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校長室、このごろ千客万来の賑わいです。 【週刊新陽 #29】

北海道もいよいよ冬が近づいてきたようです。最高気温が10℃を下回る日が増えてきました。

一気に冷え込んだ先週のある日、まだ暖房ボイラーを動かしていなかったので「さむい、さむい」と暖を取る先生たち。(YouTubeの焚き火動画と、木片を置いただけの焚火台なので、ぜんぜん暖かくありません・笑)

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年度も後半に入り忙しさは増していますが、遊び心のある先生たちのおかげで笑いが絶えない職員室です。

校長とおしゃべりしてみたい?

学校にいる時は、職員室で仕事をしたり打ち合わせしたりしていることが多いのですが、めずらしく校長室にいた日の放課後、生徒たちが訪ねてきました。

「今いいですか?」とドアから顔を出したのは探究コースの3年生。

「校長先生とお話してみたかったんです」と6人の生徒が入ってきました。顔見知りの生徒たちでしたが、ゆっくり話すのは初めて。

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宗教や倫理観、リーダーとリーダーシップの話など、どんどん話が広がり、気付けば下校時間が迫っていました。校長と生徒の対話というよりは、生徒同士の対話を聴かせてもらいながら私が口を挟むという感じの、リラックスしながらも熱い対話。

探究コースの生徒は、1年次からディスカッションや協働学習の機会が多く、且つリフレクションやフィードバックを重ねているからなのでしょう、お互いどういう資質を持っているかを知り、それぞれを認め合っているのを感じました。

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こんなふうに、校長に会いに来る生徒はたまにいます。自分から来てくれる生徒もいますし、先生たちが「校長先生に話してみたら?」と背中を押すこともあるようです。

校則や行事、あるいは部活や課外活動についてなど、具体的な相談がある生徒もいますが、ただ校長と話をしてみたいと言う子もいます。

「いろいろな仕事を経験していると聞いたから」とか「人物多様性とビジョンで言っていたけど多様性ってどういうことですか」、「複業する校長ってなんですか」など、切り口はさまざま。

それに答えたり逆にこちらから質問しているうちに、生徒たちの素直な好奇心や探究心が伝播して話が盛り上がり、いつも、あっという間に時間が経っています。

あっちでもこっちでも進路活動

10月〜11月は推薦入試や総合型選抜(AO入試)の時期なので、面接やプレゼンの指導、志望動機書や調査書の添削をしている先生と生徒の二人組を学校のあちこちで見かけます。

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そんな中、校長に面接練習をしてほしいと訪ねてくる生徒が、最近続いています。

先日ある生徒に、どうして私のところに頼みに来てくれたのか聞いたところ、面接練習してもらった先生から次のミッションは「話したことのない先生に頼みに行くこと」と言われたそうです。なかなか難易度の高いミッションだな、と思いましたが、それを超えて私を選んで来てくれたのが嬉しかったです。

とはいえ大学受験指導なんてしたことはないし、自分が受験生だったのは四半世紀前、しかも一般入試・・・最初は不安がよぎりましたが、人事部で採用を担当していた時期もあり、PwC時代にはリクルーティング活動に積極的に駆り出されていたので、面接なら役に立てるかもしれないとも思いました。

せっかく相談に来てくれる生徒には全力で応えたい!少しでも自分の経験を生徒たちに還元できたらいいな。そんな気持ちで面接練習に付き合っています。

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なお、現在は一般入試で入学する学生の比率が減っていて、私大に至っては入学者の56%が推薦+AOという実態をご存知でしたか?(大学入試のあり方に関する検討会議資料より)

R2入試方法分類_入学者数別

近年、大学進学率が上がっている新陽でも推薦や総合型で受験する生徒は多く、今の時期は進路支援のピークなのかもしれません。

10月12日から定期的に放課後開催されている小論文講習も人気で、指導する先生たちにも熱が入ります。

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母校で授業をしてきた3年生

今週、こちらからお願いして、校長室に来てもらった生徒たちがいます。

総合コースに探究基礎という科目があり、いくつかのテーマごとにゼミ形式の授業が行われています。

その中の一つ、アイヌ文化探究ゼミに参加している生徒が、今週月曜日に母校である小学校に行ってアイヌ文様の授業をしてきたことを知り、ぜひ話を聴かせてもらいたいと担当の工藤有紗先生にお願いしました。

校長に呼び出されたとあって少々緊張した面持ちでやってきた3人。でも、だんだん打ち解けて、いろいろ話してくれました。

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3人は同じ小学校、中学校を卒業した幼馴染。『アイヌ文化を学んで地域に発信する』というゼミテーマのもと、『母校の小学校でアイヌ文様の切り絵ワークショップ』を企画。

前期のほとんどがオンライン授業だった新陽。最初に企画を相談したときも、Meet(リモート会議)でJamboard(ホワイトボードアプリ)を使ってアイデアを出し合ったそうです。

その中から、発信相手は小学生にしようという意見が揃い、読み聞かせや刺繍などの案もあった中、最終的に小学生も取り組みやすい『切り絵』に落ち着きました。

しかし、緊急事態宣言が出るなど札幌の新型コロナの感染は予断を許さない状況が続き、小学校が受け入れてくれるか、もし受け入れOKと言われても新陽高校から許可が出るか、半分諦めかけたことも。

それでも周りの先生たちの助けを借り、実施要項を3人で作りあげ、実施に漕ぎ着けました。(その要項を最終承認したのは私なのですが、工藤先生が作成した要項だとばかり思っていました!)

切り絵のデザインは「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3段階とし、見本や型、完成させた作品を入れる額縁などの準備を進めました。

そして本番が近づいた先週の木曜日、またピンチが訪れます。小学生たちはアイヌ文化交流センター(サッポロピリカコタン)に行っていて、「やさしい」と「ふつう」のアイヌ文様を作ったことがあると判明。さらに金曜日は3人のうち2人がワクチンの副反応でお休みという二重のピンチに。

結局、本番前日の月曜日の放課後遅くまで、「むずかしい」デザインの材料を増やすための作業に追われました。

いよいよ当日。焦りと不安で緊張Maxの3人でしたが、子どもたちを前に堂々と話し始めたので、工藤先生は「本番に強い!」と驚いたそうです。

3人に実際どうだったか聞いたところ「正直、緊張しすぎてました(笑)。でも子どもたちが優しくて協力的だったおかげで、すごくやりやすかったです。」と。

自己紹介をし、アイヌ文様のプレゼンのあとはクイズ大会。

写真を見せてもらって、ずいぶん盛り上がったみたいだね、と聞くと、子どもたちが答えやすいように3択にするなど適度な難しさの設定を心がけたとの回答に、感心してしまいました。

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メインとなる切り絵作りは、子どもたちが夢中になって取り組んでくれたそうです。予想以上に多くの子が上級編をやりたくなってサンプルが足りなくなるというピンチにも機転を利かせて切り抜けた3人。

始終子どもたちに寄り添う授業を行い、気づけば時間をオーバーするほどに(本人たちは時間を見る余裕もなく子どもたちの対応に集中していた一方、工藤先生はかなり焦っていたそうです・笑)。小学生の満足度も高く、母校の先生たちからもずいぶん感心され、感謝されたとのことでした。

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3人が出前授業を終えた感想は・・・

教えられる側から教える側になってみて、たいへんなことがあると分かりました。
たとえば、細かい部分を「どうやるの?」と聞かれて、わかりやすく教えるって難しいな、と思ったり、それから「むりー!」と言われるとつい助けてしまいたくなるけど全部を助けないほうがいいだろうと思ったので、どのくらい自分でやってもらうようにするか悩んだり。
自分たちの教え方や励まし方で子どもたちのやる気が変わることを経験しました。

そして、今後やってみたいことは?と聞くと・・・

中学生など、もうちょっと上の世代にもやってみたい。
きっと今回と違う難しさがあると思う。小学生みたいに素直じゃないかもしれないし、クイズなんて答えてくれなくてシーンとしちゃうかも。

と、なんともチャレンジ精神に溢れた生徒たち。頼もしい限りでした。

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【編集後記】
最近、私がつぶやいているのが「e-Sportsからアウトドアまで」。e-Sportsもアウトドアも部活や課外活動にとどまらず、授業内で取り組んでいるのが新陽の特徴です。

校舎の1階にはe-Sportsのゲーム専用マシンを揃えた部屋があり、ちょうどその向かいが校長室。来校してくださったお客様に、e-Sportsとアウトドア教育を推進していることを伝えられるように、校長室にはモンベルのテントやチェアを置いています。テントを覗きにくる生徒や、キャンプチェアの座り心地を試しに来る生徒もいて、そこから生徒とのおしゃべりが始まることもあるんです。(見出しの写真は校長室。これがいつもの状態です。)


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