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ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成31年度編

はじめに

先日よりTwitterにて投稿している「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。」シリーズです。
前回の「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成30年度編」に続いて、平成31年度分の指摘をしていきます。
なお、この年までNPO団体名として「ぱっぷす」ではなく、前身の「ポルノ被害と性暴力を考える会」名義となっております。

ぱっぷすの平成31年度事業報告書

ぱっぷすの事業報告書は以下の東京都のサイトにありますので、皆さんもダウンロードしてみてください。

東京都が出している記載例と照らし合わせれば、すぐにおかしな所を指摘することができます。

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/documents/files/0000001198/sankou.pdf

では、そんな平成31年度の事業報告書のおかしな点を1つづつ指摘していきましょう。

事業の実施に関する事項

多くの方は、ここで書いている数字の意味があやふやで、初手から「意味が解らん」と投げ出したくなる気持ちになる内容です。
まず相談支援事業。
冒頭の「1 事業の成果」では「181件の新規相談が寄せられ、昨年度以来の継続相談者を含め約400以上の方の相談支援を~」と書いていますが、その下の「2 事業の実施に関する事項」の表では「400人(新規相談181人)」となっています・・・。

事業の成果と事業の実施に関する事項 相談事業


ちなみに、前年度の事業の成果の同箇所では「新規で125、昨年度継続141、合計266」、その上受益対象者人数が「-」。
「人」と「件」がごっちゃです。表記を統一してください。
これ、ただの表記の問題ではなく、数字として重要なことなんです。
何故なら、この数字がこの事業の成果なわけで、支払われた委託事業に対してどれだけのアウトプットが出せたのか費用対効果はどうだったのか低いならどう改善するべきかの指標になるわけです。
ですので、この数字が曖昧なのは一歩間違えれば東京都を欺く行為にも捉えられます。
そのため、本来はこの数字の意味をしっかり定義して報告しないといけないのですが、その感覚が無いのかな?

似た話が性的画像記録の削除要請事業でもあって、冒頭の「1 事業の成果」にて「利用者53人(延べ1476人)」計17,839件の削除要請を行い~」とあるのですが、下の「2 事業の実施に関する事項」の表では「受益対象者人数が70人」となっています・・・。

事業の成果と事業の実施に関する事項 削除要請事業

しかも、前年度からの継続事業ではないので、すべて新規です。
となると新規相談者1人あたり平均約27.8人の延べ人数になるのですが、この延べ人数の定義は何でしょうね。

また、冒頭の「1 事業の成果」にて「リーフレットを新たに25,000部増刷し配布。」「パンフレットを40,000部印刷し~配布した。」と書かれていますが、下の「2 事業の実施に関する事項」の表では何故か「2020年7月発行予定」と未来の発行話になっていて、受益対象者人数欄は「10000人」になっていますね・・・。

事業の成果と事業の実施に関する事項 配布物

「なんで『2 事業の実施に関する事項』で翌年度の発行物の話が出てきて、しかもそれしか書いてないの?」というツッコミもありますし、何より「65,000部印刷して、10000人にしか行き渡ってないなら、残り55000部は何処行った?」という話になりますね。
印刷部数に対して、実際に受け取ってもらえた人数の割合は約15%。
計画が杜撰ですし、結果費用対効果悪すぎですね。

活動計算書

活動計算書も前述の「事業の実施に関する事項」と比較するとおかしいところがありますので、そちらも指摘します。
まず「事業の実施に関する事項」で総事業費は¥18,950,000-となっていますが、活動計算書の事業費の合計は¥18,149,682-約¥800,000-ズレていますね。

事業費とのズレ

当然この金額はあっていないといけません。
これも、東京都の事業報告書の記載例に書いてある内容なんですよね。

事業報告書東京都記載例 活動計算書

また、「事業の実施に関する事項」で「その他事業」で合計¥250,000-の費用が発生していますが、活動計算書では「その他事業」に費用は何も計上されておらず、「その他事業」の費用は無かったことにされてますね。

その他の事業の経費は何処へ?

活動計算書の真ん中の欄は「その他事業」なので、当然ココの欄に「その他の事業」経費が記載されていないといけません。
収益はちゃんと記載しているのにね・・・。
これも、東京都の事業報告書の記載例に書いてある内容なんですよね。

事業報告書東京都記載例 活動計算書 その他事業版

平成31年度も領収書の仕分けからやり直しかな。

貸借対照表

相変わらずバランスしてないんですよね。

貸借対照表

この時点でやり直しなわけですが、理由は簡単で資産合計の計算間違えています。

貸借対照表 アンバランスの理由

流動資産が¥11,120,027-で固定資産が¥150,000-なので、本当は資産の合計は¥11,270,027-なのに、資産合計=流動資産になっているのでアンバランスなわけです。
ただの凡ミスなんですが、監事が2人いて指摘できないのかぁ。

年間役員名簿 監事 

「まぁ、ただの凡ミスか」と思うじゃないですか。
でも、前述の活動計算書で領収書の仕分けレベルからやり直さないといけない状態なのです。
当然、活動計算書の内容が貸借対照表の当期正味財産増減額に反映されますので、この貸借対照表も怪しくなるということになります。
いや、本当に監事仕事してくれ。

あと重箱の隅を突く話ですが、前期繰越正味財産額にカンマがないので計算間違いしやすいですよね。

貸借対照表 カンマ無し


役員名簿

前述の活動計算書や貸借対照表の誤りに比べてば、既にどうでもよいレベルかもしれませんが、一応やっておきましょう。

年間役員名簿 期間重複

先代の理事長が亡くなられたせいなのか解りませんが、年間役員名簿の就任期間が被っていますね。
何故前年度に7/1~翌年6/30の任用期間にしたのかが意味不明なんですが、その影響がここに出ている感じですね。
まぁ、前年度の任用期間に穴が空く状態よりは良いかと思いますが。

計算書類の注記

そして、平成29・30年度同様、本来はこの後に計算書類の注記が記載されていないといけないのですが、平成31年度も用紙そのものがありません。

東京都 事業報告書提出資料

最後に

いかがでしたでしょうか?
以上が「ぱっぷす」の前身「ポルノ被害と性暴力を考える会」の平成31年度の事業報告書でした。
「ぱっぷす」への法人登記の変更は翌年2020年10月19日ですが、

法人登記の変更

実際この年から金尻カズナ理事長に交代していますので、この年から実態は「ぱっぷす」になったと考えてよいですね。

そして早速、活動計算書に疑義があったり、バランスしないバランスシートが提出されていたりと、重い問題が連発する事業報告書になっています。
これが令和になっても続いていきますので困ったものです。
比較の対象として適切かはわかりませんが、BONDプロジェクトは監事が1名ですが、ぱっぷすは監事が2名です。
2人いてこの内容ですから、監事が機能していないですね。

そしてこの内容で東京都に事業報告書が提出されているのも問題ですが、今回のWBPC問題の対象事業である東京都若年被害女性等支援事業の審査にこのおかしな活動計算書や貸借対照表が提出されているんですよね。
そして今回の指摘の通りおかしい内容のままにも拘らず、委託事業に採用されているわけですから、東京都は何を審査しているんですかね。
今、東京都が住民監査請求で問題になっている根本の原因・分岐点はココにあったと思いますね。
ここで見抜けなかったから、または甘く見たから、「公金チューチュースキーム」が安易に作られているのかなと考える次第です。
というところで、今回の話は締めたいなと思います。

次は「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。令和2年度編」でお会いできればと思います。

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