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オランダのモンテッソーリ教育の日本との違い

オランダスタディーツアー2日目は、現地モンテッソーリ教育の学校見学からスタート。
使命感に燃えた先生が、熱く「教育」について語ってくれました。

実は、私の息子は、モンテッソーリの幼稚園に通っていたので、日本との違いにも注目です。

まず昨日の学校見学でも思ったことですが、
「子供100%」の精神がすごい!
学校や、親、祖父母、国をあげて、それを実現しようとする意気込みが感じられます。

日本のように、親のしがらみ、教育委員会のしがらみ、国しがらみなど、ベクトルがぶれぶれで、一体、誰のための施策なのか?なんて感じることはありません。すべてがビシッと同じベクトルを向いています。

日本では各組織の既得権益が渦巻きすぎて、すべてを壊さないと、ここまでベクトルが揃わないことでしょう。

とはいえ、現地日本人ママの声を聴くとその弊害もあります。

5~12歳の初等教育は、親や登録者による送迎が必須です。逆に言えば、子供だけで学校に行き帰りできる日本はとても、安全な国と言えます。

お迎えの時間は10分。そこに迎えに行けないと叱られたり、大変なことになるので、お母さん、お父さん、時には祖父母を動員して、手分けしてことに当たる必要があります。

子供4人を連れて単身、オランダに移住して、ビジネスを起こしているママさんが言ってました。

「子供が熱を出したって電話がかかってきて。オランダ語もよくわからないし、これからオンラインミーティングだし、10分待って!って言って電話を切ったら、児童相談所に連絡された」と。

現地の感覚からすると、子供熱出してるのに仕事を優先するという感覚があり得ないそうです。
子供100%ということは、こういう面もセットで付いてくるということです。いいとこ採りはできません。

とはいえ、オランダは久しぶりに天気が良いと、社長を含めみんな仮病で休むような文化ですので、そもそも仕事の優先順位が低いのでしょう(笑)


と、まだ本題に入れてませんが、モンテッソーリの話です。年齢の違う人が一緒に学んだり、やりたいことを尊重したりなど、日本のモンテッソーリと同じ風合いはあります。

でも、やっぱり、日本のモンテッソーリは、表面上しか持ってこれないという感覚はあります。限界値があるなと。

どちらかというと、日本のは成功するのが目標で、効率的な能力開発のために、モンテッソーリの上っ面だけを利用してるように見受けられらます。

オランダには、根底に、
「子供が幸せに生きるためには、こういうスキルを磨いたり、こういう心を養う必要がある」という確信があるのです。

国をあげて、幸せや教育を追求してきた経験による、確信がそこにあるのです。
日本で、普通の教育を受け、日本の常識という環境の中では、先生がその確信を持つのが、現段階では、非常に難しいのかなと。

「自分で考えて生きないと本当の幸せはつかめない」という信念がある人だけが、本気で子供の自主性を養うことができるのです。


ちなみにこれは、7歳の子が書いたものです。日本だと小学校1年生くらいでしょうか。

先生のサポートはあれど、自己分析をして、私は協調性がある、考えることは少し苦手、などを図に表しています。

すごくないですか?!

自分という人間を客観視して、長所を伸ばしたり、短所を補ったりという側面もあると思いますが、根底には自分を知り、自分の好きなことをやり、自分らしく生きていくことが幸せにつながる、という確信があると感じます。


先生がこんなことを熱く語っていました。
「子供はそれぞれ違う。画一的な教え方はできない。それぞれが自分で考えて、自分に合った、自分らしい人生を、自分の力で作り上げて、幸せになっていく力をつけていく教育が大切」と。

人生と教育への解像度がレベチです。

「幸せな人生」という大テーマがあり、そのためのベースを教育というもので作り上げているという感じです。(これは政治や家庭のベースにもなっています)

コミュニケーションの大切さだったり、どう感情と向き合い対処していくのかだったり、自分でどう考えるか?ということであったり。

感情への対処法という、人間の幸せを大きく左右するテーマも正面からちゃんと教育している感じです。すべてがよく考えられていますし、本当にブレがない。

先生が新しいスキルを身に着けるのも、国のお金で無料で勉強することもできるそうです。


このサイコロはここでも活躍。
「質問がある」、「一人で考えたいから放っておいて」、など自分の意思を簡単に表すことができます。


面白いのは、「安全」というテーマに関してです。
昨日の学校の外階段の柵はこんな感じです。


子供は毎日この階段を使うのですが、柵の間から頭を出せば、簡単に落ちて大怪我を負ってしまいます。

日本が安全に舵を切りすぎているのか、そもそも外部の環境には危険がたくさんあり、安全な環境で生き続けることはできないから、必要以上の安全策はあえてやらないのか。

ちなみにオランダは自然が多く、そこら中に、芝生があり、木が生え、柵のない池がたくさんあります。
だからオランダでのプールの授業は、着衣で泳ぐこととかからスタートするそうです。氷の下に入ってしまったときの練習などもするようです。

子供が溺れると、すぐに行政を訴える日本とは大違いです。自然な環境の中で、サバイブしていく能力を育てることこそ、国や親の本来のやるべきことと感じます。

ちなみに、昨日インタビューした夫婦に、日本は子供が大切でも、離婚して、シンママになり、養育費もろくに払われず、貧困家庭になる家が非常に多いという話をしました。
「オランダではどうなのか?」と。

オランダでも、もちろん離婚はそれなりの率であります。ただ、子供100%なので、多くは共同親権になり、夫婦としては距離を置くけど、子育てということに関しては、協力し続けて、ことに対処するそうです。
子供が親の犠牲になることはありません。素晴らしい!

再婚すると、前の配偶者の子供も会いに来たりするそうですけど。

個人の幸せより、全体の幸せを重要視してきた日本は、行き過ぎた針を「個人の幸せ」の方に、かなり戻していく必要がありそうです。

いきなり「子供の教育」だけを一足飛びに作り上げることはできません。教える方にも、「自分の幸せを追求した」という経験と認識と、確信が必要なのです。



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