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EUのデジタルサービス法に考える、企業連携と競争のバランスの変化

(見出し:Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像 )

【今日のポイント】

EUのデジタルサービス法により、巨大プラットフォーマーも、個々の企業や企業同士、業界ごとの対応を迫られていると最近のニュースからも感じますが、

このような、環境変化による「連携と競争のバランスの変化」は、企業規模を問わず、各社とも随時情報収集と予測を行って対応していく必要性が高まっていると考える次第です。


1.EUのデジタルサービス法への巨大ITプラットフォーマーの対応

昨年2022年に欧州連合(EU)が可決し、2023/8/25から発効した、デジタルサービス法(Digital Services Act(DSA)は、ユーザー保護などの観点から、違法コンテンツや有害な広告を取り締まるためのプラットフォーマーの責任などについて規定していますが、

2023/5/2のJETRO( https://www.jetro.go.jp/indexj.html )のビジネス短信の以下の記事などで、アマゾンやグーグル、メタなどの大手プラットフォーム企業が規制対象に指定されたことは、各紙が報じていたので、ご存知の方も多いかと思います。

『欧州委、デジタルサービス法の下、大規模オンライン仲介事業者を指定』

このDSAの概要は、以下の「総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第40回)」の資料などにも記載されています。
『EUデジタルサービス法と日本の制度のあり方(2022年12月16日 生貝直人 博士(社会情報学) 一橋大学大学院法学研究科教授)』
(出典:総務省 https://www.soumu.go.jp/main_content/000852085.pdf )


また、Googleなど、規制対象となった企業も対応策を発表しており、個別企業としてだけではなく、プラットフォーマー同士での情報交換等も始まっているとの記事も目にます。

上記のDSAだけでなく、以下の公正取引委員会( https://www.jftc.go.jp/)の2023年9月更新時の『海外当局の動き (出典:https://www.jftc.go.jp/kokusai/kaigaiugoki/ )』の記事にみるように、海外での大手プラットフォーマーに対する規制は、消費者保護や競争促進などの目的から規制の動きが進んでいると感じました


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2.社会課題面での連携と、市場獲得などのビジネス面の競争のバランスが分野により変化

上記の規制当局および対象となった企業の動向からは、
「プライバシーや消費者の保護、サイバーセキュリティ、国家間競争など複数の要因により、巨大プラットフォーマーの安全面やダイバーシティなどの社会課題面での連携と、市場獲得などのビジネス面の競争のバランスが分野により変化していく」事が予想できると感じます。


 消費者保護やサイバーセキュリティなどの面でのプラットフォーマーの取り組み広告規制やフェイクニュース対応などの個々の企業の対応に加えて、業界全体での対応を必要としている事は、最近のニュースからも窺えると思いました。

 これは、スマートホームの規格整備における企業連携の様な、市場開拓などのビジネス面に加えて、プラットフォーマー同士の連携が必要な場面が増加している事を示しているかと思います。

 ただ、その連携と競争のバランスは、エンターテイメント、生成AI活用などの新規参入・シェア競争が行われる分野と、
サイバーセキュリティやダイバーシティや環境問題への対応の様な社会インフラの分野では様相が異なると共に、
分野間でのバランスの差は今後大きくなっていくのではないか、

また医療分野などでのプラットフォーマーのサービス社会インフラ化すると、企業連携の方へバランスが傾くなどの変化も出て来るのではと感じました。

 なお、国家による規制だけでなく、ESG投資やネットでのユーザー評価などが、この連携と競争のバランスに及ぼす影響にも興味を惹かれます。


Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

3.自社の連携と競争のバランスとその変化を政治・社会・市場などの外部環境面と、社内などの内部環境の変化から予測する

大手、中小などの企業規模を問わず事業や業界規格の整備・対応から資本関係まで、いまや他社との提携・連携は必須と言っても良いようになってきています。

その中で、上記のように、市場シェアの競争などを行う分野と、社会課題への対応などの分野法規制への対応に関する分野などの間で、連携と競争のバランスを取ることも必要であり、

かつ、このバランスは、今回のEU規制の対応や最近のAI利用の促進のような、外部環境の変化や、自社の事業のライフサイクルのような内部環境の変化の双方の影響を受けて変化していくので、

自社の強みを活かすための、自社の連携と競争のバランスをどう取っていくかを社内外の環境変化から予測して行くことも、随時行う必要性が高まっていると考える次第です。


Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

【今日のまとめ】

・EUのデジタルサービス法により、大手プラットフォーマーは、個別の対応および各社の情報共有など様々な対応を迫られている

・このような「連携と競争のバランス」は、今後も成長市場と社会課題対応などの分野によっても変わるとともに、各分野の中でも変化を続けていく

・自社の強みを活かすための連携と競争のバランスも社内外の環境変化をにらみつつ、そのバランスの変化を予測し、対応する必要性は今後も高まっていくと予想される

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