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次のような人生相談に対して、あなたならどう答えますか

次のような人生相談に対して、あなたならどう答えますか。
「30歳代の主婦です。二年前、一戸建ての家に引っ越しし、シバ犬を飼い始めました。最近、困ったことに、近所の人が一日に何度も残飯やお菓子を持ってきて犬にやるのです。私としては近所の人にはっきり断りたいところなのですが、新参者の私がそんなことを言うと気まずくなりそうです。何かよい知恵はないでしょうか。(A子)」('00年・福井大学)

 誰だよ、A子って。まさか入試で人生相談に答えさせられるとは、受験生たちもさぞかし面食らったことだろう。それも、同年代の若者の進路に関する悩みとかならまだわかるけど、主婦のご近所づきあいの悩みに答えさせて、いったい何の能力を試したいんだか。

 ちなみに上記の相談文は要約で、元の問題では、もっとディテールまで書き込まれていた。A子さんがこの犬を飼い始めた当時は「まだ体重1キロ足らずの子犬」で、「私は離乳食から育ててきました」という。さらに「下痢をすると、『このまま死んでしまうのでは』などと、いろいろ愛情を注ぎました。近所の迷惑も考え、早朝にエサを催促して鳴かないように厳しくしつけもしました」とか。そんな愛犬に近所の人が残飯やお菓子を与えるものだから、「犬も人間同様、糖尿病にもなりますし、虫歯も心配です」というわけだ。が、その近所の人には「引っ越しして以来、いろいろとせわになっているので、余計言いづらい」んだとか。

 うーん、いかにもありそうな話。ヘタに注意したりすると、奈良の騒音オバサンみたいなことにならないとも限らないし、難しいところである。この相談を出題者が自分で考えたんだとしたら、大学の先生よりも、シナリオライターとかのほうが向いてると思う。というか、もしかして自分の悩みだったり?
 実際、どんな解答があったのか、どのような基準で採点したのかは謎。この難問、あなたならどう答えますか?

(※2005年に某誌より依頼を受けて拙著『笑う入試問題』から抜粋・再構成した記事が先方の都合でボツになりました。そのときの原稿を順次掲載していきます)

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