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4.広告 - はじめての通信販売&Eコマース

※本記事は2005年に作成し、自身のホームページ(Chikunai.net)で2016年ごろまで公開していた記事をnoteに転記したものである。私の管理不行き届きで、ホームページを失ってしまった。なるべく2005年の頃のまま転記するため、今読むと古臭さのある点は、ご理解いただきたい。このシリーズのトップはこちら→「はじめての通信販売&Eコマース

通信販売において、重要な項目の一つは広告です。店舗を持つビジネスであれば、消費者が通りがかりに寄ってもらえます。また、店舗の前で呼び込みもできます。しかし通販の場合、店舗を持たないが故に消費者へ、会社や商品を伝える仕組みは、広告しかありません。宣伝方法を誤れば即売上げの減少に繋がる業界でもあります。

広告費・販促費にお金を使う業界だからこそ、湯水のように広告枠・広告媒体を買うことも、カタログ・会報誌などを作ることもできません。通販企業は、テレビ・ラジオのコマーシャルや、雑誌への出稿など。広告費をかけて見合うだけの効果があったか評価しなければなりません。 しかし、通販の広告には非通販企業にはない良い側面を持っています。広告宣伝効果が会員獲得数や売上となって結果が見えます。広告宣伝の良し悪しを評価・分析できます。これは広告効果分析、媒体効果分析やプロモーション効果分析と呼ばれています。

通販企業は事前に広告効果の測れる販売管理システムを導入しています。このシステムで、商品のお届けに必要な情報だけでなく、効果分析に必要な情報も収集し蓄積させています。マーケティング担当者や営業担当者は、蓄積された情報を元に分析・評価を行い、次のプロモーション活動に役立てます。一般の広告はブランドイメージ優先で、広告媒体の内容、選定、費用、効果が妥当か、とても評価しにくい主観的なものになっていますが、通販の場合は違います。

例えばDMを送付するにあたっては以下項目で検討します。

(1)目的・仮説を立てる。
(2)ターゲットとする顧客層を決める。
(3)顧客に与える特典、インセンティブは何にするか決める。(オファー)
(4)ターゲットに会う顧客リストを作る。
(5)顧客の心に打つコピーやデザインを制作する(クリエイティブ)。

DMを顧客に送付すると、システムに実績が蓄えらていきます。蓄えられた実績をもとに、企画時にたてた仮説(予測)と実績を比較し、DMの評価・分析を行います。 例えば、顧客ががどの企画に反応したか。どのような消費者(年齢、職業など)が反応したか。どの広告媒体(テレビ番組別、新聞社別、雑誌別など)で反応したかが調査します。ここで得られた情報をもとに次の宣伝活動に生かすのです。
キャンペーンの効果が全般的に悪ければ企画の見直し、新たなインセンティブを検討します。あらかじめ異なるインセンティブのキャンペーンを配布して、顧客はどのインセンティブに反応するかテストすることもできます。インセンティブテスト、オファーテストと言います。
過去に送付したDMと反応の違いがあるなら、クリエイティブ面で何が影響したか検討が必要です。クリエイティブについても、いくつかパターンを制作して配布し、どのクリエイティブが効果的かテストできます。クリエイティブテストと言います。
これらテストしながら宣伝することをテストマーケティングと言います。

雑誌の場合、自社に合う広告媒体を探すため、ターゲットとする消費者に合いそうな雑誌を細かく絞らず、数誌に出稿します。発売後、レスポンスの悪い雑誌は、広告掲載の継続を中止します。もしくは、他誌に比べてレスポンスは小さいが、長期で見ると顧客の累計購入金額や累計購入回数の多い雑誌は、広告掲載を継続します。といったような決断を下すことができます。このテストを続けることで、反応があって商品を継続的に買っていただけるお客様を呼び込める広告媒体が見つかり、重点的に広告費をかけることができます。

この一連の流れをPDCAサイクル(Plan Do Check Action)化し、プロモーション活動を行っていけば強力な収益源となります。

宣伝で使える広告媒体は以下のとおり。

  • テレビCM

  • インフォマーシャル

  • ラジオ

  • 新聞

  • 新聞折込チラシ

  • 雑誌

  • フリーペーパー

  • カタログ同梱

  • ダイレクトメール

  • ホームページ(ポータルなどのメディア)

  • メールマガジン(オプトインなど)

新規顧客開拓・見込み客向けとしては、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、チラシ、ホームページが使います。公共性の高いメディアを利用し、自社の新たな顧客となりそうなお客様をたくさん集めます。最近テレビについては、BSデジタルやCSの多チャンネル化により、様々な専門チャンネル・番組が放送されています。そのため、ターゲットとしたい消費者に絞った広告がうちやすくなっています。
一方、会員(一回以上取引のある顧客)向けは、カタログ、ダイレクトメール、オプトインメールが使われます。過去の取引履歴より、お客様に対してより重要なお客となっていただけるように、様々なアプローチができます。このアプローチは、分析による結果から一定の法則を道べきだし、ルーチンワーク化できると企業の利益に大きく貢献できます。
例えば併売分析により、20〜30代の女性はワインとお菓子を一緒に購入する傾向が強い場合、ワインしか購入したことの無いお客さまに対してはお菓子のアプローチ。お菓子しか購入したことの無いお客様はワインのアプローチができます。
また、カタログの送り方一つをとっても、全ての顧客に同じカタログを送っていては、レスポンスの悪い顧客に足を引っ張られコストが見合いません。優良顧客層に送るカタログにはコストをかけ、レスポンスの悪い顧客層に送るカタログには試し買いできるような構成でコストを低くし、費用対効果を上げさせます。

これらとは別の手として、発送する商品と一緒に冊子(チラシ)をつけるなど宣伝方法もあります。納品書の下のほうに売れ筋やお買い得な情報を印字したり、製品一覧のカタログを入れたり、キャンペーンのチラシを入れたり、サンプルをつけたりなど、色々な物をつけることができ様々な宣伝が行えます。商品の発送業務と一緒に行うためコストはあまりかかりません。
一点気になるところとしては、お客様の眼が商品ばかりに行き、これら同梱した冊子が捨てられてしまうことです。ダイレクトメールも同じですが、見ていただくため(開封していただくため)の工夫が必要です。

宣伝の表現・表示については、消費者保護の観点から法的に表示しなければならない義務が色々あります。まず通信販売について回るのが特定商取引法です。

販売業者の表示
【例】
○△商店株式会社
〒999-9999 東京都○○区△△9−9 □□ビル2F
お問い合わせ電話番号:999-999-9999
責任者:○○ △△

販売価格、又は対価の表示(送料の表示)
【例】
10,500円(本体価格10,000円 消費税500円)
送料 一律500円

代金・対価の支払時期、支払方法の表示
【例】
お支払い方法は代引きとカードのどちらかをお選びいただけます。

商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期
【例】
ご注文を受けてから約一週間後にお届けです。

返品の表示
【例】
お客様都合による返品はお受けしません。
商品が異なる場合、不良品・配送事故の場合は交換又は返品をお受けします。

また、特定商取引法に限らず、本来義務づけられている法律も遵守する必要があります。例えば、食品、化粧品は厚生労働省管轄の食品衛生法・薬事法。電気用品は経済産業省管轄の電気用品安全法などです。
健康緑茶のCMは、「体脂肪に効く」ではなく「体脂肪にガツン」と表現したりします。これは医薬品でないため、しっかりとした効能の表示ができないためです。
公正取引委員会管轄の景品表示法は、誇大広告・不当表示の禁止や、景品の最高額が決められています。こちらは、昨年(2003年)の法改正でさらに表示が厳しなりました。「合理的な根拠なく著しい優良性を示す不当表示の効果的な規制」という、不当表示に対して合理的な根拠を示す資料提出が求められるのです。以下のような開運・金運商売の宣伝ができなくなってきたと言われています。

関連する法律情報

これまでは法律を挙げましたが、業界団体による自主規制も存在します。例えば、新聞記事や雑誌の記事のように見せる広告は、紛らわしいため規制対象になっています。

テレビ・ラジオ

  • 日本民間放送連盟

  • 日本民間放送連盟放送基準

新聞・新聞折込チラシ

  • 日本新聞協会

  • 新聞広告倫理綱領、新聞広告掲載基準、新聞折り込みチラシ広告基準

雑誌

  • 日本雑誌広告協会

  • 雑誌広告倫理綱領、雑誌広告掲載基準

通信販売

  • 日本通信販売協会

  • JADMAガイドライン

これらはあくまでほんの一部です。広告宣伝活動する際は、法律や規制をよく調べ守って、宣伝活動を行う必要があります。

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