁と最大のピンチを無失点で防ぐと、そのまま8回まで投げ抜きます。投球数はちょうど100を数え、無失点でマウンドを後続に譲ります。

　一方の東克も、140キロ台中盤のストレート中心のピッチングと、スライダーやチェンジアップなど変化球主体のピッチングを使い分けながら7回無失点。大きなピンチを背負うこともなく、巨人打線を散発2安打に封じました。

　しかし、その後も両チームの中継ぎ投手を捉えることはできず、試合は0-0の同点のまま延長戦へ突入します。

　10、11回と両軍ノーヒットに終わり迎えた12回表。ここで得点を入れなければ勝ちが消えてしまうDeNAでしたが、頼れる主砲がこの投手戦に終止符を打ちます。
　巨人の投手は6番手・菊地大へと変わり、一死走者無しとなったこの場面、打席には4番・牧が入ります。ここまで4打数無安打と苦しんでいた牧でしたが、菊地大の5球目を一閃。高めのスライダーを捉えた打球は大きく弧を描き、なんとレフトスタンド上段に飛び込む先制ソロに。

　と安堵し、ベンチ前ではファンと共に「デスターシャ」ポーズを決めました。
　12回裏はクローザー・山﨑康が1奪三振含む三者凡退に抑え、DeNAが延長戦をホームランで制しました。

勝利投手　エスコバー（1勝1敗）
敗戦投手　菊地大稀（2勝2敗）
セーブ　山﨑康晃（5敗20Ｓ）
本塁打
DeNA：牧秀悟14号ソロ

中日対広島戦

バンテリンドーム ナゴヤ

14:00プレイボール

スコア　中日2-3広島

スタメン
中日　　　　　　　広島
１　左　鵜飼　　　１　二　菊池
２　中　岡林　　　２　右　野間
３　右　細川成　　３　中　秋山翔
４　一　ビシエド　４　左　西川龍
５　三　石川昂　　５　一　松山竜
６　捕　宇佐見　　６　捕　坂倉
７　二　福永裕　　７　三　田中広
８　遊　龍空　　　８　遊　小園海
９　投　涌井　　　９　投　森翔

　中日、広島共に中6日で涌井、森翔が先発します。

　この試合では、鯉の4番が躍動しました。
　0-0で迎えた3回表、広島は先頭のピッチャー・森翔がプロ初ヒットで出塁すると、二死から秋山翔もヒットを放ち、一、二塁に。ここで打席には4番・西川龍。
　新井監督から絶大な信頼を置かれている"つなぎの4番"は、涌井のストレートを粉砕。インハイに来た150キロをライトへ運ぶと、打球はスタンドに飛び込む先制のスリーランになりました。

　と、"返しの4番"は狙い澄ました一撃であったことを明かしました。

　広島先発の森翔は、この3点リードを盾に中日打線をどんどん抑えていきます。5回に涌井の代打・福田永から一発を喰らい2点差に迫られたものの、5回1失点と試合を作って降板します。

　その後も7回に中﨑が高橋周にタイムリーを許し2-3とじわじわ迫られていた広島でしたが、1点リードで迎えた9回はクローザー・矢崎が一死三塁のピンチを招きながらも無失点で凌ぎ試合終了。
　広島が西川龍のスリーランのみで勝利しました。

勝利投手　森翔平（2勝1敗）
敗戦投手　涌井秀章（3勝9敗）
セーブ　矢崎拓也（4勝14Ｓ）
本塁打
広島：西川龍馬8号スリーラン
中日：福田永将1号ソロ

オリックス対西武戦

京セラドーム大阪

14:00プレイボール

スコア　オリックス11-5西武

スタメン
オリックス　　　　　西武
１　中　中川圭　　　１　遊　源田
２　二　宜保　　　　２　中　岸潤
３　遊　紅林　　　　３　二　外崎
４　一　頓宮　　　　４　一　マキノン
５　指　セデーニョ　５　三　佐藤龍
６　三　宗　　　　　６　左　鈴木将
７　左　杉本　　　　７　指　栗山
８　右　野口智　　　８　捕　古賀悠
９　捕　石川亮　　　９　右　蛭間
　　投　山岡　　　　　　投　松本航

　サードユニフォームで戦うオリックスは中6日で山岡、西武は中8日で松本航が先発します。

　前日に引き続き、この試合も猛牛打線が西武の投手陣に牙を向きます。
　3回に西武・古賀悠にソロを許し先制点を取られてしまったオリックス先発の山岡ですが、その直後に味方打線が猛攻を見せます。
　一死から中川圭、宜保、紅林の三連打でいきなり2-1と逆転すると、その後もセデーニョにスリーランが飛び出すなど気がつけば1イニングで打者11人、7得点という内容。苛烈とも言える打撃で松本航を攻略します。

　その後、5回には佐藤龍のタイムリーなど、6回には栗山のソロで7-5と2点差に迫られてしまったオリックスでしたが、6回裏にはセデーニョ、宗が連続タイムリーを放つなど打者9人で4得点。11-5とさらに西武を突き放します。

　一方的な打撃で点差をさらに広げたオリックスは、山岡の降板後宇田川-阿部翔-山田修-比嘉とリレー。9回に登板した比嘉は二連打を浴び一死一、二塁のピンチを招いたものの、最後はマキノンを三振、平沼をショートフライに打ち取りゲームセット。オリックスが11安打11得点で大勝しました。
　また、この試合で2安打5打点の大暴れをしたオリックス・セデーニョは、

　と、嬉しそうに振り返りました。

勝利投手　宇田川優希（2勝）
敗戦投手　松本航（3勝7敗）
本塁打
西武：古賀悠斗1号ソロ
　　　栗山巧2号ソロ
オリックス：セデーニョ2号スリーラン

阪神対ヤクルト戦

阪神甲子園球場

18:00プレイボール

スコア　阪神1-0ヤクルト

スタメン
阪神　　　　　　　ヤクルト
１　中　森下翔　　１　中　並木
２　二　中野　　　２　左　内山
３　左　ノイジー　３　右　サンタナ
４　一　大山　　　４　三　村上宗
５　三　佐藤輝　　５　一　Ｊ．オスナ
６　右　ミエセス　６　遊　長岡
７　捕　梅野隆　　７　捕　中村悠
８　遊　木浪　　　８　二　元山
９　投　西純　　　９　投　高橋奎

　阪神は中8日で西純、ヤクルトは中6日で高橋奎が先発します。

　試合は、両投手ヒットすらなかなか許さない投手戦へと展開します。
　ヤクルト先発の高橋奎は左腕から150キロ超えのストレートやスライダーを繰り出し、6回には三者連続三振を奪うなど6回無失点の好投でマウンドを降ります。
　一方阪神先発の西純も、150キロ台のストレートを中心に時折フォークなどを混ぜ、7回無失点の快投を見せます。

　なかなか得点が入らない中、ついに虎の黄金ルーキーが腰を上げます。
　0-0で迎えた8回裏、ヤクルトはピッチャーを木澤にスイッチします。そして、この回の先頭は森下翔でした。すると、その初球。内に入ってくる150キロのシュートを捉えると、打球は大歓声が湧き起こる満員の甲子園スタンドに飛び込むプロ初ホームランに。

　と笑みを浮かべたドラ1ルーキーのホームランで、阪神が1-0とリードします。

　そして、9回は再び締めを任された岩崎が登板。先頭のサンタナにヒットこそ許したものの、後続をしっかりと打ち取り、ゲームセット。
　阪神が森下翔のソロで辛勝しました。

勝利投手　岩貞祐太（1勝）
敗戦投手　木澤尚文（2勝2敗）
セーブ　岩崎優（2勝1敗12Ｓ）
本塁打
阪神：森下翔太1号ソロ

順位表

パリーグ
順位　チーム名　　　勝利－敗戦－引分　　Ｇ差
１位　オリックス　　４５－３１－　２　－－－
２位　ソフトバンク　４３－３１－　２　１．０
３位　ロッテ　　　　４０－２９－　４　１．５
４位　楽天　　　　　３４－４２－　１　１１.０
５位　日本ハム　　　３５－４４－　１　１１.５
６位　西武　　　　　２９－４７－　１　１６.０

セリーグ
順位　チーム名　　　勝利－敗戦－引分　　Ｇ差
１位　阪神　　　　　４３－３２－　３　－－－
２位　ＤｅＮＡ　　　４２－３３－　２　１．０
３位　広島　　　　　４２－３７－　０　３．０
４位　巨人　　　　　３９－３７－　１　４．５
５位　ヤクルト　　　３１－４４－　２　１２.０
６位　中日　　　　　３０－４６－　２　１３.５

まとめ

　阪神・森下翔選手、プロ初ホームランおめでとうございます。DeNA・松尾選手や巨人・浅尾選手らと共にドラフト前後は話題の尽きない選手でしたが、このBIG3の中では最も早くブレークしたといっても過言ではないのではないでしょうか。
　今季ここまで打率は2割を切る数字ですが、次第に少しずつ状態は上がってくるのではないかと筆者は見ています。今季の新人王争いが例年に比べると1年目ルーキーの登場頻度が少し寂しいと感じるので、ぜひ森下翔選手にも新人王を狙ってもらいたいです。
　最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元