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結局「奈良散歩」

桜が満開の日。朝早くに家を颯爽と出て、近鉄の鶴橋駅で乗り換えて、室生寺へ行くはずが!近鉄難波駅で西大寺から先の電車が運休してますと、それも架線の火災との稀な理由で!行くつもりにしていた室生寺どころか大和八木にも行かれないし、何時に電車が動くかわからない!となって、急遽奈良市内に行き先を変更した。

前日、シバリョーの「街道をゆく」を読んでるとココに書いたけど、それは、シバリョーが画家の須田剋太との2回目の奈良の旅を書いた「奈良散歩」という章で、そこには、1回目はかっこつけて奈良市以外の奈良を散策しようと柳生だったかどこかに行ったのだけど、大して思い出にも残らずそれに関しては書き記していない、奈良は興福寺東大寺から春日山まであの辺りがやっぱりええなあ、みたいなことを書いていて、わかる、わかるわ〜と思ってたせいなのか私も結局いつもの好きなそのあたりを「奈良散歩」することとなった。

それなら、いつもしないことをしようと、普段の大和牛まぶし 赤身たたきを食べてるお店「ももしき」でお昼からすき焼きしようと。小さなランチの鍋がついていて、お肉と春らしくたけのこのすき焼きセットを「風の森」と共に食す。

本当はもっと食べれる気がするけど、我慢。

そこから興福寺の南円堂のびんずるさんに挨拶してから、いつもと違う道で東大寺にはいかず、春日山の登山口の麓まで歩く。満開の桜の遠くに大仏殿の屋根と春日山が見える大きな芝生の広場があって、なんとも気持ちよく鹿とたわむれる。鹿にyoutubeで鳴き声を聞かしたりしてw笑って、夢のような光景だった。

奥に見えるのが大仏殿

春日山をふりさけ見るとたくさんの人が登ってるのが見えてで頂上は気持ちよさそうだ。麓の茶屋まで歩く。「水谷茶屋」は茅葺の茶屋で紅葉の頃が最高にフォトジェニックだけど、春は春で美しい

川の水音が聞こえる中でビールを飲む。この前、京都のたかばしの第一旭で飲んだ瓶ビールが今年最高のビールだったけど、それぐらいおいしかった。ビールは一口目のグラスを含めた温度が評価を決めるよね。

そこから摂社を巡りながら春日大社をお参りして、

「街道をゆく」の余韻、東大寺の上司管長や志賀直哉がいた頃の文化サロンの話の余韻が残っていてまた高畑の志賀直哉の旧居まで行ってみた。

下の禰宜道

noteのフォロアーさんを見てると大仏殿のあたりは観光客が多くなってきてるらしいけど、「下の禰宜道」を歩いて高畑までくると人はおらず志賀直哉邸も私だけだった。

様々なお部屋でくつろいでいるとそっと館長さんが現れて説明をしてくれる。春日山を望む2階の部屋は客間としても使われていて、小林多喜二も泊まったらしい。

2階の客間からの眺め。山焼きの時は絶景とのこと。


その床の間には、室生寺から廃仏毀釈で流れてきた手の無い仏像があって、それは谷崎潤一郎から贈られたものだそうだ。その後、東京に戻るときに志賀直哉はその仏像を大切に持って帰ったらしいがその後売られ、今は早稲田大学にあることが最近発見されたとのこと。今はその仏像のオマージュの仏さんが飾られていてとてもいい。

私が、館長さんに「その頃谷崎は神戸にいた頃なんですか?」と聞いたら、そうだとのことでへええ、と思う。

その後、開店の4時に間に合ったので、素晴らしい居酒屋の「蔵」で軽く食べる。奈良の地酒と料理がうまい。

https://note.com/nobuliere/n/nb7f2e4f105be

帰りは近鉄で神戸まで帰ってきた。

室生寺には行けなくて残念だったけど室生寺ゆかりの仏像についての話も聞けたし、「街道をゆく」の「奈良散歩」気分になれられる桜の1日となった。奈良はええなあ!

22.4.5


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