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あなたの家庭生活の問題点を述べなさい

あなたの家庭生活をふりかえって、問題点をいくつか箇条書きで述べなさい。('99年・東京学芸大学)

 他人のプライバシーに土足で踏み込んでくるようなえげつない問題。家庭生活の問題点を箇条書きにって、「思いッきり生電話」じゃないんだから。ホントにそんなにザクザク書き出すほど問題がある家庭だったら、受験どころじゃないだろう。しかも、相談に乗ってくれるなり、愚痴を聞いてくれるなりするんならまだしも、問題文は「そのうちの1つについて、家族の一員としてその問題点をどのように改善すればよいと考えるか、具体的に述べなさい」と続く。あのさー、そんなことができるぐらいならとっくに問題解決してるって! というか、家庭の問題を未成年の子供に解決させようってところに、まず無理がある。
 どういう意図での出題か知らないけど、あまりに無神経というか無責任というか。「両親が離婚寸前」とか「兄がひきこもりで家庭内暴力」とか、問題が深刻なほど点数高かったりして。

 同じく東京学芸大学の英語の問題で、こんなのもあった。

「自分自身が考えている『自分』と、他人が考えている『自分』とのギャップを発見するにはどうすればいいか。自分の経験をまじえながら200語程度の英語で書きなさい」('01年)

 ……そんなギャップ、あんまり発見したくありません。「自分の経験をまじえながら」ってことは、そういうセルフイメージと他人の評価とのズレに気づいたときの苦い気持ちなんかを赤裸々に告白しなきゃいけないのか。多感な思春期の受験生に対して、それは酷ってもんだろう。アメリカだったらエグハラ(エグザミネーション・ハラスメント。今考えた造語)で訴えられるかもよ!?

(※2005年に某誌より依頼を受けて拙著『笑う入試問題』から抜粋・再構成した記事が先方の都合でボツになりました。そのときの原稿を順次掲載していきます)

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