ひがぽん
野良猫ニャーコと私の日記です。
過去の記憶です。
絵を描くのが好きだった。 小さい頃から好きだった。 絵を描く時間は自分を癒す時間でもあった。 高校の時。 美術の先生に呼ばれた。 「お前、絵を習ってるんか？」 美術の課題で私が描いた『手』の絵を見ながら、 先生は言った。 「習ってません。」 そんなお金も時間もない。 大きなキャンバスを持って歩く美術部の子たち。 その姿が羨ましかった。 （お金かかるんだろうなぁ…。） そう思って見ていた。 私には縁遠い世界。 私はただ毎日を生きるのに必死な、 バ
母がアルツハイマーになった。 しっかり者だった母。 仕事も家事も手を抜かない人だった。 苦手なことは育児ぐらいだったかもしれない。 酒乱の父が６５歳で亡くなった時、 母が言った。 「これでやっとゆっくり眠れる。」 すこぶる仲の悪い夫婦だった。 でも、 それでも４０年連れ添った夫への最後の台詞がこれか… 寂しいなと思った。 夜中に帰宅して暴れる父を警戒し、 いつでも逃げられるよう枕元に靴を置いて寝ていた母。 防災レベルの警戒だった。 私が実家から少し
仕事がお休みの日にポスティングのバイトをしている。 とにかく雨の日が多い金沢。 とりわけ冬の金沢は突然雨が降ったり雪が降ったり、天気の急変が多い。 その日も急に風が強くなり小雨が降り出した。 早く配らないと雨が強くなりそう… 急ぎ足で配っていると、 ある家の前に年配の女性が立っていた。 「すみません。入れていってもいいですか？」 ポストを指さしてたずねると、 「それ、何かおもしろい情報載ってる？」 「おもしろいかどうか。どうでしょう…。」 「いらないわ。
２０２０年５月７日。 引っ越して約１年。 前の家の近くを何度歩いても、 全然ニャーコを見かけない。 もう会えないのか… 諦めかけていた矢先。 仕事から帰って駐車場に車を停めて、 ふと前を見ると、 ノシノシ歩く猫さんの姿。 ノシノシ、ノシノシ… あれは… あれは、 ニャーコじゃない！？ 鞄から携帯を取り出すと、 慌てて車から降りた。 少し片足を引きずってる。 あの歩き方。 体の模様。 間違いなくニャーコだ。 追いかけてる間にも、 後ろ姿が
２０１９年５月１３日。 今日は家を引き渡す日。 明日からもうこの家には誰もいない。 不動産屋さんが来るまでに、 ニャーコに会えるだろうか… ハラハラしながら家に居ると、 ニャーコが来てくれた。 掃除をすませてキレイになった家。 玄関先でご飯を食べたニャーコは、 食べ終わるとすぐに背を向けた。 そして、 ちょっと振り返り、 足を止めて座り込む。 また少し振り返ると、 クルリと背中を向けて歩き出した。 そんなニャーコを見ていただけで、 最後に抱っこ
２０１９年５月１０日。 アパートが見つかってから３ヶ月。 家にあった私と次男の荷物も、 ほぼアパートに運び終えた。 家とアパートを行ったり来たり… ニャーコが来ても、 私が家にいない日のほうが多くなった。 主人も福井へ戻る準備を始め、 みんなの荷物はほとんど無くなった。 運良くニャーコに会えた時でも、 ニャーコは家の中に入らず、 玄関でご飯を食べるようになった。 家を引き払う日まであと３日。 ご飯を食べ終えると、 やっぱりガランとした家には入ろうと
２０１９年３月２８日〜 仕事を始めた私は、 ニャーコと会える時間が少なくなった。 イラストを描く時間もなくなった。 家に来ると、 コタツに座る私の膝で、 眠ることが多くなったニャーコ。 私の腕にしがみついて眠ってる。 時間が許す限りニャーコの寝顔を見てる。 ニャーコは、 私があんまり家にいなくなったこと、 わかってるよね… ニャーコもこの時間を大切に思ってくれてるのかな… まだ足は引きずってるけど、 一時期の険しい表情は消えた。 リラックスして休
２０１９年３月１１日。 ひどいケガをしてからひと月足らずで、 日に日に元気を取り戻したニャーコ。 朝、 雨に濡れて現れ、 わき目もふらずご飯に直行。 食べ終わると窓際へ。 そこから出るの？ と思ったら、 おすまし顔で居間の出口へ。 開けてニャ！ 戸の隙間に顔を突っ込む。 私が戸を開けると、 ニャーコはずんずんと、 軽やかな足取りで出かけて行った。 夕方。 買い物から帰ると、 ちょうど家からニャーコが出てきた。 主人にご飯をもらってたよう。
２０１９年２月２２日。 ケガの後、 姿を消してたニャーコが帰ってきた。 無事だった… 良かった… でも、 まだ引きずってる足が痛々しい。 ご飯を食べると、 すぐにコタツの中にもぐった。 厳しい目をしてる。 今は触られるのが嫌みたい。 コタツから出てきても、 やっぱりコタツのそばで寝てる。 とにかく体を温めようとしてるみたい。 次の日も来てくれたニャーコ。 ご飯を食べると、 またすぐコタツの中へ。 昨日よりはリラックスしてるかな… 無理に触れ
２０１９年２月１８日。 しばらく姿の見えなかったニャーコが帰ってきた。 大好きな煮干しの煮たのを食べると、 すぐコタツに潜った。 久しぶりに帰ってきたニャーコは、 身体が汚れて、 後ろ足が震えて、 立っていられない。 声を出すのもつらそう… 病院に連れて行こうとすると、 弱っているのに激しく抵抗する。 何軒かの病院に電話したけど、 飼い猫ではないことでいいお返事がもらえない。 今から連れてきてもいいと言ってくれた病院が見つかり、 主人と連れて行こう
２０１９年２月１７日。 久しぶりに晴れた空。 ニャーコはどうしてるんだろう… 思いながら、 歩いて仕事に行った。 仕事が終わって外に出る。 風が冷たい。 家に着いてニャーコの姿を探したけど、 ニャーコは、 いなかった。 お休みで家にいた主人に聞いても、 やっぱりニャーコは現れなかったと… 夜になり、 また外をのぞくと、 え？ なに？ ニャーコのハウスから、 にょろりと顔を出す、 細長い顔の茶色い動物。 私に気づいて逃げ出した。 調べてみ
２０１９年２月１４日。 今日もとても寒い日だった。 そして、 今日もニャーコの姿は見えない。 何度も外をのぞいてるうちに、 Ａ型事業所で働きはじめた次男が帰宅。 ２人で歩いて銀行へ。 ニャーコがいないか、 キョロキョロしながら歩いてたけど、 ニャーコも他の猫さんも見かけなかった。 晴れてても外は寒いもんね。 外にはいないか… 仕事から帰った主人も、 ニャーコを見かけなかったそう。 明日の朝はまた冷え込む予報。 きっとあったかいところにいるよね、
２０１９年２月１３日。 今日はお休みの主人。 ソファでのんびり… 今日はニャーコが来たら、 ゆっくりかまってもらえるなぁ。 と思っていたけど、 何度も、 何度も、 のぞいても、 ニャーコはいない。 「ちょっと散歩に行ってくる。」 外に出て行った主人。 戻ってくると、 「床下の通気口が破れてる空き家がいっぱいあったから、 そこに入っているのかも。」 そっかぁ… もしかしたら、 そこにはニャーコの彼女がいたりするのかな。 ニャーコがいるところは
２０１９年２月１２日。 朝、 まだかすれ気味の声で鳴きながら、 帰ってきたニャーコ。 ご飯を食べると、 私の膝の上に。 眠りはじめたニャーコ。 足がしびれた私は、 少しずつ足をずらし、 ニャーコと一緒に横たわる。 私がそっと起きても、 そのまま寝てる。 ストーブがあったかいのかな。 ブランケットをかけると、 あ、 起きちゃった。 コタツの横に移動したり、 ソファに移動したりしながら、 ぐっすり眠ったニャーコは、 夕方になるとご飯を食べて、
２０１９年２月１０日。 朝、 ニャア！ 元気に鳴きながら入って来たニャーコ。 つぶれてた声が、 昨日よりマシになったみたい。 ご飯を食べたニャーコは、 すぐに窓際へ。 迷うことなく外に出て、 いつもと同じ方向に、 雪の中を歩いて行った。 雪の上にサクサクと残された足跡… さて出かけよう。 今日は、 主人と主人の友人と３人で、 山のほうにある温泉に。 開催されてた「かまくらまつり」を見て、 久しぶりに大きなお風呂へ。 身体がホカホカ。 帰り
２０１９年２月８日。 昨日の夜に出かけたニャーコ。 私が寝る前に戻ってきて、 掛け布団の上に丸くなった。 足元にニャーコが寝てる。 嬉しい気持ちで眠りについた私。 明け方、 起きたニャーコの気配で目覚めた。 ご飯を食べると、 キンと冷えた朝の空気の中、 出かけたニャーコ。 日が昇り切ったころに戻り、 ご飯を食べて、 すぐ眠りはじめた。 今日はのんびり寝てる。 お昼すぎ… あ、 起きたね。 目覚めたニャーコが、 私に背を向けてお座りしてる。
